あの小賢しげなガキがなにやら仕掛けたのか、
奴はもう一度皮をかぶる気になったようだ。
背中はまだ心許なかったが、なんとかなるだろう。
ライダーばかりの戦いで、俺の腹はふくれそうになかったが、まあ、しかたあるまい。
奴がその気にならなければ何も進まないのだから。
黒い姿となって「こちら側」に降り立った奴の手元に、俺は得物を落としてやった。
考えてみればまだ奴はカードを使っていなかったが…
まあいい、「サービス」というやつだ。
俺はやるときは全力でやる。
それなのに、
あのガキが使った妙なカードのせいで、俺の技が無効化された。
俺の目の届かないところで奴を戦わせる羽目になった。
つくづく…むかつくガキだ。
「ライダー」が何匹も固まって乱戦になりかけたとき、
例のカラクリ仕掛けが大きいのをぶっ放した。
奴はまたも律儀に喰らって吹っ飛んだ。
無傷ですんだ新顔と盾にされたガキがやり合いはじめ…
ガキが吹き飛んだとき、犀のやつが咆吼を上げた。
何を焦る。
何を嘆く。
まさか…悲しんでいるとでもいうのか。
契約などという枷から解き放たれて、自由になったことを喜べばいい。
せっかくいつか喰ってやろうとしていたやつを、
粉々にされてしまったのは惜しいかもしれないが。
また好き放題ニンゲンを喰らえばいい。
赤い「ライダー」の憤りに合わせるように、
龍のやつが蛇野郎を威嚇する。
何をニンゲンの感情に同調しているんだ。
どいつもこいつも馬鹿な…やつらめ。
何を……考えている?