たかはしクリニック (京都市) 心療内科


  心因性頻尿(過活動膀胱の一種)


 心因性頻尿とは、心理的緊張により尿意を催し、そのことに強くこだわってしまう病態です。常時尿意が気になり日常生活の行動も自ら制限してしまう。 心因性頻尿では多くの場合、赤面恐怖などと同様に、頻回の尿意を他人に知られる事を恥として感じやすい傾向があります。そのため他人の車に同乗したり、テストの試験場に行くことなどを不安に感じやすい。つまり尿意を催すと困るような場面で、かえって尿意のことがとても気になって、そのような場面を回避しようとしてしまうのです。いわば心と体が自律神経を媒介にして、相互に悪影響を及ぼす悪循環の病態(心身交互作用)といえます。ただし膀胱炎や前立腺の病気との鑑別に注意が必要です。



心因性頻尿について
 病態・症状 完全癖で、森田神経質と呼ぶべき心理状態を背景にして発症しやすい。いわゆる心身交互作用のメカニズムがあり、
心理的囚われ→症状増悪→心理的囚われ増大→症状増悪
という心身の相互影響の一連の流れがあります。
症状を心配するあまり、WCにすぐに行けない状況、たとえばドライブ中、授業中、友人の集まり、会議中などに症状は出やすく、そのような場面への接近を恐怖するようになりやすい。そのため社会恐怖、対人恐怖として診断される場合があります。頻尿症状を有している自分事実を「情けない」と感じたり、劣等感をもったりという事態にもつながりやすい。完全癖が心理的特徴として認められやすいですが、心理的に抑うつ状態になったり、ストレスで心身が疲労した場合に症状は悪化します。

治 療 下記の3つの治療アプローチが有効です。
(1)緊張している膀胱を緩める薬や精神安定剤等の服用
(2)いろいろなリラックス方法の修得
(3)ストレスフルな生活や環境の調整
当然、上記の治療の前段階として、患者さんへの病状のメカニズムに対する分かりやすい説明は不可欠です。心因性頻尿にみられる心身交互作用の悪循環というものは、一旦良い方向へのサイクルに切り替わると、気分は楽になり、再び日常生活への自由な参加を取り戻せるようになってくる。予後は比較的良好であり、後遺症もなく治癒してしまう事が多い。
また、うつ病の症状として頻尿が生じることも多く、その場合にはうつ病を治療することにより症状は消失する。



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