背信

所詮俺には、ニンゲンの考えることなどわからない。
せっかく新入りの白い「ライダー」が、緑の「ライダー」を倒しかけたのに。
奴は戦いに割り込んで緑の「ライダー」を助けた。
おまけに「向こう側」に戻ったとたん倒れた機械仕掛け野郎との契約者を、白い建物に運び込みさえした。
せっかく「ライダー」が1匹減る機会だったのに。

1匹減らすのが、どれほど大ごとか、わかっているくせに。

最後の1匹となって、望みをかなえるのではなかったのか。
あの死にかけの雌のために。

あの紫の蛇もどきのように。
あのこすからい白いやからのように。
ためらわず、腕を振り上げなければ、
残れるはずがないと。

お前もわかっているはずなのに。

もう、止まれはしないのに。
お前がどんなに「ライダー」に向いていなくても。

最後に
誰もいない世界に
独り立つ
「ライダー」になるために
走り続けなければいけないのに。


せいぜい。
隙を見せるな。
せめて。
俺がお前を襲わないように。

俺が
ただ
従い続けていられるように。

author's note
RYUKI