「不況になるとお笑いブームが来る」などと言われています。芸人批評はともかく、笑いに
よって世の中の辛い事を忘れたい人が多いからなのでしょう。数年前、ハローワークで偶然
再会した小学校時代の同級生に「漫才コンビを組んでＮＳＣ(吉本興業が主宰するお笑いタレ
ント養成所)に入ろう」と勧誘された時は「そんな事やってる場合じゃないだろう」と呆れま
した。彼がその後相方を見つけたか仕事を見つけたかは知りませんが、これも不況の影響なの
でしょうか。

　「格言」、それは教訓や道しるべであったりします。７０年の歴史を持つモノポリーにも
そういうものがあるはずです。そこで今回は、モノポリーにまつわるあれこれを勝手に格言風
にしてみました。と言っても以前、某匿名掲示板に書き込んだものも多数ありますが(恥)、
気にせずに話を進めていきましょう。

　『序盤は物件が大事、終盤は現金が大事』
　これはよく言われている(？)言葉です。
　「権利書を買う」という行為自体は、所持金を減らすので「損」をしています。しかし、
この先何が起こるかわからない序盤では、すべての権利書に未知の可能性があります。現金
ばかりたくさん持っていても、有効な使い道がなければいずれ破産するだけです。スタート
から１〜２周目あたりの序盤は買える権利書はすべて買っておいて損はない…はずです(グリ
ーンは例外ですが)。
　ただ、中盤から終盤になると、家の建設やレンタル料の支払いなどで所持金が少なくなり
がちです。どうしても現金が必要となれば、持っている権利書を抵当に入れたり、他のプレイ
ヤーに売却する事もあります。また、序盤と違って「使える権利書」と「使えない権利書」の
差がはっきりしてくる時期でもあります。ただでさえ所持金が少ない時に、使えない権利書
なんかに未知の可能性を求めて投資する余裕などありません。ですから、「使えなさそうな
権利書」だと感じたらオレンジなどの有力色であっても買わずに競売に出す事さえあります。
権利書を抵当に入れても定価の半額しか銀行から受け取れないので、終盤においては、定価
＄２００の権利書よりも現金を＄１５０持っている方が勝る、なんてケースも珍しくありま
せん。数ドルや数十ドルが明暗を分けるモノポリー。特に終盤は現金を大事にしましょう。
　
　『序盤に釈放券を売るな』
　チャンスと共同基金に１枚ずつ存在する釈放券カード。これを刑務所から出所する時に使え
ば、出所料の＄５０を支払わずに済みます。そして、刑務所から出所するプレイヤーは、釈放
券を持っているプレイヤーから釈放券を買う事があります。＄５０より少しでも安い金額で
釈放券を買えればその分だけ得で、だいたい＄４０〜＄５０ぐらいで売買されています。
　しかし、「Ｇо　ｔо　ｊａｉｌのマスに止まった」、「ゾロ目を３回連続で出した」、
「チャンス、または共同基金で『刑務所へ行く』のカードを引いた」と様々な理由で刑務所へ
収監される極悪人が後を絶ちません。序盤ならこの後自分が刑務所へ入る可能性も十分あり
ます。釈放券は他人に売れば＄１〜＄４９の得(＄５０以上での売買は禁止されています)、
自分が使えば＄５０の得です。もちろん、釈放券を売って目先の利益に走るか、自分の為に
残しておくかは自由ですが、先ほども申しましたように終盤は所持金が少なくなりがちです。
「出所料が払えず大事な家を売ってしまった」、「あの時釈放券を売らなければ良かった」
なんて事がなければいいのですが…。

　『出所される前に釈放券を売れ』
　刑務所内にいるプレイヤーが出所する時に釈放券を売るのが普通です。しかし、「(刑務所
から)出ません」と宣言したプレイヤーがゾロ目を出した場合、強制出所となるので出所料は
不要です。ちなみに、ゾロ目が出る確率は３６分の６＝６分の１。刑務所から出所する意思の
ないプレイヤーは、９９パーセント３回目の振り番まで刑務所に居座るので、その間にゾロ目
が出る確率は６分の１×３＝２分の１。つまり、刑務所から「出ません」と宣言したプレイ
ヤーの半分は「タダ出所」をしているのです。出所料を払わなくてもいいプレイヤーが釈放券
を買ってくれる訳がありません。ですから、どうしても釈放券を売ってしまいたいのなら、
少しでも早く売らないといけません。できれば、誰かが刑務所に入った瞬間に＄２０〜＄３０
で売るのがいいでしょう。金額的に少し安い気もしますが、相手に「タダ出所できる確率が
半分あるけど、この金額なら買ってもいいかな」と思わせる事も大事です。釈放券を最後まで
持っていても資産計算の際には１ドルにもなりません。くれぐれも釈放券を売り損なわぬよう
ご注意下さい。

　『ライバルから釈放券を買うな』
　釈放券シリーズも最後となりました。もし、釈放券が＄４０で売買された場合、売った側と
買った側との差は＄８０となります。ほんのわずかな資産差で順位が決まる事もあるので、
特に順位争いをしているライバルから釈放券を買う時は注意が必要です。ライバルから釈放券
を＄２５以上で買うぐらいなら、自分で出所料＄５０を支払った方が得です。仮に＄２４以下
で売ると言われても「何かある」と思って間違いありません。たとえわずかでもライバルに
余計な資金を提供すると、それをよからぬ事に使われるおそれがあります。ともかく、ライバ
ルからは釈放券を買わない方が無難と言えます。

　『鉄道を買ったら電水は売れ』
　ここで言う「買ったら」とは、他のプレイヤーから買うという意味です。
　例えば、リーディング鉄道と電力会社を持っているＡさんが、Ｂさんのペンシルバニア鉄道
を＄４００で、Ｃさんの水道会社を＄２７０でそれぞれ買ったとします。これでＡさんは鉄道
２枚＋電力・水道の形となりました。数十ドル単位のレンタル料が見込める土地(会社)を４
ヶ所持ち、一見すると楽して稼げそうに思えます。しかし、Ａさんはペンシルバニア鉄道と
水道会社を計＄６７０で買い取っています。リーディング鉄道と電力会社は定価(＄２００＋
＄１５０＝＄３５０)で買っていたとしても、鉄道と電力水道を揃える為に＄１０２０も使って
いるのです。そこまでしても鉄道２枚のレンタル料は＄５０(期待値約＄１６〜＄１７)、電力
水道のレンタル料は＄２０〜＄１２０(平均＄７０、期待値約＄２２)でしかありません。プレ
イヤー１人あたりの期待値を約＄４０として、５人ゲームなら、＄４０×(自分以外の)４人＝
約＄１６０。つまり、鉄道２枚と電力水道を両方持っていても１周あたり＄１６０ぐらいしか
収入が見込めないという計算になります。これでは、投資分(＄６７０)の回収は大変で、ちょ
っとやそっとのレンタル料収入で喜んでいられません。
　もし、鉄道を同様にＢさんから＄４００で買い、電力会社はＣさんに＄２７０で売ったと
すれば、＄３５０(リーディング鉄道と電力会社の購入費)＋＄４００(Ｂさんから買ったペン
シルバニア鉄道)−＄２７０(Ｃさんに売った電力会社)＝＄４８０。つまり、Ａさんは差し引き
＄４８０の出費で鉄道を２枚にした事になります。電力会社は売ったものの、「２枚目の鉄道
を＄２８０で買った」と考えれば安いものです(？)。
　自分１人で鉄道も電力水道も経営する「公共王」を目指すのは欲張りすぎで、俗に言う
「重い(動きづらい)」形となってしまいます。
　「鉄道を買ったら電水は売る」、「電水を買ったら鉄道は売る」。それがバランスという
ものです。

　『鉄道は３枚目が一番高く売れる』
　以前、鉄道のコラムで「４００、６００、８００の法則」について触れました。他のプレイ
ヤーとの交渉で鉄道を揃える場合、
　１枚持っているプレイヤーが２枚目を買う時は＄４００前後
　２枚持っているプレイヤーが３枚目を買う時は＄６００前後
　３枚持っているプレイヤーが４枚目を買う時は＄８００前後
　というのが一つの目安です。これだけを見ると「４枚目の鉄道が一番高いじゃないか」と思わ
れるかもしれません。しかし、他のプレイヤーとの交渉で鉄道の２、３枚目を揃えたプレイヤー
は、４枚目の鉄道を買うだけの資金的余裕がありません。仮に買えるだけの資金があるなら、
鉄道を４枚にしなくても一気にカラーグループの経営さえできそうです。また、鉄道を３枚
持っているプレイヤーと１枚しか持っていないプレイヤーとでは、３枚持っているプレイヤーの
方が立場が上です。１枚持っている側が４枚目の鉄道を売り込もうとしても、３枚持っている側
が「いりません」と言えばそれまでです。もう一つ、４枚目の鉄道が売買されにくい重大な理由
として、「特定のプレイヤーに多額の現金を与えると怖い」というのがあります。現金を多く
持っているプレイヤーは可能性が広がるので脅威となります。
　３枚目の鉄道は、序盤から中盤あたりなら＄６００とまでいかなくても＄５００〜＄５５０
ぐらいで普通に売買されています。しかし４枚目の鉄道は、本当に＄８００ぐらいの価値がある
序中盤では簡単に揃わず、かと言って４枚目がすんなり揃う頃には鉄道の価値が低下し、下手
すると「＄５００でも高い」なんて事も。
　そんな訳で、鉄道は４枚目よりも３枚目の方が安定した高値で売買されているのです。

　『同じプレイヤーから続けて鉄道を買うな』
　前項で申しましたように、１人のプレイヤーに多額の現金が渡るのは危険です。例えば、２枚
目の鉄道を他のプレイヤーから＄４００で買い、３枚目を同じプレイヤーから＄５５０で買った
とします。鉄道を売った側の利益は、＄４００＋＄５５０−＄４００(鉄道２枚を定価で買った
分)＝＄５５０です。鉄道を３枚揃えた側は、鉄道に巨額の投資をした以上、ある程度のレンタル
料が動きが限られてきますが、逆に売った側の利益＄５５０の使い道は自由です。「絶対ダメ」
とは言いませんが、同じプレイヤーから続けて鉄道を買うのは得策ではありません。モノポリー
は、最終的に強力なカラーグループを経営しないと勝てないので、鉄道経営は「遠回り」と言え
ます。この例に限らず、無理してまで鉄道を３枚、４枚と増やす必要はありません。

　『中盤以降のダークパープルは８軒にしろ』
　これまで何度も触れておりますが、しつこく説明させていただきます。
　ダークパープルは、８つのカラーグループの中で一番弱いです。プレイヤーの止まる確率が
低く、ホテルになった時のレンタル料が、地中海通り＄２５０、バルティック通り＄４５０と
安いので、経営するならすぐホテルを建てるべきです。しかし、ダークパープルにホテルを建て
ても、他のカラーグループとのレンタル料の奪い合いになるととても勝てません。
　ただ、各カラーグループに家が建つ中盤以降には、ダークパープルを８軒にするという方法が
あります。銀行には３２軒の家があり、その内の８軒を押さえたぐらいでは「家止め」は無理な
ように思えますが、その「８軒」のせいで家不足に見舞われる事があり、馬鹿にできません。
　これも何度も紹介しておりますが、ダークパープルの場合、建っているホテルを売却し、あら
ためて家８軒を建て直す事さえあります。ホテルの売却分＄２５０−家８軒の建設費＄４００＝
差し引き＄１５０の出費となりますが、それによって他のカラーグループにたくさん家が建たな
くなれば安い保険と言えます。「押してもダメなら引いてみろ、ホテルがダメなら８軒にしろ」
といった感じでしょうか。また、ダークパープルの「８軒」はうっかりしやすいので、お互いに
気をつけましょう。

　『ライトブルーはいつまでも１２軒にこだわるな』
　ライトブルーは家の建設費が安く、たった＄６００で家を１２軒建てられるという長所があり
ます。実際、ライトブルーに家を１２軒建てれば、家が止まる事が結構あります。しかし、ライ
トブルーの家止めで完封できるほどモノポリーは甘くありません。ライトブルーに家が１２軒
(４軒オール)建っている時のレンタル料は、オリエンタル通り、バーモント通りが＄４００、
コネチカット通りが＄４５０です。これは決して安くはないものの、ライトブルーに止まるお客
さんは必ずＧоマスを通過して給料＄２００を手にしているので「実害」は＄２００や＄２５０
でしかなく、相手を安心させてしまいます。ライトブルーにホテルを建てた時のレンタル料は、
オリエンタル通り、バーモント通りが＄５５０、コネチカット通りが＄６００です。これでも
高いとは言えませんが、所持金が不足しがちなプレイヤーにとって＄４００や＄４５０なら支払
えても、＄５５０や＄６００だと支払いきれずに家を売却してしまう事が少なくありません。
前述の格言とは矛盾していますが、ライトブルーはそこそこパンチ力があるので、どこかで
ホテルにして勝負しましょう。「家止め」を解消するのは怖いですが…。

　
　でたらめな格言に余計な補足説明までしてしまい、無駄に長くなってしまいました。次回も
さらに怪しい格言が続出します。