ハイキングマップで歩く
鈴鹿の山 万能ガイド
詳細な概念図でルートを紹介した画期的なガイドブックで知られる三重県河芸町の西内正弘氏が、このほど三冊目となる「鈴鹿の山 万能ガイド」を出版した。「21世紀の山歩き 鈴鹿の山ハイキング」「ハイキング100選 地図で歩く鈴鹿の山」そして集大成となるこのたびの一冊からなる一連のシリーズは、鈴鹿の一般ルートから薮山、バリエーションルートまで網羅した幅広いガイドとして登場した。ルートマップでガイドするというユニークな編集は、登山入門のガイドブックとして使用するにはややハードルが高いが、その詳細な案内記述は足繁く歩かれている著者の息遣いが伝わってくるようだ。ただし、詳細な地形図が付されていないのであくまでルート案内の参考としての使用に留まるかも知れない。 ガイドブック執筆の動機として著者は「行動、目的、選択など多様化する中で、鈴鹿山地の山歩きを志向するすべての愛好者に役立つ案内書」を目指すとしており、その背景に高齢化する登山者の様々なニーズがあったとしている。そのため鈴鹿の様々な面に光を当ててガイドすることを目指してきたようだが、本書では特に全体を五部に分けて特色を出している。第一部 鈴鹿の五十山を歩く 第二部 三角点の山巡り 第三部 三百山ピークハント 第四部 東海自然歩道10コース 第五部 鈴鹿山麓てくてく旅など、五種類のカテゴリーがこれが本書の謳っている「万能ガイド」の柱である。 昨今の中高年登山ブームを繁栄して、書店の店頭には様々なガイドブックが並んでいるが、ローカルな山を詳細にガイドしたものはあまり見当たらない。あの鈴鹿のバイブル的な「鈴鹿の山と谷」シリーズは鈴鹿の総合的な研究書として位置付けるとして、本書は概括的に広い地域をカバーしているところから鈴鹿総合ルート図集として位置付けてもいいような気がする。とくに第二部の「三角点の山巡り」に紹介されている山々を見ていると、地味な里山と言うよりほんの裏山の風景ばかりが浮かんできて、なんとも言えず笑みがこぼれてくる。ローカルな山ガイドの面目躍如と言ったところである。鈴鹿の山も御多分にもれず次第に開発の波に洗われつつあるが、仮にそんな状況がさらに進んだとして、その時に失われた道や山を追憶する気分もまた一つの味わいと言えるのかも知れない。新たな登山ルートガイドの楽しみ方ができるかも知れない。 |