先日のOMCカップでは進歩の跡を見せる事なく惨敗に終わりました。楽しいゲームが
できた、とも言い切れません。でも、賞品を持って帰れたからまあいいか。
ここ数回重いテーマが続いていたので、今回は明るく(?)ライトパープルの話題を。
ライトパープル、通称「ライパ」。私の主観ではありますが、今までライトパープルは
グリーンと同じぐらい「使えない」カラーグループだと思っておりました。ところが、
ここ数ヶ月、私の身の回りでやたらとライパが勝つのです。調べてみると(5人以上の
ゲームで)最近19ゲーム中、7ゲームでライトパープルを経営した人が勝っていました。
一時的な現象だとは思いますが、ライトパープルに対する評価まで変わってしまいました。
一体、ライトパープルのどこにそんな力が秘められているというのでしょうか? 結論
から先に言いますと「よくわからない」です。まあ、わからないなりにライトパープルの
特徴について話を進めていきましょう。
まず権利書の値段ですが、セントチャールズプレース、ステーツ通りが$140、バー
ジニア通りが$160となっており、モノポリーのカラーグループの中では3番目の安さ
です。定価が安い、という事はレンタル料も安い、という事なので、経営するならなるべく
早い方が良いのですが、ライトパープルはアマサイド(そのカラーグループの経営のみで
勝ちきれる色の事で、オレンジ、レッド、イエロー、グリーンの事をこう言います)の
いずれよりもプレイヤーが止まる確率が低い為(かつら氏の第1回のコラムに確率表らしき
ものがあるのでそちらをご参照下さい)、権利書が3枚売り切れるのがこの4色よりも後に
なってしまう事があります。これもかつら氏のコラムにありますが、モノポリーでは13
マス先は止まる確率が少し落ちます。2個のダイスを2回降れば14前後の数字は出やすい
気がするのですが、一投で最大12までしか出せないのが影響しているのでしょう。そんな
訳でGOから13マス目のステーツ通りは売れ残る事があります。逆に7という数字は
出やすいのですが、バージニア通りの7マス手前はチャンスになっており、カードの指示で
どこかへ行ってしまう事もあり、ここも止まる確率が少し落ちます。ゆえに売り切れが遅く
なる事があります。ようやく売り切れても、他に有力色が3、4色売り切れていれば、
ライトパープルは揃わず、見殺しにされてしまう事もあります。このあたりはグリーンに
似ています。
しかしグリーンと違って家の建設費は1軒あたり$100と安価なのにどうして?と
思われるかもしれません。確かに建設費は「最強」と言われるオレンジと同じ1軒$100
です。しかし3軒ずつ、計9軒建てた時のレンタル料を比較してみるとライトパープルは
セントチャールズプレース、ステーツ通りが$450、バージニア通りが$500なのに
対し、オレンジはセントジェームスプレース、テネシー通りが$550、ニューヨーク通り
が$600と$100ずつ違います。この$100の差で相手に与えるダメージも違って
きます。この2色が同じ軒数で同時にスタートすれば8割方オレンジが勝つでしょう。
ちなみにライトパープル12軒でオレンジ9軒と同程度の期待値(プレイヤー1人が1周
した時の収入見込みの平均)となりますが、これだけで$300も余分に建設費が必要で、
これだけでもライトパープルがいかに投資効率が悪いかがよくわかります。
そんな事もあってオレンジやレッドを経営できそうな人がわざわざライトパープルに
見向きしてくれないのです。
ゲーム中、Go to jailのマスに止まった、「刑務所へ行く」のカードを引いた、
ゾロ目が3回連続で出た、という理由で刑務所へ入るプレイヤーは結構います。オレンジは
刑務所から6、8、9マス目に土地がある為、出所時に止まってくれるケースが多いですが、
ライトパープルは刑務所から1、3、4マス目と近すぎる為、なかなか止まってくれません。
また、カードによる移動のほとんどがオレンジへと近づけるものとなっておりますが、
ライトパープルはそれが少なく、「セントチャールズプレースへ進む」という必殺の(?)
カードもむしろオレンジへの追い風となります。投資効率以上にこの差が大きいのです。
世の中にはライトパープルを「オレンジ同然」などと言って高く売りつける悪質な人もいる
ので気をつけましょう。決してライトパープルはオレンジではありません。
ライトパープルは仮に先行し、9軒ぐらい建てて$450や$500のレンタル料収入が
2、3回あっても「優勢」とは言い切れません。後発でもオレンジやレッドなどが揃い出すと
レンタル料の安さ、止まる確率の低さが響き、若干の優位ぐらいは簡単に吹き飛んでしまい
ます。殴り合い(高額レンタル料の奪い合い)になったらライトパープルは負けだと思って
下さい。
どうです?ライトパープルがいかに「使えない」色であるかよくわかりましたよね。自分で
経営するよりも他人に経営させて現金や優良物件を引っ張ってきた方がいいかも知れません。
でも、ライトパープルにも良い所はあります。揃えた時、ある程度の軒数の家を建てさせて
もらえます。中盤早々、他のカラーグループが売り切れてない時でも全力9軒前後でスタート
できる…と思います。オレンジだと先行でそんなに建てさせてもらえません。せいぜい4、5
軒ぐらいです。しかもライトパープルはオレンジほど他のプレイヤーからマークされません。
また、1軒$100なので家が崩れてもオレンジのように復活する可能性があります。権利書
が安く、全員の危機感を煽らないので揃えやすい、とは言えます。
刑務所行きする極悪人のせいでライトパープルに止まる確率が落ちているのですが、出所
する時に3や4出して止まってくれる事もあります。オレンジの6、8、9ほどではないに
せよ、3や4の目は決して出ない数字ではありません。特に刑務所から4マス目のバージニア
通りは「ニセオレンジ」「影のオレンジ」などと呼ばれておりレンタル料も似ております。
比較すると<家1軒$60($70)、家2軒$180($200)、家3軒$500($550)、
家4軒$700($750)、ホテル$900($950) ※( )内はオレンジのセントジェー
ムスプレース、テネシー通りのレンタル料>といった具合です。ライトパープルは時々、オレ
ンジに化けます。くれぐれも出所の際は気をつけましょう。
突然ですが「STYシステム」について。
ライトパープルは好条件で先行スタートしてもすぐ追いつかれ、なかなか勝ちきれません。
いくらマークされにくいカラーグループでも9〜12軒建っていれば、他のプレイヤーの危機
感を煽ってしまいます。
STYシステムはライトパープルで先行する時、全力9軒ぐらいの条件で揃えても4軒だけ
しか建てずしばらく様子を見ます。で、他のプレイヤーが家を建てるのを見計らって9軒とか
12軒に増築するのです。家を建てる(カラーグループを揃える)前のプレイヤーなら$450
のレンタル料を支払ってもそれほどのダメージではなく、十分復活する可能性がありますが、
(所得税を2回払ったと考えればよいでしょう)家を建てたプレイヤーは手持ち現金が少なく
なる為、(Goマスを通過して給料をもらっても)$450や$625の支払いで家が崩壊して
しまいます。同じレンタル料の支払いでも家を建てる前と後では大違いです。たくさん現金を
持っている人から高額レンタル料を何度も取るよりも、手持ち現金の少ない人から1回取った
方が効率が良い、という訳です。弱い色が強い色に勝つには普通にやってはいけないのですね。
STY氏の苦労が偲ばれます。
ただし、これをやったからといって勝てるとは限りません。お客さんが来る前に集中砲火を
浴び、増築費用がなくなる可能性もあります。また、せっかく$450や$500のレンタル
料が取れる時に$50や$150で我慢するのは勇気が要ります。時には後ろを振り返らずに
ガンガンと家を建てた方がいい場合もあります。前にも申しましたが、モノポリーに「絶対」
などありません。「こういう考え方もあるんだな」ぐらいで良いでしょう。
(STY氏ご本人から承諾のないまま「企業秘密(?)」を書いてしまいました。ごめんなさい)
ライトパープルが勝ちきれるカラーグループか否か、で掲示板でも話題になりました。
アマサイドの4色はそのカラーグループの経営だけで勝つ事ができ、逆に「プロサイド」と
呼ばれるダークパープル、ライトブルー、ライトパープル、ダークブルーの4色は、アマサイド
への経営転換や追加経営をしないと勝ちきれない、というのが常識です。ただ、私が関わり、
記録を残しているゲームに限って言えば、ライトパープル、オレンジ、レッド、イエロー、
グリーン、ダークブルーの6色はほぼ同じぐらい勝っています。サンプル数が60ゲーム少々
なので「途中経過」なのかもしれませんが、事実は事実です。$700以上のレンタル料が
取れる土地があれば勝てる、という事です。そりゃ追加経営をしないと勝てない事もありますよ。
しかし、アマサイドの4色でも本当に勝ちきるなら追加経営が必要なのは同じです。
もう少しシンプルに考えてみましょう。ダークパープルとダークブルーを除く6つのカラー
グループは、それぞれ土地が3ヶ所ずつあります。もし、カードによる移動や刑務所行きが
なければ、どのカラーグループも止まる確率がほぼ同じになるはずです。必然的にGoのマスに
近い色ほど止まる「回数」が多くなります。そうなればレンタル料の差を埋め、ライトパープル
も有力になるはずです。これは決して空論ではなく、実際、刑務所へ行くプレイヤーが減るだけ
で起こり得るのです。現実にもオレンジが約51%なのに対し、ライトパープルは約43%と
止まる確率の差は約8%です。そのぐらいの差ならどちらに転んでもおかしくないのです。
「意外性の」と銘打った割に平凡な話題となりました。ライトパープルが勝ちづらいのは
事実です。しかし、オレンジやレッドやイエローを経営すればすんなり勝てる、という訳では
ありません。それと同じというだけの事です。強くはないけれど弱くもないカラーグループ
なのです。ホテルになった時の$750、$750、$900のレンタル料は決して侮れません。
ライトパープルが勝つのは意外ではないのかもしれません。
次回のコラムは来月になりそうです。皆様、風邪などひかぬよう健康に留意して下さい。
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