■ ashes to ashes ■






さらさら
    さらさら
        さらさら

俺の中で音がする

俺が崩れていく音が



俺がデキソコナイと呼んだ
自分のことをわかっていない奴ら

だが、だからこそかろうじて
奴らは、川を渡らずに済んでいる


こちら側へ来たのは、俺ひとり


帰れない
帰れない
俺はもうニンゲンじゃない


渡ったさきにあったのは
人形のような笑顔
退屈な会話
ガランとした部屋


ペラペラと薄っぺらい、癇に障る連中を
紙のように燃やしてみた

空っぽにしたアタマの中に音楽を詰め込んでも
ひゅるひゅると風の鳴る音が胸に響き渡る


それでも渡りきってしまえば、何か見つかるか、と
柔らかく暖かく俺にまとわる光を
この手で叩き壊した


でもやっぱり
ここには何もない
俺に、意味はない

さらさら
    さらさら
        さらさら

灰は灰へ

意味ないものは、崩れるしかない

あの気まぐれな男は
自分が崩れる代わりに、周りを灰にするのだろう



消したはずの光が
俺が変わってしまった、と告げる

空っぽのはずの胸が痛む

さら
    さら
        さら

痛むような何かがまだ残っているのなら

さら
    さら
        さら

全部崩れてしまう前に、俺は……



material:by「茉莉堂」
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