99/01/02

ここでは、日ごろ考えている陸上競技の指導法について書いています。何かの参考にしていただければと思っています。また、ご意見ご要望がありましたらメールを送ってください。


思いつき発刊「Result of Endeavor」創刊! update99/01/02

私の指導法その1 スプリントについて

私の指導法その2 跳躍種目について 


その1 スプリントについて

まずは、「走ること」について私の考えを述べたいと思います。私自身注意し ていることは、次の点です。

  1. 地面を押さえること
  2. 動的柔軟性を高めること
  3. 筋力強化を図る
  4. 反応時間の短縮
  5. イメージアップ

地面を押さえること

地面を押さえることとは、前回の私の意見でも述べましたが、 地面を引っかいたり、キックしたりしなさいと選手に言うと、大体の選手は脚 が後ろに流れる と思われます。 理想のランニングは、短距離長距離関わらず、前方への身体移動でブレーキに なる動きを極力押さえる のがそれだと思います。
ランニング時に、高い位置から地面をまっすぐに押さえなさいというと最初は 戸惑いますが、繰り返し練習すると脚が後ろに流れなくなります。
地面を押さえることで

いかがでしょう

動的柔軟性を高める

普通、柔軟性というとストレッチ体操において「よく身体が曲がる」「身体が 柔らかい」など(静的柔軟性)を追求していいますが、こと走るということに関 していうと、その柔軟性も重要ですがそれ以上に 動きの中で見られる関節可動範囲を重視するべきだ と思います。これを動的柔軟性といいますが、この柔軟性を高めるトレーニン グをしています。
何かの反動で静的柔軟性を超えるような衝撃が加わると怪我をします。そのた めにストレッチ等をするわけですが、いくらストレッチ等で柔軟性があっても、 走りの中で柔軟性がないと何の意味もありません。
人の走りを見て「大きな走り」をする選手は、動的柔軟性があるといえると思 います。
トレーニングとしては

などはどうですか

筋力強化を図る

陸上競技の筋力アップはボディービルダーのようにムキムキになることを目的 としていません。世界のトップの選手はムキムキに見えますが、ボディービルダ ーの筋肉とは違います。
ようは、 すばやく動ける筋肉を作る ことです。

ランニングにおいて、ハムストリングと大臀筋を最重要ポイントと考え、ウェ イトトレーニングでは

などを行っています

反応時間の短縮

短距離種目に得に重要な、音に対する反応を高めるトレーニングも必要だと思 います。実際にピストルを使わずに遊びの中でもトレーニングできると思います 。

他にもいろいろありますが、このような練習も忘れてはなりません。

イメージアップ

いい動きをするために良いイメージを持つ必要があります。 強い人の動きを見て勉強することも大切ですが、自分の動きも見る必要 があります。ビデオなどを利用して自分の動きと強い人の動き、または指導者 の意見との相違を確認した方通いと思います。とかく 指導者は自分の理想だけを押し付けがち ですが、選手本人がどのように考えているのかも確認しながら良いイメージを 作らせるべきだと思います。



その2 跳躍種目について

 いよいよシーズンインですが、ここでは跳躍種目、特に男女に共通した走高跳と走幅跳を中心にその技術と練習を紹介したいと思います。

  1. 踏み切りについて
  2. 跳躍種目のトレーニング
  3. 走高跳の技術とトレーニング
  4. 走幅跳の技術とトレーニング

踏み切りとは

 踏み切りとは、跳躍種目には欠かせない技術です。踏み切りなくして跳躍にあらずです。よく見られる指導の中に、踏み切りを無視した指導を見ることがあります。助走スピードが上がれば記録につながると思われるような表現で指導されているところです。確かに走幅跳や棒高跳では助走スピードが重要なポイントです。しかし、助走スピードが上がればそれに適応した踏み切り技術があると思います。その点をアドバイスすることが大切なのではないでしょうか。

 跳躍4種目の踏み切りはすべて同じと考える方が指導しやすいと思います。「そんなばかな」という声が聞こえそうですが、このように考えてはいかがでしょうか。

どうですか。

 以上の考え方から、次のポイントをイメージとして考えています。

イメージは湧きますか

短時間で短く

 身体を空中に持ち上げる種目は陸上競技の跳躍種目に限らず、バレーボールやバスケットボールにも見られます。バレーボールの踏み切りなどは、空中の1点(ボール)に正確に入ることが何よりも大切ですので、タイミングと方向性が要求されます。そのために踏み切りの接地時間が長く確実にボールに到達する踏み切りをしているように思います。それに対して跳躍の踏み切りは、助走のスピードも速くなおかつ片足で踏み切りますので、自然に踏み切り時間が短く強くなければならなくなるのではないでしょうか。

全身で踏み切る

 踏み切りのトレーニングで脚部のトレーニング(プライオメトリックトレーニングやウエイトトレーニング)をよく行いますが、踏み切りで体を持ち上げるときに上半身の重さが非常に問題になってきます。まったく上半身を無視すれば、これほど邪魔なものはありません。しかし逆に、上半身にある筋肉をうまく使って踏み切りに生かせば踏み切りは何倍にも強くなります。そこで

  1. 背筋上部・腹筋群・臀部の筋肉群のトレーニングで身体軸の安定を目的としたトレーニングです。
  2. 3個所の筋肉群を同時に収縮させその状態を6秒から8秒保持します。
  1. 身体を直立させる筋肉(踏み切り準備で屈曲された身体を瞬時に伸展させるための筋肉)を強くします。
  2. 脊柱起立筋・大臀筋・大腿四頭筋・腓腹筋の収縮速度を上げるトレーニングをします。

 脚部のバネだけで踏み切ろうとするのではなく、全身を踏み切り時に一気に伸展させ、助走のスピードに負けない踏み切りをする必要があります。

踏み切り前の1歩は速く

 実際の踏み切りでは、筋力だけではなかなかパフォーマンスをあげることはできません。そこで技術練習が必要になるわけですが、どのようなポイントに注意して練習されていますか。いろんな練習があり、選手の個性や特徴がいろいろありますのでそれぞれに合った練習をする必要があるのですが、絶対に忘れてはならないポイントが一つあります。それが、

踏み切りに入る前の1歩は速く

この1点だと思います。

 踏み切り前5歩のリズムを通常「1・2・3・1・2」と刻むと思います。その最後の「1・2」の部分を始めの「1・2・3」のリズムより速く刻むのです。いわば「タン・タン・タン・タ・タ」とでもいいましょうか、そんなイメージを忘れないようにした方が良いと思います。踏み切り足のタッチダウン(着地)スピードは、パフォーマンスの向上には欠かせないポイントです。

踏み切りは下から入る

 机を叩いてみましょう。真上から思い切り叩いて見てください。手のひらがヒリヒリするくらい痛みがありませんか。次に同じように机を叩くのですが、斜めに振り下ろしてみましょう。音はあまりしませんが、痛みはあまりありませんね。痛みのあるなしは、手のひらに衝撃があるかないかの差なのです。これを踏み切りにたとえると、真上から思い切り踏み切ると(叩くと)踏み切りで足の裏や脚に大きな衝撃(ヒリヒリ)を受けます。すると衝撃に絶えてから踏み切らなければなりません。できるだけ低くしたから衝撃を受けないように踏み切りに入ると(斜めに叩くと)衝撃を受けないで踏み切りに集中することができます。

 重心高の変化においても、衝撃が多いと、その衝撃に絶え今一度上昇の軌跡をたどるまでに若干のタイムラグが生じます。しかし、衝撃がない下からの踏み切りでは、踏み切りにおける重心の上昇にマイナス要素を与えることなく身体の上昇に移ることができます。


跳躍種目のトレーニング

 跳躍種目のトレーニングに必要な点について紹介します。跳躍種目として必要なことは、

が考えられます。

イメージトレーニング

 跳躍において私は、「イメージ8割」と表現して指導しています。やはりイメージが大半を占めていると思います。スプリントトレーニングだけで記録は伸びるでしょうか。跳躍練習だけで記録は伸びるでしょうか。跳躍種目は1試合に何本も跳躍を行います。幅跳、三段跳では1日最大9本(午前中の予選と昼からの決勝)、高跳、棒高跳ではおおよそ10本前後一試合に跳ぶことでしょう。そうしますと、1本目と2本め、ついては最後の1本まで同じような跳躍をすることが大切になってきます。自分の理想とする跳躍が何本も揃った時は、納得のいく試合となるでしょう。記録や順位にこだわる時もその記録をクリアするシーンをイメージするとか、日頃の練習でやってきた跳躍をイメージするとかいろいろ行います。心と身体はつながっていますので、イメージすることがそのまま身体動作につながります。しかし、少しでもマイナス要素を考えるとそれは強大なダメージとして帰ってきますので、プラスの要素を強く強くイメージすることです

プライオメトリックトレーニング

 ウエイトトレーニングなどで鍛えられた筋肉はそのままではゆっくりと力強く収縮することはできます。しかし、跳躍(特に踏み切り)では筋肉は一瞬のうちに収縮し大きな力を出さなければなりません。そこでウエイトトレーニングでも軽い負荷で速い動きで行っていると思います。それに加えて、

プライオメトリックトレーニング

によって1ランク上のバネを生み出そうとしています。

 全身の筋肉の速い収縮の必要性は先ほど述べました。このトレーニングでは筋肉の速い収縮と踏み切りのタイミングを計ることができます。その上、バネの要素であるアキレス腱への刺激も与えられます。ばねは、筋肉の速い収縮ではなくアキレス腱の収縮スピードによると研究発表がされています。ばねの強化も跳躍には必要ですのでぜひトライしてください。

ハードルジャンプ

ハードルを5台から10台、ハードル間を50cm〜100cmにならべて連続して跳躍をします。高さが低い時は間隔を短く、高くなるとやりにくいので間隔を広げます。注意する点は

地面に接地する時間を短くすること            

両腕を後ろから振り込んで踏み切ること          

重心が一番低くなった時点で両腕が身体の真横を通過すること

空中にいる時はリラックス                

絶えず次のジャンプを意識すること            

これを、徐々に高さを上げながら10本から15本行います。

ボックスジャンプ

50cm〜100cmの高さの踏み台を2台用意します。それを50cm〜70cmの間隔に並べ、片方の台に上ります。2台の間に飛び降りすぐに反対の台に飛び乗ります。向きを変えて同じ事を繰り返し行います。ハードルジャンプと同じような注意でこれを10回ほど繰り返します。

バウンディング

立ち五段跳び等で知られるバウンディング系のトレーニングも大切な練習です。実際にグラウンドに立って行うものですし、記録を測ることでトレーニング効果が目にみえてわかります。


踏み切り練習

 いよいよ踏み切りの練習です。先に述べたように、@一歩前は速く入ること A身体を自分の目的とした方向に運ぶこと を忘れずに練習します。

リズム練習

 1・2・3・1・2のリズムを忘れずに行います。

直線を使ってjog 50mから100mでリズムを考えながら行います。 1・2・3・1・2・・・1・2・3・1・2・・・1・2・3・1・2・・・と続ける

スピードを徐々に上げていきます。

踏み切りの最終局面だけ 1・2・・1・2・・1・2・・1・2・・1・2・・1・2・・ タタン・タタン・タタン・タタン・・

踏み切り足の運び

 踏み切り足の運びだけを行います。

 踏み切りに入る時は、できるだけ低い位置を運びます。先に述べました、上から踏みつけることのないようにするためです。

 踏み切り足が着地する時、ひざが伸びていなければいけないといわれますが、深く考える必要はないと思います。次の局面を考えるためにも強要しなくて良いと思ます。

 踏み切り足の着地後、離陸局面まで@スピードに負けないように A重心が下がらないように離陸方向へ身体を運ぶように力を加えます。この離陸方向というのが、走高跳では垂直に近く、走幅跳・三段跳では角度がより浅くなるのです

振り上げ足の運び

 振り上げ足の運びも大切です。

 シザース動作(踏み切り足と振り上げ足の交差動作)を速く行います。

踏み切り足の後方への引きと降り上げ足のすばやい振り上げから生まれます。その時上体も使って(ひねり動作)すばやく行います。

 方向は離陸方向へ

振り上げ足をやたらと上に引き上げないようにします。


走り高跳びのトレーニング

 ずいぶん遅くなりましたが、ここで少し紹介したいと思います。


上に紹介した踏み切りのトレーニングを基に高跳びの実際の練習方法を紹介します。

 1.助走練習
 助走は、ご存知のように直線部分コーナー部分に分けられます。

直線部分
 リラックスして走ります。ここではスピードにこだわらず、大きく楽に走る事に注意します。時々ホッピングのようにする選手も見られますが、私は踵から走るように指導しています。それは、コーナー部分に入るときにスムースな移行を求めたいからです。

コーナー部分
 直線とコーナーのつなぎ目では上体を内側に倒しながらコーナーに入っていきます。だいたい5歩前後となるコーナー助走ですが、コーナーの最後までカーブを走る事を忘れないでください。よく最後の3歩ぐらいで上体が起きて直線助走をしている選手がいます。それではせっかくコーナー助走をしてきた意味がありません。最後までカーブを走る事を忘れない!
 そのコーナー部分の5歩で上に示した踏み切り5歩のリズムを忘れないでください。

リズム変化
 全体のリズムとしては、最後の2歩を速く入るためにこのようにリズム変化をしてはどうでしょう。
   9歩助走の例

    
ターン・ターン・ターン・ターン・タン・タン・タン・タ・タ
     1   2   3   4   5  6  7  8 9

コーナー部分から駆け上がるイメージといいますか、最後の5歩は助走が伸びても変わりません。ただしあまり最初の直線部分で間延びしないように。

 2.踏み切り練習

踏み切り前半
 踏み切りは上記の助走から内傾したまま踏み切りに入ります。バーを跳び超える事ばかり考えると上体が先行してよい踏み切りになりません。あくまでも内傾のままです。
上から踏みつけるのではなく、踏み切りで紹介したように下から下から踏み込みます。踏み込んだ瞬間は身体を1直線にするようにすると地面からの反発を受ける事ができます。上から踏み込むと反発ではなく衝撃を受けてつぶれた跳躍になります。
 踏み切りに入るとき、上体を反対側つまりバーに背中を向ける方向にひねりを入れておきます。上体と下体をひねるわけです。

踏み切り後半
 踏み切りの後半、振り上げ脚を引き上げるわけですが、振り上げ脚は足首を十分に曲げて引き上げるとすばやくあがります。振り上げる時に先ほどひねっておいた上体を逆方向にひねり戻します。

離陸後
 離陸したら、力を抜いて振り上げた脚を自然に伸ばします。頭を後方に倒す(あごを上げる)とアーチが作られます。あくまでも後方に倒してください。バーに向かって身体を倒さないでください。それでもバーと交差するようにクリアできない時は、
 踏み切りに入るときに内傾と身体が1直線になっていないのです。
 独楽の原理
  コーナー助走での身長方向の軸に対する回転と、踏み切り時の前回り方向の回転で側転方向つまりバーに向かう方向の回転が生まれます。これが独楽の原理です。この力を使えばよいわけですから、あえてバーの方向に体を倒す必要はありません。


以上簡単に紹介しましたが、もしよろしければお問い合わせください。


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