グリーンの適正価格
by 希望岬
 コラムという名の能書き(または暴論)も第2回を迎えました。
 今回はグリーンについてあれこれと。
 グリーンの権利書の定価はパシフィック通りとノースキャロライナ通りが$300、ペンシルバニア
通りが$320ですが、最初に止まったプレイヤーがそのまま買う事はなく、たいがいは競売に出され
ます。序盤なら$240〜$280ぐらいで落札されますが、関東の人は物件を高く見る傾向にあり、
$270以上、中にはそのまま定価買いする『太っ腹』な人もいます。
 なぜ競売にするのか? 「みんながそうしてるから!」と答える人が結構いるかも…。私もそうですが…。
しかし、競売にするのには、それなりの理由があるのです。
 グリーンは3枚揃えても家の建設費が1軒につき$200もかかります。グリーンを経営するには、
(全力で)5軒以上家が建たないと話になりませんが、その為には最低でも$1000は必要という事に
なります。そんな訳で、グリーンは揃える事さえ大変です。ダークブルーもグリーンと同じく1軒に
つき$200の建設費がかかるのですが、こちらは土地が2ヶ所しかないのでまとめやすく、しかも
$1000あればどちらかの土地に3軒目が建つ事になり、そこに止まったプレイヤーにかなりの
ダメージを与えられます(パークプレースなら$1100、ボードウォークなら$1400。
ただし、2ヶ所しかないので止まる確率は低くなりますが)。
 グリーンはモノポリーの8つのカラーグループの中で最も家が建ちにくい色なのです。家が建たない
色の権利書の価値は当然低くなります。せっかく買っても活用されず「持ってるだけ」に終わる事も
少なくありません。そんな訳で「定価で買う価値なし」と判断し競売に出すのですが、何を基準に
落札価格を決めているのでしょうか?
 モノポリーの権利書は、すべて抵当に入れれば、定価の半額を銀行から借りられます。例えば、
パシフィック通りの場合、定価$300の半額の$150が抵当価格となります。つまり、最低でも
$150の価値はある訳です。
 次にゲーム中、1つのマス目に止まる回数ですが、1ゲームにつき、1人あたり30回前後の
振り番が回ってきます。5人ゲームだとして、ボードのマス目が40ヶ所あるので、1つのマスに
止まる回数は1ゲームにつき、30(回)×5(人)÷40(マス)=3.75回。つまり、どんな場所でも
3、4回は止まるという事になります(刑務所行きやカードによる移動、ゾロ目などで多少の誤差は
ありますが)。
 権利書が売れた時に1回止まっているので、その土地にはせいぜいあと2、3回しか止まりませんが、
3回だとしておきます。パシフィック通りのレンタル料が$26なので、$26×3回=$78となり、
抵当価格の$150と合わせて、$228ぐらいは回収できそう、という事になります。つまり、
$230ぐらいで買えば損をしない、…はずです。あとは物件の将来性などの付加価値、他の権利書の
売れ行き、ゲーム展開、プレイ人数によって上下します。
 私にとって、この$230という数字が上限価格で、グリーンを買う負担の方が付加価値を上回る、
と思っているのですが、他のプレイヤーは1、2枚目のグリーンでも平気で$270前後で落札して
います。前述の$78でさえ回収の見込みは不明なのに…。しかし、定価で買う人は少なく、やはり
「定価だと高い」という事なのでしょう。ただ、「高い」と感じる物件は、定価より数十ドル安く
買えても「高い」事に変わりはないのですが…。
 前回同様、「投資金額」について。
 グリーンの競売を$250で落札した人が「$100の投資だから買う」などと言ったりしています。
$250で買っても、抵当価格の$150を差し引けば$100しか投資してない、という訳です。
 しかし、前回も申しましたように「$250で買えば$250の投資、$300で買えば$300の
投資」なのです。最初から抵当に入れるつもりで買う人はいないはずです。抵当価格の$150は
あくまでも「確定」でしかありません(交渉などで他人に物件が渡る可能性もあるので)。現状では、
「手持ち現金を$250減らし、物件が1枚増えただけ」に過ぎないのです(夢のない発言ですが…)。
だいたい、序盤にニューヨーク通りや鉄道を買う時に「$100の投資だから買う」などと言う人は
いないのに、どうしてグリーンの時はそういう言い方をするんでしょうねえ。その言葉自体、心の
どこかで「高い買い物をした」と思っている証拠ではないでしょうか。落札価格が高くても安くても、
そんな後ろ向きな気持ちならグリーンは買うべきではない!と断言します(これで多くのモノポラーを
敵に回したかな?)。
 私はゲーム中、グリーンを$270以上で買った人の動向を観察しておりますが、高く買った割に
あまり成果を挙げていないように思えます。特にグリーンが3人に分散した時は。
 「他の人もこれぐらいの値段で買っているから…」などという中途半端な考えで買うのは良くありません。
(と言っても最初はみんなそうなんですが…)。グリーンは使えない事が多い上に、競売で買っても
それなりに高額ですので、買う時はそれなりの覚悟をすべきです。

 グリーンは揃えて家を建てるのも大変ですが、5軒→7軒→9軒といった具合に増築していくのは
もっと大変です。1軒あたりの建設費が高いという理由以外に、「(家が建ちにくい)グリーンに家が
建っている時は、他の複数のカラーグループにも家が建っている」事が多いからです。
 1対1の殴り合いならまだしも、グリーンの場合、常に1対2、1対3という形になりやすく、多少の
レンタル料収入があっても、あちこちで支払いが生じる為、増築費用を捻出するどころか、家の軒数を
維持するのも大変です。やっとの思いで7軒目を建てても、所持金が少なく、鉄道やライトブルーに
はまってあっけなく崩壊、というケースは珍しくありません。そして、一度崩壊したグリーンは、
ライトブルーやオレンジのように簡単に復活できません。
 また、グリーン6軒を建てた時のレンタル料は、パシフィック通りから順に、$390、$390、
$450となりますが、これは、ライトブルー12軒のレンタル料(オリエンタル通り、バーモント通り
$400、コネチカット通り$450)に似ています。グリーンの方がライトブルーより止まる確率が若干
高いのですが、ほぼ同額と見て良いでしょう。しかし、ライトブルー12軒の建設費は$600なのに対し、
グリーン6軒は、倍の$1200もかかるのです。
 グリーンも9軒になれば一人前で、レンタル料も、$900、$900、$1000となるのですが、
前述のように、9軒までこぎつけるのがまず大変ですし、グリーン9軒と同額の建設費でイエローなら
12軒建ち、レンタル料もアトランティック通り、ベントノール通りが$975、マービンガーデンが
$1025、とグリーンを上回っております。オレンジなら全部ホテルにしても$300のお釣りが来る上に、
レンタル料も$950、$950、$1000となりグリーンよりも止まる確率の高いオレンジの方が
期待値が上です。
 以上の事から、グリーンは投資効率の悪いカラーグループと言えます。揃えるのも大変、家を建てるのも大変、
増築するのも大変、そして何より勝ちきるのはもっと大変です。
 どうです?これでグリーンを買う気も経営する気も少し失せたでしょう。それでも買うって?
 しょうがないですねえ。じゃあ、次の注意を守って下さいよ。

 ☆グリーンを買ってもいい…かもれない時
@物件の売れ行きが悪い時
A他のプレイヤー同士の交渉が難航している時
B鉄道や電水が高く売買された時
などで、いずれもスローペースが予想されます(あくまで予想)。そうなれば徐々にグリーンは効力を
発揮する…はずです。
 ★グリーンを買うのはちょっと…という時
@他の物件の売れ行きが良い時
Aいつでもライトブルーやオレンジが揃いそうな時
Bダークブルーを買っている時(高い権利書は2色もいらない!…と思う)
など、早い展開になりそうな時や手持ち現金が少ない時にグリーンを買うと大きく出遅れる原因と
なってしまい、それこそ「$250の購入は$250の投資(つまり破産?)」になりかねません。
$230以下でも買わない方が身の為です。何も買えない時でも辛抱して違うお金の使い道を考えましょう。

 どうでしょうか。何となく電水の売買に似てませんか?
 どちらも買うにはそれなりのリスクを伴いますが、買わなくても(売っても)ゲームから取り残される事は
少ない、というのが共通しています。

 私は「電水は売る、2枚目の鉄道もなるべく売る、グリーンは買わない」の3つを徹底し、ひたすら
現金主義を貫き、それを実らせ、全国大会出場を果たしました(家庭よりもモノポリーを大事にしたから、
という説もある)。現金をたくさん持っていれば、他人が苦労して揃えたばかりのグリーンを、自分の物件+
現金少々と交換する横着な交渉も十分あり得ます(何度か経験あり)。グリーンは1枚も買わなくても、
グリーンの経営は可能なのです。無理してグリーンを買うのはやめましょう。
 
 延々とグリーンの悪口を書いたので、グリーンの良い所も。
◎資産計算の時、有利になる
 競技モノポリーの場合、制限時間が終了した時点で各自の資産を計算します。例え競売で$270で
落札したグリーンでも定価の$300(または$320)として計算します。こうなれば、ある意味、
投資は回収されたと言えます。抵当でも$150($160)となる為、ゲーム終盤になれば、他のプレイヤーが
持っているグリーンの裏を数十ドルで買い、資産アップを狙うケースもあります。
 さらに、グリーン6軒の総資産は$2120ですが、これはオレンジが全部ホテルの時の$2060を
上回るのです。収益力では後者の方がはるかに上なのに…。このようにグリーンを持っていると、資産勝ちを
してしまうケースが多々あります。
◎3枚揃えて平地攻め
 同じカラーグループの権利書をすべて揃えると、レンタル料は倍になります。グリーンの場合だと、
$52、$52、$56となります。中盤から終盤にかけ、将来の追加経営などを含みに、とりあえず
3枚揃えておきます。無理に家を建てなくても、手持ち現金が不足しがちな終盤には、上記のレンタル料で
家が崩れるなどのダメージを与える事があり、俗に「平地(ひらち)攻め」と言います。
 
 前述したように、私はグリーンを$230以上で買う気はありません。もっと正直に言うと、競売の時、
値段を吊り上げてるだけで、買いたくありません。たとえ自分の7、8マス先のグリーンが競売になっても
静観しておりますし、グリーンの経営者に勝たれてたら仕方がない、と思っております。
 安くても使える権利書2、3枚分の値段で、使えるかどうかわからない権利書1枚を買うのは勇気が要ります。
 ただ、電水にしてもグリーンにしても「買うな!」とは申しません。モノポリーに「絶対」という言葉は
絶対ありませんから…。むしろ初心者の方は最初は定価で買ってみて、それだけの価値があるのかどうか、
身をもってわかって頂いた方が良いかもしれません。
 「グリーンの適正価格」それは、まわりの相場や常識に左右されず、自分自身で決めるべきです。競売に
なった時、「高いか安いか」だけでなく「買うべきか買うべきでないか」もよく考えましょう。


 …などと偉そうな事を言いながら、先日、不要なグリーンを$270で買ってしまった…。
 コラム担当を降りようかな…。
というわけで新年明けの例会からは270以上での購入者とはいわずGrの購入者の方には投資
効果を記録いただきみんなで観察しましょう(笑)・・・外野からのちゃちゃ
→投資効果計算書(これに書いてね:まじ?)