おはよう、ハリウッド・カメラ君。
おはよう。
皆さん、お元気ですか？

「この胸のときめきを」と 「明日に架ける橋」か。
いらないよ、ごまかせるさ。

僕がいつも使ってる連中です。
リズム・グループ。
彼らがショーの バックボーン(背骨)です。

お気づきのように、 我々は これらの曲を 知りません。 リハーサルもしてません。
今はただ ふざけているだけです。

["That's All Right"]
この野郎、まいっただろう。

昼食にしょう。
替えズボンがいるよ。 （え、まさか！）
ズボンの尻を破ちゃったよ。

["Little Sister"]
この野郎！
驚かせやがって。

"It's only words, words are all I have to steal your heart away, heart away."
ここは皆で "heart away"。

["Love Me"]
テンポは合ってたかい？

監督はどこにいるかな？　あそこにいた。
我々が あれをやる時は、 知らせてくれって言ってたっけ。
何の曲だったかな？
「この胸のときめきを」だ。
じゃ 知らせるよ。 今は やりません。

【「２０昼夜」を唄い終わって】
うまくいった。

カメラは無視しろってさ。
(ジジはどうしたの？)【ジジとはエルヴィスの側近の男性】
ジジはもうグループにいないよ。
(冗談でしょう。)
いや、彼は辞めた。 こんなことなんだ。 ジジは結婚して 赤ん坊ができたんだ。 そして、 メンフィスにも 子供がいるんだ。 その子は メンフィスに 残している。 というのも、 奥さんの両親が 面倒をみていて、 子供と 離れたくないんだ。 それで、 カリフォルニアと メンフィスに ひとりづついて、 行ったり来たりで、 少し大変だったのさ。
(彼の子供なのに、引き取れないの？)
彼の本当の子供じゃないんだ。 奥さんの連れ子なんだ。
(彼女はその子を引き取れないの？)
引き取ろうとしないんだよ。 家庭の問題で、 辞めたんだ。 彼には辞めてほしくなかったよ。
(彼も残念だったでしょうに。)

止めて。ＯＫ。 ホーンがここで 入ってくるんだ。 "If you need a friend" 丁度 "friend" のところ。 "need a friend. If you need."
["Bridge Over Troubled Water"]

止めて。よし、 そのハーモニーの部分が 気に入らない。 転換するとき、 何人かが ハズしたように 聞こえるんだ。 それはそれで 仕方ないけど。 しかし わざわざ 強調しなくたって いいんだよ。
（私が間違ったの）
"Sail on silver girl ..." 何か変えて やってみよう。 最後の （歌詞の） ところだけど。
["Bridge Over Troubled Water"]

ヨーデルもできるさ。

「朝のマリー」 夕食時のマリー。
あの うっとうしい送風機、 なんとかしてくれよ！ 【これは言葉遊び】

ジェームズ、ちょっと待ってくれよ。
スタートの合図は この僕が出すんだぜ。
ワハハハーーハ
まったく、うるさいヤツだな。
そのような言葉を使っちゃダメだよ。
カットされるよ。

お前の大口(big mouth)に、 Ｘレイト(成人向)の 紙を張られるよ。 「口」と言っただろう。 それはお前の考えそうなことだ。
僕は そんな言葉は使わないよ。 カットされるに決まってるからさ。
この映画では 「ばか野郎(big ass)」は 禁句だよ。
ＯＫ、 「朝のマリー」を。

It starts to get tense about this time.

カメラの前では鼻をほじらないこと。

今ぐらいからピリピリしてくるんだ。

この歌詞を忘れなければ 良いのだが。
「君を信じたい」の 歌詞を忘れないように。
["I Just Can't Help Believin'"]
(そう、そう、それが１行目だよ。 あとは大丈夫だ。)
最初の１行を ちゃんとやれれば、 うまくいくんだよな。

今夜の夕食時の 僕の姿を 見せたかったよ。 ８ビートで 食べてたんだぜ。 何も喉を通らなくって、 まだ ここらへんに つかえてるよ。 ポーク・サラダ・アニー。

もし歌が上手くいかなかったら、
衣装の メドレーでもやるか。
【ジャンプスーツのメドレー 見たかった】

ストレートのウオッカ、
これは効くよ。

「君を信じたい」の歌詞を
スツールの上に置いといてくれ。

ウェル・・・と言ったきり
何も始まらなかったりして。
["I Got A Woman"]

この曲をやってたのはね、 えーっと、 僕が赤ん坊の頃 だったっけ。 このように ひざを曲げて 傾いて・・
これは非常に優しいラブソングです。 バラードです。 女の子に 頬を寄せて、 こう言うんだ。 "YOU AIN'T.."
彼女の髪もぶっとんじゃう。
["Hound Dog"]

ご存知のように、この仕事を 始めた時、 僕は青臭いガキで、 脚をがくがくさせてたもんで、 エド・サリバンが 僕を見て、こいつは 「モンダイ児」だって。
とにかく ＴＶに出ることになり、 僕の上半身だけ 映したのです。
こんな風に・・・

ＭＧＭが映画を撮っています。
タイトルは、 「エルヴィスの腰も トーンダウン」とか、 「まだまだ健在、 あの腰ふり」 とかなんとか、 どうでもいいけど。
みんな、カメラにビビらないで。
Ｅのコードにして。 Ｇでも Ｆでも、 Ｄでも Ｂフラットマイナーでも、 そのプラスワンでも 何でもいいからさ。 何の話だったっけ。

【Excess は「過剰」という意味で、 Elvis The Pelvis と言われたほど 腰を振るのが 「過剰」だったことを 言わんとしてるようです。 最初のほうは その「過剰」をなくす、 つまり 前ほどでもなくなった という意味で、 後のほうは Excess に ass のニュアンスが 入っているようです。 （shake one's ass off 「尻を振る」は ほとんど慣用句）】

こうやって ずっと しごいていると どうなるかな。
【Ｈジョーク】
これは君の前に置くよ、ロニー、 ＯＫ？

何を笑ってるの？
これは僕の 最初のギターです。 さっきも 話したように、 当時は ちっぽけな ガキだったんだよ。 それでも 人に聴いてもらおうと 必死でね。
「ほら、僕、うまいでしょ」
「そんな声じゃ ダメだね、坊や」 なんて言われて。
「とうぎゅうしチャン、 だれと イッチョに いるんでチュか？」 【赤ちゃん言葉で】
僕の最初の映画です。皆さん。
["Love Me Tender"]
本当に このギターが 弾いてるんだよ。

落ちついて
すぐ　そっちに行くよ。

ゴメン、皆さんと出来なくて。

みんな、用意はできてるかい？
僕はまだだよ、まだ。 ＯＫ！
["I Can't Stop Loving You"]

何を持ってるの？　あれ、似てる。
君が書いたの？ すごく良いよ。
フンパーディンクに似てる。
【サインを求められて】　イイですよ。
みなさん、中断。いま少しだけ。
バヒージャという名前？ バヒージャ？
これは貰ってもいいの？
（気に入って頂けました？）
どうもありがとう、非常にすてきだ。
それはできないよ。ごめん。
【エルヴィスがペンを持ち去る】
分かった、分かった、いま返すからさ。

Ｃ＆Ｗのアルバムを作りました。
その中の曲で、タイトルは
「ジャスト・プリテンド」

今晩は、
はい握手、ハニー。 何処でもいいから。
ほら、できた。

ハイ、リトル・ガール。

オー、どうしたの？
（キスして）
（アイ・ラブ・ユー！）

分かった、本気の【キス】をお望み。
それとも ちょいと軽いやつ？

我々がこれをやり始めたら、
一晩中やるよ。
["Don't Be Cruel"]

["Suspicious Minds"]
何処に行くのさ？

どうもありがとうございました。
素晴らしい観客だ。
どうもありがとうございました。

That's all.

これでお終い。

ハリウッド・カメラを撃っちゃえ。

くそ！
ハ？ エンディングは気に入ってる。
「イエス・サー 良ござんした。」

演奏を。
そこでピアノを強く弾いて。 ＯＫ。 １行

そこは転調しないだろう？

（「ポーク・サラダ・アニー」は問題なし）
一番 神経がぴりぴりする 時間だよ。
オープニングだしさ。

ＭＧＭが撮影中です。
カメラに ビクビク(throw)しないで。
カメラを 投げ飛ばさ(throw)ないように。

音がしないよ。 いや来た。 １９５・・年に、 僕は・・・　 切れてるよ。 １９５６年に、 初めて 映画に出ました。 そして・・・

最初の映画に出ました。
明日はシュプリームスに 来てもらうか。
マヘリア・ジャクソンに リードを頼んで。

その映画のタイトル・ソングは こんな風でした。 ["Love Me Tender"]
こんな風に ずっと落ち目でした。 ＯＫ。

【客席内を歩くことが】 できるとは 思わなかったでしょう。 僕も 思わなかったよ。