神秘の輝きを放つ黄金繭

この輝きは自然のものなのです。 インドネシアのジャワ島には、ジョグジャカルタという街があります。日本で言うところの京都、奈良に匹敵する古都です。このあたりに生えている、ドンドンと呼ばれる樹の葉を食べる虫が、「世にも珍しい黄金の繭を作る」ということが日本につたえられました。我々スタッフはすぐさま現地へ飛び、そこで黄金の繭を目の当たりにしました。白か薄黄色の繭ばかり見ている私たちの目に、どんなに驚異に映ったことでしょう。


当社の黄金繭の商品にはこのマークが必ずついています。 まずこの黄金のまゆを、糸にすることが非常に困難でした。何せ、赤道からそう離れていない地域に出来ている繭のことですから、ちょっとやそっとじゃセリシンという接着剤が離れないのです。かといって意地になってグツグツ炊いてみても単なる繊維だけになってしまい、黄金繭じゃ無い物質にしてしまうだけです。こうして長期にわたり試行錯誤を繰り返し、ようやくそれなりの糸にひく事ができるようになりましたが、いきなり縮緬のラインに乗るわけも無く、更に試織と研究を重ねた末、ようやく今、陽の目を見ることになったのです。私たちの努力の結晶である、日本で初めての黄金繭ブランドを、真心込めて皆様にお届けします。


製織の様子をご覧になるジョグジャカルタ王妃 インドネシアでは、国内に生息する野蚕を使った事業を起こそうと、ジョグジャカルタ自治区の王妃が中心となり、様々な取組みをされています。現在までのところ、手紡ぎの糸によるタペストリーやテーブルセンターなどが出来てきているとの事です。繊度の小さい(細い)糸はまだこれからということのようですが、先日王紀が来日された折りに、後学のためとこの長浜産業にもお立寄りになりました。長浜で既に織物として出来上がっていることや、工場内で激しい音を立てて動く力織機をご覧になり、大変驚いておられました。これを機にますます交流が深まることが期待されます。

インドネシアの黄金繭(クリキュラ)について


 赤井弘という教授は、野蚕学会の会長で世界中のいろんな繭のことをご存知です。繭に限らず、さまざまな絹糸昆虫にも詳しいのですが、その赤井教授がクリキュラのことを右の文のように評しておられました。確かに今までに無い風合いと感触、そして色合いををもたらしてくれています。ちなみにこれは直筆の推薦文です。


下図は各々の繊維の断面を走査顕微鏡で写真に取ったものですが、クリキュラ(黄金繭)の糸は、黄金色をしているだけでなく、繊維の中に小さな孔があいているという最大の特徴を持っていることが分かります。ゆえに、緻密性の高い右図の一般の家蚕のシルクに較べ、密度が低くて非常に軽く、また吸水性・放水性に優れているという機能性繊維としてすばらしい特性を持っています。さらに、一般のシルクに比べてUVの透過率が低いという調査結果も、この小孔の存在が影響しているといわれています。

糸の断面図 走査顕微鏡写真(H.Akai)
黄金繭 繭の糸
(多孔性) (緻密性)

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