アクセス5000を記念した
創作お話ひとつ
  


               カラン君のお話           作:ヒゲ医者(高橋進)


          カランは 少し脳に障害のある男の子でした
          小さいときから 一生懸命になにかをしようとするのですが
          なにをやっても一番ビリで
          うまくいきませんでした
          だからカランは 人にほめられたこともなかったのです
          おまけに
          友達にいつも
          ノロマ バカ と からかわれ
          いじめられてばかりいました

          しかしそれでも カランは学校に行きつづけました。
          なぜいやな学校へいくのか、
          カランにも自分の心がわかりませんでしたが
          いつもみんなと同じように
          していたかったのかもしれません

          やがて
          カランはおとなになり、
          毎朝 仕事にでかけました
          毎日はりきって仕事をしようとするのですが
          ぶきようなカランは
          ほかの人のように
          早く仕事ができません
          カランは からかわれ しょげかえりました

          月日がたち
          カランの髪は白くなり 手や顔にはしわができました
          カランは70さいになっていました
          カランを守ってくれた父や
          心配してくれた母は
          すでにこの世にいませんでした
          カランはさびしさを生きるはずでした

          だけど老いたカランは さびしくありませんでした
          
          カランはお年寄りたちのホームでくらしていました
          そこには
          老いて手足がぶきようになった人たちや
          頭がうまくはたらかない人たちが 
          たくさんおられたのです
          
          カランは
          子供のころに夢みたように
          やっと みんなと同じはやさで暮らすことができたのです
          しゃべったり 遊んだり・・・
          もうだれもカランをからかったりしませんでした
          やっとみんなと同じになれたのですから