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ダイヤモンド・CBN |
超と粒ホイールとは
超と粒の種類
超と粒ホイールの粒度
超と粒ホイールの結合度
超と粒ホイールのコンセントレーション(集中度)
超と粒ホイールの結合剤
超と粒ホイールの結合剤の種類
超と粒ホイールの使用上の注意
ホイール以外の超と粒製品
天然ダイヤモンド(D)
天然産のダイヤモンドを、工業用として種々の工具に用いるもので、色は概して灰白色のものが多く比重は
3.25、硬さはヌープ硬さ8000〜8500kg/muであらゆる物質のなかで最高の硬度を有し、耐摩耗性も高く、また各種の薬品にも侵されない安定した品質を有しています。
粗いものは、ドレッサー等の工具、粉砕整粒されたものは主としてダイヤモンドホイールに、又特に細かいもの(ミクロンサイズ)はラップ研磨材として使用され、更にその工具としてダイス・バイト等にも利用されています。
但し、耐熱性において、空気中600度で炭化が始まり、硬度は低下、800度に至ると燃焼するので、一般に鉄系金属の研削には使用できません。
そこで、研削作業中の砥粒の脱落及びホイール製造工程中の熱による酸化に耐える為、砥粒の表面に金属をコーティングしたものも在ります。
合成ダイヤモンド(SD)
1955年、米国のGE社が、高温(約2000度)、超高圧(約56,000気圧)で製造に成功し、マンメードダイヤモンドの商品名で市販されて以来、量的、質的共に急速に進歩して工業用ダイヤモンドの主流となりました。
結晶の生成速度が、天然産より速いため硬度は若干低く、大粒のものが作りにくい等の欠点が有りますが、被研削物との硬度さが大きいこと、及びホイールとして常用されている粒度範囲においては、天然産に比較して遜色はありません。
特に、製造設備(圧力・温度・時間等)や素材等を適当にコントロールすることにより、結晶形・粒形・粒度等を自由に変えることができます。
そこで、比較的球状に近いブロッキーなものは、耐熱、太摩耗の点で有利なため、主として、切断や、ボーリングのような粗い重研削用として、メタルボンド法のものに適します。
又、不規則な形状で、表面に凸凹の多いものは、微少破砕されやすいため切れ味本意となり、従ってと石寿命がやや短くなるので、精密研削用としてレジン、又は、ビトリファイドボンド法のものに用いられます。
このように、ホイールの製法・用途別に各種のものが製造可能となった為粗研削より精密研削に至るまで各分野で広く使用されています。
金属被覆した合成ダイヤモンド(SDC)
これは、合成ダイヤモンドと粒に、Ni或いはCu等の金属をコーティングすることにより、レジンボンド法における結合剤の付着性を高め、従ってと粒の保持力を強化すると共に、更には、耐熱性・放熱性をも向上させて、従来のダイヤモンドと粒の欠点を、相当改善させたもので、このような新たな特性により、従来、仕上用のみに使用されていたレジンボンド法のホイールが、粗取りの重研削にも使用が可能となりました。又、このコーティングと粒は、鉄系被研削物の研削を可能とするものや、ビトリファイド法における製造工程上の高温(1300℃程度)にも耐え得るもの等も開発されつつあります。
立方昌窒化ほう素(CBN)
1957年、米国のGE社により、約1,650℃、約7,000気圧のもとで生産されたもので、ボラゾンの商品名で販売されました。色は黒色で、比重は3.4、ヌープ硬さは4,700kg/muで、耐熱性に優れ1,280℃まで安定し、又化学的にも安定しています。ダイヤモンドに比較して、硬さは多少劣りますが、耐熱性が良く、ダイヤモンドホイールで研削困難な、鉄系被研削物の研削に使用され、従来のA系と粒では研削困難な高V、高Crのような難削材料の研削や、研削条件の悪い内面、底面の同時研削のような分野に進出しています。耐熱性に優れていることは、同時にホイールの製造にも有利で、ビトリファイド法において、従来のA系、C系のといしとほざ同様の工程で製造が可能です。英国デ・ビアース社のものは茶褐色又は黒色でABNと称しています。国内産では、昭和電工のものが、SBN一の名称で多量に使用されるようになりました。
金属被覆された立方昌窒化ほう素(CBNC)
これは、合成ダイヤモンド(SD)に対する(SDC)と同様の考え方によったもので、主として、レジンボンド法のホイ一ルに使用されます。なお、(CBN)、(CBNC)共に、合成ダイヤモンド(SD)に比較して、原料も安く、製造工程上の温度、圧力共に低いのにかかわらず、と粒の製品価格が(SD)より高いことが、(CBN)、(CBNC)の最大の問題点であります。これは、(CBN)の生産量が(SD)に比較して、未だ格段に少いことが最大の理由で、従って、これが価格の引き下げは、今後の(CBN)の需要拡大にかかっているものと考えられます。
コンセントレーション(集中度)
普通といしにおける組織に相当するもので、下表に見られるように、880mg(4.4ct/p3)を100とし、これを中心として、定められています。
但し、この表以外に大では200、小では25も常用されます。
粒度
メタルボンド法(M)
ダイヤモンドと粒に、Cu,Sn,Fe,Ni等の金属粉末とフィラーを加え、粉末冶金法によりこれを台金に溶着してホイールを製造するものです。と粒の保持力が大きく、ホイールの寿命が長いのが特長で、普通一般には湿式で使用されます。比較的粗目で大形のものは、土木建築工事におけるコンクリートや石材等の切断に、小形のものはタイル等の切断に多用されます。コアドリル等にも使用されます。細目のものは、一般にホイールとして超硬合金、光学ガラス等の研磨に使われます。このように、非鉄金属、非金属への用途にっいては、使用と粒はダイヤモンドが大部分です。
レジンボンド法(B)
超と粒に対し・熱硬化性合成樹脂をボンドとし、フィラーを加え混合して、Alの台金の周囲に加圧、熱硬化させてホイールを製造するものです。と粒保持力が弱いので、従来は、粗研削には不向きとされていましたが、(SDC)、(CBNC)等のと粒の開発や、ボンドも・フェノール樹脂のみに止まらず、それ以外の樹脂の研究が進み、硬、軟自在の結合度範囲が得られ、特に仕上面アラサが良好なので、超と粒ホイールの主流を占めるに至りました。即ち、湿式、乾式両用で、粗研削から、仕上、精密研削に至る迄、広範囲に使用されています。但し、復雑なツルーイングが困難なため、総形研削、プランジカット等には、ビトリファイドボンド法、電着法のものには及びません。
ビトリファイドボンド法(V)
ダイヤモンドと粒の低耐熱性、低耐酸化性と、ビトリファイドボンドの焼成温度との背反性のため、開発が最も遅れた製法でしたが・低融点ボンドの研究や、真空炉、窒素気流炉等の利用が進み、漸く実用の域に達しましれこの製法の特長は、普通のビトリファイドといしと同様な気孔組織があること、耐薬品性が良いこと、又普通といしとほざ同様にツルーイング、ドレッシングが可能なこと等々の、(M)、(B)製法に比して、かなり異色な利点があります。従って、従来のA系、C系の普通といしによる精密研削や能率化を迫られている分野が、これに代替されると共に、特に長年に渉り、最も苦労した難削材料、悪研削条件等の問題も次第に解決に向い、用途は急速に拡大しつつあります。
電着法(P)
広く言えばメタルボンド法の一種とも考えられますが、Ni等の金属メッキにより、と粒を単一層に台金に接着して製造します。当初は、電気メッキのみでしたが、最近は、電鋳、化学メッキ等の手法が生れ、製法も多様になりました。この製品の最大の特長は、高精度な台金であれば、相当複雑な形状のものでも、整形が可能なため、総形研削、プランジカット等が、ツルーイングなしで容易に研削可能なことです。又、リーマ、ドリルをはじめ、ヤスリ、歯科用ポイント、糸鋸、更には薄物切断に至るまで、特殊な用途もあります。但し、と粒が単一層のため、ホイールの寿命が短いのが欠点ですが、台金の管理が良好ならば、数回にわたり再電着、再使用が可能です。
使用周速度
超と粒ホイールの使用周速度は、と粒の特性上一般的に遅く、ビトリファイド法の一般といしと同等程度で使えるものは、湿式によるCBNホイールだけで、ダイヤモンドホイールは湿式で、その1/2、乾式では、その1/4程度です。適正使用周速度は、被研削物、ホイールの仕様、研削条件により一概には決められませんが、ほぼ下表の範囲です。
超と粒ホイール、標準周速表 | 備考 但し、最近では高速(7,000m/min)で使用されるものも研究されています。 | |||||||||||||||||||||||||
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ホイールの取付時の芯出し
超と粒ホイールは、一般的に取付時にツルーイングを行わないので、ダイヤルゲージ等により、厳正な芯出しが必要です。又、フランジを用いない取付では、面ブレの修正が不可能なため、フランジは必ず使用して下さい。
切込み、送り等
研削盤の精度、剛性とホイールの仕様により異なりますが、一般的には次の数値です。
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研削液
超と粒ホイールは、その大半に、いわゆる気孔が無いので、研削液は、研削点に、正しく、多量に注がなければ効果がありません。少量では、切屑がホイール側に付着し、ホイールの寿命を低下させる恐れがあります。
目直しドレッシング
長期間使用したホイールの使用面には、切屑が付着して、チップポケットがつまり、目つまり状態になつています。このようになったら、ホイールの回転速度を落した上で、ドレッシング用のスティック(WA又はGC、#200〜#800のG〜Hの軟いといし)でホイールの表面を摩擦し、目つまりを除去して下さい。甚だしい場合は、ホイール表面が変形することがあり、そうなると修正のためのツルーイングが容易ではなく、又ホイールの消耗も大きくなるので、頻繁にドレッシングを行った方が好結果が得られます。