金色の羽根を撒き散らしながら地に降り立った存在と四つの色の「ライダー」が向かい合う。
俺の身体を走り抜ける、嫌悪にも似たざわめきが、そいつに関わるなと知らせている。
すでに身体が動かなくなりはじめた俺の視界の中で、「ライダー」たちが金色の存在に軽々と弾き飛ばされていく。
そう、奴も。
金色の存在がカードを取り出し、何事か唱えるのを見ながら、ついに俺の意識は遠のいていった。
目の前にある黒い姿。
浮かび上がる、青く光る目。
「力が欲しい」
ややかすれているが、はっきりと耳に届く声。
今さら何を言っている。
俺の力は…もう差し出しているはずだ。
だが奴の掲げる忌々しいカードの中は空白。
何が…起こっている。
なぜ契約を繰り返さなければいけない。
あの金色のやつのせいか。
ここで目の前にある喉笛を食いちぎれば、俺は奴と関わりを持たずにすむ。
戦いに身を削らせる必要もなくなる。
口を開きかけて
頭にギンと響く痛み。
…なぜ目の前のニンゲンはここまで俺を強く見つめる。
「俺にはやらなければならないことがある」
吐き出す声に怒りの色さえ滲ませて。
なにものかが仕組んだゲームに何を賭けるのかと問うた俺に、命とたわけた答を返して。
命を。
命を強請られるのは奴だけではない。
俺もなのだと。
どこからか声がしたが。
退屈からわずかの間逃れてみたくて。
俺は翼の中に黒いニンゲンを抱き込んだ。
後戻りはもう…できない…
繰り返す。
繰り返される。
戦いの日々。
これが金色のやつのせいなのだと、ときおり不意に気が付いて。
何が変わる。
何も変わらない。
変えられない。
奴と俺はカードに縛られて、おそらくさほど遠くない「終わり」に向けて走り続ける。
なら、今は、一匹でも多く獲物を倒せ。
俺を少しでも強くしろ。
俺を何があっても使えるようにしてみせろ。
もう一度、
俺の目は金色の羽根を映す。
何を変えた。
何が変わった。
俺たちは何も変わらない。
これからもただ戦って。
貴様に辿り着いてみせる。