先日、と言ってもずいぶん前になりますが世界選手権が行われました。4年に一度のビッグ
イベントも終わってしまえばあっという間の気がします。今回は初の日本開催という事もあり、
日本から出場の2選手にも注目が集まりましたが残念な結果となったようです。次回の世界
選手権は2008年(たぶん)。気が早いですが、今度われわれが開催するレークサイドモノポ
リー大会もその「一次予選」を兼ねております。前回に続きしつこい勧誘で申し訳ありません
が、11月28日は島ノ関から世界を目指しませんか?
☆家を崩す
収拾がつかないまま、このシリーズも4回目を迎えました。震災や水害などで家屋倒壊が相次
いでいる時に気まずいですが、今回のテーマは「家を崩す」です。
「家が崩れる時とは?」
まずは、あらためて基本的な事から。カラーグループを経営しているプレイヤーは、手持ち
現金などで支払いきれない負債が発生した場合、建てている家を売却する事になります。例えば、
ライトパープルを経営し、$250の現金を持っているプレイヤーに$400の支払いが発生
したとします。このままでは$150足りませんが、持っている権利書を抵当に入れたり、他人
に売るなどして不足分を調達できなければ家を売るしかありません。仮にそのまま$150の
負債だとすれば家を何軒売れば良いのでしょうか?
各カラーグループの家1軒あたりの売却価格は、
○ダークパープル、ライトブルー $25
○ライトパープル、オレンジ $50
○レッド、イエロー $75
○グリーン、ダークブルー $100
となっております。ですから、この場合なら家を3軒売る事になります。
蛇足ですが、ライトパープルの場合、負債金額$50につき家1軒の売却となるので、もし、
これが$151の負債なら、さらに1軒売却しなくてはなりません。たった数ドル足りないせい
で家を1軒多く売却する事はよくあり、その直前に支払った$10や$20のレンタル料が響い
てきたりします(ですから「平地攻め」は侮れないのです)。
ホテルが建っている場合はどうなるのでしょうか?
ライトブルーにホテルを3軒建てているプレイヤーがレンタル料を支払いきれず、$200の
負債が発生したとします。前々回、「手持ち現金で支払えない負債が生じた時以外のケースで
ホテルを売却する時は一旦、更地にする必要がある」と述べました。しかし、この場合は手持ち
現金で支払えない負債なので、「ホテル=家5軒」として計算します。ホテル3軒は家15軒と
なり、ライトブルーは負債額$25につき家1軒の売却となるので、200÷25=家8軒の
売却、という事で15−8=家7軒が残る事となります。しかし、これも銀行にそれだけの数の
家が残っていなくてはなりません。通常なら「ホテル3軒→ホテル2軒+1ヶ所だけ家4軒」に
なる程度のわずかな負債でも、銀行に家が残っていないせいで「ホテル3軒→いきなり更地」に
なってしまう悲劇もたまにあります。「ホテル=家5軒」と申しましたが、厳密には「ホテル≒
家5軒」です。ホテルにすれば、もう後戻りはできないと覚悟しましょう。
「家を崩しに行く」
「なぜ、家を崩す必要があるのか?」と聞かれれば、「そこに家が建っているから」とでも
言えばいいでしょうか。家をたくさん建て、高額レンタル料を得た(得られそうな)プレイヤーを
放置すると、そのまま圧勝されてしまいますし、逆に高額出費をしたプレイヤーは再起不能と
なる恐れがあります。ですから、高額レンタル料収入が見込めるプレイヤーの独走をとめる意味
でも、そのプレイヤーの家を崩しに行く必要があるのです。
(例題5)
Jさんはレッドに家を9軒建て、現金を$300持っており、なおかつ、レッドの手前に2人
「お客さん」がいます。「このままではまずい」と危機感を持った他のプレイヤー達が結束し、
Gоマスにいる振り番のJさんを狙うべくKさんにライトブルーを経営させました。ちなみに
Kさんの所持金は$600で、他にグリーンのパシフィック通りを持っています。ここでKさん
はどうすればよいでしょうか?
@ カラーグループは「3軒目の家が大事」なので、3軒オールとなる家9軒を建てる
A 所持金の$600をすべて使い12軒建てる
B 所持金だけでなく、パシフィック通りを抵当に入れ、ホテルを3軒建てる
C 家を建てると現金がなくなるので、将来のレッドでの支払いに備え何もしない
いつものように、モノポリーに絶対という言葉は 絶 対 に なく、「これが正解」と断定
できない事をお許し下さい。
まず、@ですが、「3軒目の家が大事」と言っても、ライトブルー3軒オールのレンタル料
では、オリエンタル通り、バーモント通りが各$270、コネチカット通りが$300にしか
なりません。これでは、Jさんがライトブルーのどこに止まっても現金であっさり支払われて
しまい、レッドの家9軒は残ったままとなります。ちなみに、レッドが9軒の時のレンタル料は、
ケンタッキー通り、インディアナ通りが各$700、イリノイ通りが$750なので、2人いる
お客さんの内、1人でも止まればゲームが一方的になるかもしれません。
では、Aはどうでしょうか? 確かに12軒ならレンタル料も$400または$450なので、
今度はJさんがライトブルーのどこに止まっても$100または$150の負債となり、レッド
の家2軒を売却する計算になります。ただ、それでもレッドの家は7軒残ります。先ほどよりは
危険が減ったとは言え、7軒という事はどこかの土地に3軒建っている訳で、依然として$700
もしくは$750の支払いのおそれがあります。話が少しそれますが、「ライトブルーは12軒」
という妙な固定観念を持ち、どんな時でもライトブルーに12軒しか建てない人を時々見かけ
ます(と、偉そうに言う私も前科多数あり)。しかし、「12軒」というのは、序盤で先行経営
するような時であって、レッドに9軒建っているこの状況はもはや終盤戦です。非力なライト
ブルーが12軒ぐらいでは生ぬるいと言えます。
C…。確かに、ここでライトブルーを経営してもJさんが止まらず、逆にKさんがレッドに
止まれば破産する可能性さえあります。しかし、このまま何もしなくても、いずれ破産するのは
同じです。物騒な言葉ですが、「殺(や)らねば殺られる」それがモノポリーなのです。Jさんが
6、8、9の目を出せばライトブルーに止まるこのチャンスを逃す手はありません。カラーグル
ープを揃えておいて何もしないぐらいなら、最初から他のプレイヤーに経営させるべきです。
以上の理由でBが正解(のはず)です。手持ち現金だけでは家12軒までしか建てられませんが、
パシフィック通りを抵当に入れれば銀行から$150受け取れるので、その現金でホテルにする
事が可能となります。特に終盤戦においては、持っている権利書を抵当に入れてでも家を増築
して勝負をかける事がよくあります。
ライトブルーもホテルになれば、レンタル料も$550(コネチカット通りは$600)となり、
Jさんはどこに止まっても$250または$300の負債という事で、今度は家を4軒売却しな
くてはなりません。レッドが5軒、例えばケンタッキー通り1軒、インディアナ通り、イリノイ
通り各2軒となれば、レンタル料は$90、$250、$300となり、「お客さん」の2人も
安心してダイスを振れる事でしょう(??)。
増築を怠ったせいで家が崩れなかった、というのはよくあります。このように、相手の所持金と
自分の経営するカラーグループのレンタル料との関係を把握し「何ドル以上の支払いでダメージ
を与えられるのか、その為には家を何軒建てれば良いのか」というのが非常に重要となります。
「そんなに都合よく相手の所持金がわかるのか?」という突っ込みがありそうですが、カラー
グループの経営者の場合、「どういう条件で経営をスタートし、収入と支出がどのぐらいあった
のか」さえわかれば、ある程度の所持金を把握できる…はずです。
では、このケースでJさんの所持金が$700だったとすればどうでしょうか?
今度は$550や$600の支払いでも家が崩れません。しかし、それでもJさんの所持金を
減らしておけば、Jさんがこの後、修理費のカードを引くなどの不意の出費をした時に家が崩れ
るかもしれませんし、ライトブルーに連泊する可能性だってあります。「焼け石に水」で終わる
かもしれませんが、独走しそうなプレイヤーに少しでもプレッシャーをかける事は重要で、全く
の無意味とは言えません。ですから、揃えられるカラーグループがあれば揃え、家を建てるべき
です。
「家の崩し方」
今度は家を崩す側の話を。不幸にして家を売却する場合でも、どういう家の残し方をするかは
重要です。それによって再浮上できる事だってありますから。と言っても、「お客さんの駒位置
(少しでも止まる確率が高い土地の家を1軒多く残す)」、「チャンスカードの存在」を重視する
のは家を建てる時と同じなので割愛します。では、2つ以上のカラーグループを経営している
場合はどうでしょうか?
(例題6)
ライトパープルとイエローの2色経営をしていたLさんは、3軒建っているグリーンのペンシル
バニア通りに止まり、$1000の支払いが発生しました。Lさんの所持金は$150しかなく、
差し引き$850の負債が残るのでどちらかのカラーグループの家を売却するしかありません。
ちなみに、ライトパープルにはホテル3軒が、イエローには家6軒が建っており、どちらにも
「お客さん」が1人ずついます。さて、Lさんはどちらの家を崩せば良いでしょうか?
@ ライトパープルを崩す
A イエローを崩す
B チャンスカードの「セントチャールズプレースに進む」が引かれていればライトパープルを
崩し、そうでなければイエローを崩す
しつこいですが、「絶対にこれが正解」とは言い切れません。
まずは、「無事に支払いができるのか」が重要です。どちらか一方を崩してもまだ足りない、
となれば話が変わってきますので。
ライトパープルを崩す場合、1軒あたりの売却価格は$50なので、ホテル3軒(=家15軒)
売却で$750。そして、ライトパープルの権利書3枚の内、2枚を抵当に入れれば$140
(または$150)となり、無事に支払えます。
イエローを崩す場合、1軒あたりの売却価格は$75なので6軒売却で$450、そしてイエ
ローの権利書3枚をすべて抵当に入れれば$400で計$850となり、ちょうど支払えます。
そうなれば、「収益力の低い方」、または「お客さんの少ない方」を崩す事になりますが、
「お客さん」はいずれも1人ずつなので「収益力」で判断する事になります。ライトパープルは
すべてホテルなので、レンタル料はセントチャールズプレース、ステーツ通りが$750、バー
ジニア通りが$900なのに対し、イエロー6軒は、アトランティック通り、ベントノール通り
が$330、マービンガーデンが$360という事でライトパープルの方が上となります。ちな
みに、ライトパープルがホテルの時の収益力は、レッドやイエロー9軒の時とほぼ同等です。
そういう事も考えれば、Aの「イエローを崩す」が正解となります。この場合は収益力が大差
なので、Bのチャンスカードの存在はあまり関係ありません。仮にイエローにお客さんが2人
以上いたとしても、ライトパープルを崩したついでにイエローに7軒以上建たなければ意味が
ありません。収益力(レンタル料)の高いライトパープルを残す事によって、ライトパープルに
2人ぐらいお客さんが止まった時に、再びイエローに家が建つ展開が望めます。
最後に変わった家の崩し方も紹介しておきます。
例えば、イエローに家を7軒(アトランティック通り3軒、ベントノール通り、マービンガー
デン各2軒)建てている時に、お客さんがレッドのインディアナ通りにいたとします。3、4、
6の目を出せばイエローに止まりますが、肝心のアトランティック通りには3の目を出さなく
ては止まらないので、あまり期待できません。かと言って、マービンガーデンあたりに増築した
くても、所持金が$75しかなく不可能です。では、どうすればいいのでしょうか?
「3マス先のアトランティック通りと6マス先のマービンガーデンが逆ならいいのに…」と
考えれば答えが見つかります。まず、アトランティック通りの家を1軒売却して銀行から$75
を受け取り、手持ちの$75と合わせた$150でマービンガーデンに家を1軒建てればいいの
です。「1軒目」でもお話しましたが、3の目が出る確率は36分の2なのに対し、6の目が
出る確率は36分の5(ゾロ目で二振り合わせて6が出る確率もわずかにあるので実際には36
分の5以上)という事で、何もせず3の目に賭けるよりは可能性が高くなります。厳密には家を
崩すと言うより家を建て直すと言うべきですが、わずか$75の投資でこんな事もできるのです。
その代わり、3の目を出された時はショックが大きいので、「建て直し」は自己責任でお願いし
ます。また、家が競売となるおそれがある時は、自分が売った家を買えなくなる可能性が高い
ので、何もしない方が無難です。
以上、4回にわたって行き当たりばったりで話を進めてまいりました。「家を建てる」という
行為は勝敗に直結してきます。建てすぎても建てなさすぎてもダメで、家を建てるって本当に難
しいものです。テーマとしては非常に重く、完結に4ヶ月少々を費やしましたが、その割に大事
な話が抜けていて、どうでもいい話ばかりしている気が…。
このコラムも今回で20回目となりました。最近は更新のペースが落ちているのでそろそろ、
といきたいのですが、今後も重いテーマが残っているのでどうなる事やら……。そんな事より
今は、大会が無事成功するかが一番心配です………。
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