使えないモノポリー格言 第二集
by 希望岬
 10年前の旅先での事。乗っていた列車が19時ちょうどに駅に到着しました。「発車時刻は
19時25分です」というアナウンスがあり、車内で待っていました。しかし、定刻を過ぎても
発車する気配はありません。車内を見回したものの、乗客はおろか、運転士や車掌さえいません。
おそるおそる外に出てみると信号は赤のまま。前日に台風が来ており、「この先で災害か事故
でもあったのか?」と不安がよぎりました。改札口や待合室にも人の姿はなく、ローカル線の
静寂ぶりが恐怖を増幅させます。ふと目をやると時刻表が置いてあり、そこには衝撃の事実が!!
「○○発 1955」。…そうです。車掌が「19時55分」とアナウンスしたのを「25分」
と聞き違えていたのです…。こんな事にならない為にも旅先には必ず時刻表を持っていきましょう。

 さっそく前回の続きです。
 『ライトブルーを軽く見るな』
 ライトブルーがホテルになった時のレンタル料$550(または$600)は決して安くありま
せんが、他のカラーグループよりもパンチ力が落ちる為、ライトブルーの経営だけで勝ちきる事
はできません。しかし、お客さんが2、3人止まればアマサイド(オレンジ、レッド、イエロー、
グリーン)への経営転換も可能ですし、「家止め」、「所持金が少ないプレイヤーを狙い打ち」、
「終盤の追加経営用」と幅広い分野で活躍します。それだけの潜在能力を秘めたライトブルーを
「安いから」という理由で粗末に扱ってはいけません。ライトブルーの権利書1枚の動向次第で
ゲーム展開が大きく変わります。カラーグループを揃える時の目安として「オレンジの3枚目は
$1000」などと言われていますが、ライトブルーの3枚目の権利書も、一番高い時だと
$900前後の価値があります。「軽さ」が自慢のライトブルーですが、その存在は決して軽く
ありません。ライトブルーの大切さ、恐ろしさが理解できれば、もう立派な上級者です。

 『ライトパープルとオレンジは3軒違い』
 同じ街道(?)に並ぶライトパープルとオレンジ。1軒あたりの家の建設費も$100と同額
ですが、この両者には決定的な違いがあります。それは「ライトパープルがプロサイドで、オレ
ンジがアマサイドである」という事です。ライトパープルの経営のみで勝ち切るのは困難ですが、
オレンジの経営のみで勝ちきる事は十分可能です。では、一体何が違うのでしょうか?
 1つはレンタル料の違いです。
 ☆ライトパープルのレンタル料
 家2軒の時 セントチャールズプレース、ステーツ通り$150、バージニア通り$180
 家3軒の時 セントチャールズプレース、ステーツ通り$450、バージニア通り$500
 家4軒の時 セントチャールズプレース、ステーツ通り$625、バージニア通り$700
 ホテルの時 セントチャールズプレース、ステーツ通り$750、バージニア通り$900
 ☆オレンジのレンタル料
 家2軒の時 セントジェームスプレース、テネシー通り$200、ニューヨーク通り$220
 家3軒の時 セントジェームスプレース、テネシー通り$550、ニューヨーク通り$600
 家4軒の時 セントジェームスプレース、テネシー通り$750、ニューヨーク通り$800
 ホテルの時 セントジェームスプレース、テネシー通り$950、ニューヨーク通り$1000
 
 3軒、4軒、ホテルと増築するごとにライトパープルとオレンジとの差が明らかになります。
 もう1つは止まる確率の差です。
 プレイヤーが1周する間に止まる確率はライトパープルが約43%、オレンジが約51%。多く
のプレイヤーが留学する刑務所からだと、ライトパープルが約14%、オレンジが約47%と大差
です。いくら家の建設費が同じでも、レンタル料と止まる確率、将来性でオレンジが優位なので、
この2つのカラーグループの家の軒数が同じという訳にはいきません。
 ライトパープル12軒(4軒オール)の期待値は約287。これはオレンジ9軒(3軒オール)の
期待値約290とほぼ同じです。ライトパープルがすべてホテルの時の期待値は約$352。
オレンジ12軒の期待値約$393よりやや劣るものの、レッドやイエロー9軒に匹敵する収益力
はあります。つまり、オレンジに家が9軒建つならライトパープルは12軒、オレンジが12軒
ならライトパープルはホテルが建たないと話にならないという事です。「百田本」に「ライト
パープルとオレンジとではパンチ力が3割違う」などとありますが、家の軒数だと「3軒ぐらい
の差」と言えそうです。

 『4人ゲームのライトパープルは強い』
 今申しましたように、ライトパープルの経営のみで勝ち切るのは容易ではありません。増築した
時のレンタル料の伸び率が低く、多少リードしても、オレンジ、レッド、イエローあたりが急成長
するとあっという間に追い付かれるからです。しかし、4人ゲームとなると話は別です。
 4人ゲームは5人ゲームよりもプレイヤーの人数及び全体の現金が少ないので、レンタル料の
支払いが通常以上のダメージとなります。仮に$600の支払いがあったとすれば、5人ゲーム
だと、(レンタル料を得たプレイヤー以外の4人で割ると)1人あたり$150のダメージですが、
4人ゲームだと1人あたり$200のダメージとなります。単純計算で、4人ゲームは5人ゲーム
よりも33.33333(以下省略)%もダメージが大きく、非力なライトパープルのパンチ力も
アップします。5人以上のゲームでさえライトパープルが勝つ事があるぐらいなので、4人ゲーム
ならもっと有望と言えます。
 日本選手権の地区大会など、最近は4人ゲームが主流になりつつあり、今後、ライトパープルの
評価も変わる…かもしれません。

 『オレンジの放出を恐れるな』
 プレイヤーの止まる確率が最も高く、レンタル料も高額なオレンジは最強のカラーグループと
言われています。4、5軒ぐらいで経営をスタートしても、すぐに9軒とか12軒になってしまう
ので、他人に経営させるのは非常に勇気が要ります。しかし、活躍される事を恐れるあまり、オレ
ンジを手元で腐らせてしまうのももったいないです。価値の高い権利書を放出すれば、それなりの
見返りとなる物件や現金が手に入るはずです。カラーグループは8つあり、オレンジだけが選択肢
ではありません。他人にオレンジを経営させても、もっと好条件で別のカラーグループを経営でき
ればオレンジは怖くない! さあ、どんどんオレンジを放出しましょう(??)。

 『アマサイドでも勝ち切るには追加経営が必要』
 「アマサイド」と呼ばれるオレンジ、レッド、イエロー、グリーンは、一度経営が軌道に乗れば、
そのカラーグループだけで勝ち切れる力があります。しかし、アマサイドと言っても1周40マス
中に土地は3ヶ所しかなく、次から次へとお客さんが来てくれる訳ではありません。そして、どん
なに強力なカラーグループを経営しても、対抗馬が2、3人いればレンタル料の奪い合いとなる
ので簡単には勝てません。
 そうなると、レンタル料が取れる土地を増やす、つまり追加経営をする事になります。カラー
グループを2つ経営すれば収益力も上がり勝利も近づきます。アマサイドのカラーグループの経営
に成功しても油断せず、きっちりと追加経営でとどめを刺しましょう(ただし、追加経営への道のり
は大変ですが…)。

 『自分が競売に出したグリーンは買うな』
 大会やサークルの例会において、グリーンの権利書を定価で買う人は少なく、たいていは競売に
出されます。しかし、競売に出した本人が落札するのはどうでしょうか。確かに、少しでも安く
買えるなら競売に出した方が得ですし、一つの戦術ではあります。ただ、「定価で買う価値がない」
と判断したから競売に出したのに、$260〜$280ぐらいなら買うというのもおかしな話です。
カラーグループの権利書が「使えそう」か「使えなさそう」かの差は数十ドルどころではありま
せん。定価で買う価値がない権利書は数十ドル安くても買う価値がないはずですし、「使えそう」
と判断したなら定価で買うべきだと思うのですが…。
 ともかく、「グリーンを買う気なら競売に出すな、競売に出したグリーンは買うな」などと
言ってみます。

 『グリーンを買ったらゆっくり回れ』
 定価買いにせよ、競売による落札にせよ、グリーンを買ったプレイヤーは所持金を激減(??)
させています。そして、1軒$200と家の建設費が高いグリーンが活躍するのは主に中盤以降
です。せっかくグリーンを買った以上、それを生かす展開にしなくてはただの無駄遣いです。です
から、グリーンを買ったプレイヤーは早い時期から動かず、所持金が増えるまでゆっくりと周回を
重ねた方が得策と言えます。ゆっくりできそうかそうでないかは権利書の売れ行き状況によります。
特に、展開が早くなるライトブルー、ライトパープル、オレンジ、ダークブルーあたりの売れ行き
注意した上で、グリーンを買うべきか判断しましょう。
 
 『短時間で逆転するならダークブルー』
 ダークブルーは止まる確率が低く、信頼性に欠けるカラーグループですが、レンタル料が高額
ゆえに時々奇跡を起こします。
 ☆ダークブルーのレンタル料
 家2軒の時 パークプレース$500、ボードウォーク$600
 家3軒の時 パークプレース$1100、ボードウォーク$1400
 家4軒の時 パークプレース$1300、ボードウォーク$1700
 ホテルの時 パークプレース$1500、ボードウォーク$2000

 トップを独走するプレイヤーを追撃する場合、ちょっとやそっとのレンタル料を取ったぐらいで
は追い付けません。オレンジがホテルの時のレンタル料は$950(または$1000)ですが、
これでもパンチ力不足なんて事があります。普通にやっていては勝てないとなると、ダークブルー
に活路を見いだすしかありません。他のカラーグループでレンタル料が$1000を超える事は
あまりありませんが、ダークブルーはいずれの土地に家が3軒建っていてもレンタル料が$1000
を超えるので、トップを走るプレイヤーにとって脅威となります。
 ダークブルーの家の建設費は1軒$200ですが、少ない軒数(建設費)でも経営可能です。以前
にも申しましたが、ダークブルーに家が3軒(例えばパークプレース1軒、ボードウォーク2軒)
しか建ってなくても、誰かが2軒のボードウォークに止まれば、そのレンタル料$600で一気に
3軒増築できます。実際、ダークブルー3軒からの大逆転は結構あります。他のカラーグループ
だとここまで急浮上はできません。苦境に立たされているプレイヤーが短時間で逆転を狙うなら
ダークブルーが最適です。ダークブルーの権利書を持っている限り何かが起こる…かもしれないの
で、安易に手放さないようにしましょう。

 『カラーグループを揃えてもお金が少ない時は平地か転売』
 定価の高いグリーンやダークブルーなどを自力で揃えてしまうと、手元にほとんどお金が残ら
ない場合があります。そんな時に有り金をはたいて無理矢理1軒とか2軒ぐらい家を建てても、
レンタル料はたかが知れています。下手に現金を使ってしまうと、わずかな支払い家を売却する
羽目になったり、他の優良物件が買えなくなってしまう恐れがあります。
 「絶対こうしなさい」とは言いませんが、オレンジ〜グリーンは4軒以上、ダークブルーは3軒
以上家が建たないのなら無理に家を建てない方が無難です。しばらく平地のまま様子見し、@お金
が貯まれば自分で経営、A貯まらなければ他人に転売、の2通りがあります。自分が揃えたカラー
グループを他人に渡してしまうのはもったいないですが、自分で経営できないものをいつまでも
持っていても仕方がありません。もちろん、揃っているカラーグループをセットで転売する以上、
それに見合うだけの物は頂かないといけませんが。

 『中盤以降にダークパープルを経営するな』
 ダークパープルはレンタル料が安いので、早い時期に経営できなければほとんど意味がありませ
ん。お客さんが止まりにくいので、まず稼ぐのが大変ですし、ライトブルーのように簡単に転換
できず、ダークパープルの経営から勝つには時間と手間がかかります。ですから、他のプレイヤー
がカラーグループを経営し始める中盤以降にダークパープルを経営するのは効率が悪いと言えます。
前回、「中盤以降のダークパープルは8軒にしろ」という格言を紹介しましたが、これはあくまで
もダークパープルしか経営できない場合の話です。もし、中盤以降にダークパープルを揃えたなら、
たとえ資金があっても自分で経営せず、展開に恵まれないプレイヤーに転売した方が身の為です。
何も経営できないプレイヤーなら、ダークパープルでも喜んで経営してくれるかもしれません。
しかも、そのプレイヤーがダークパープルの「お客さん」ならより効果的です。それでも応じて
くれない時は、…自分で経営するか…。


 掲示板にご指摘がありましたように、前回のコラムでの刑務所からの「タダ出所」の確率が間違って
おりました。「ゾロ目で出所する確率」ではなく、「出所しない確率」6の3乗分の5の3乗=216
分の125を1から引いた数字216分の91=約42.13%が正解でした。訂正しておわび
いたします。今後も怪しい記述や誤りなどがございましたら、遠慮なくご指摘頂ければありがたい
です。次回も懲りずに格言を紹介していきます。