心身症の自己治療のヒント
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このページは「病院が嫌いな人のために」としていますが、
生活に支障をきたす程の重症の人やうつ病と考えられる人は
早期に専門医を受診されることをおすすめいたします。
メニュー
step 1 自らのストレス反応様式を知ること
step 2 現在の身体的物理的負荷のチェック
step 3 リラックス法の修得
step 4 イメージ療法の応用
step 5 対人関係の3項
step 6 寓話や諺から学ぶ知恵
step 7 役立つ自己問答集(プラス思考・実存療法へ)・・・・心の自由
step 8 森林浴など自然の癒しへ
step 9 トイレ体操のすすめ
step 10 「備えあれば憂いなし」の構え![]()
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step1 自らのストレス反応様式を知ること
自分がどんな種類のストレスに弱いか、ストレスに出会った時にどんなストレス反応のパターンに陥るか(どんな思考をとるか、どんな身体症状が出やすいか)を知っておく。
例えば、ある精密機械を扱うとき、その機械はどの角度からの、どんなタイプの衝撃によって壊れやすいかを知っておく必要があります。人間の心身もまた一種の壊れやすい精密機械です。自分の心身が、どんなタイプの衝撃に対して脆いかを知っておかねばなりません。しかしこれは本腰を入れて考えないとなかなか難しいものです。自らの心身の変化を最もキャッチできるのは他ならぬ自分自身でありながら、誰しも自分自身の心身の動きについて案外、灯台下暗しなのです。例えば、怒り心頭に達した表情をしているのに「自分は怒っていないよ」と答える人がいます。10年近く神経性胃炎に悩まされながらも症状と心理的ストレスの関連を全く自覚していない人もおられます。これらの人達はストレス耐性が低いのだと言わざるをえません。
では、どのようにして自分自身のストレス反応パターンを自覚できるのでしょうか。人はストレスに陥ると、各人固有のパターン化された感情に支配されやすく、パターン化された同じ行動をとりやすい。そして固有の身体症状が繰り返し出てくるものです。そのような自分固有のパターンを知ることが大切です。これは日々の生活の自己観察によらねばなりませんが、とりあえず過去の生活史に学ぶとヒントが得られやすいようです。つまり、人生の様々なストレスイベント(転職、転勤、引っ越し、別離、失恋、受験など)において、生じた身体症状はいかなるものであったか。また、それらの渦中でどのような感情に自分が支配されやすかったか? という点がヒントになります。
そして、いつも不安、罪責感、怒り、あるいは特別な感情に自分が支配されていたなら、そのような感情と自分がどのように向き合ってきたか? どのようにしてそれらを克服しえたか。あるいは長期にわたって悩んだか?
不満を誰かに表現しえるようなことがあったか?
いつもアルコールに溺れたか?
いつも家族に当たり散らかしていたか?
いつも自分を責め後悔することで終わっていたか?
もし同じ事態が生じたら今度はどうするだろうか?
このような検証によって、自分はどのような衝撃に弱かったか、いつもどんな風に自分をコントロールしてきたかを少しずつ明らかにしていくことが出来ます。そして、さらに建設的で苦痛の少ない合理的な克服法がなかったかどうかを検討していく必要があります。もし、そのような自分固有の反応パターンが把握できれば、その認識自体が強力なストレス対策になるでしょう。たとえて言えば、これらは情報戦の領域です。
ストレスが、すぐに身体症状化する人。身体症状には出ないが心理的に過度の不安やうつ状態に落ち込んでしまう人。心身の異変には現れないが周囲が迷惑する行動によってストレスを発散する人など。これらの反応は、問題の一時的な棚上げや引き延ばしになるばかりで、長期的視点からはマイナスです。これらを下にまとめて図示します。健全な社会生活を営むには、ストレスに対し適応化という解決(冷静な話し合い、合理的・建設的行動など)が必要なのです。
身体化 (心身症全般) ストレス → 精神化 (うつ病、心因反応、神経症) 行動化 (非行、暴力、多量飲酒、自傷行為) 適応化 (問題の整理と適正解決) |
■ 追記 ■
現代における日本社会のストレスを紐解くと多くが人間関係性のストレスに帰結されます。一次、二次産業(農林水産、工業関係)よりも、三次産業(サービス、情報関係)従事者が増加していく社会においては、「人間関係性の能力」とも呼ぶべき対人関係における能力が特に要求されつつあります。そのため対人関係をうまく処理できない人は実直、真面目であっても、社交性なきゆえに自他に評価されにくいという社会的風潮があるようです。過剰な社交性信奉の風潮は、学校における偏った「友人作り熱心病」をもひき起こしているようです。
いつか、後のstep部分のどこかで、この点について記載したいと思います。
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step2 現在の身体的・物理的負荷のチェック
睡眠不足、過剰勤務、喫煙・飲酒量、身体的諸負荷などの生理的、時間的なオーバーロードのチェックはまず最初に手をつけやすい部分である。
よく「病は気から」と呪文のように言われますが、「病は生活習慣から」という視点が先でしょう。心身症を述べる時に「心から体へ」という方向性が注目されがちです。しかし逆の「体から心へ」というベクトルも軽視できません。たとえば、心が疲れると身体疲労感が強くなりますが、逆に身体が疲れると心も疲れ意欲が減退しやすくなります。この身体的状況に悪影響を及ぼすようなライフスタイルの修正(規則的な生活、バランスのとれた食事、睡眠時間の確保、多忙からの脱却)にまず配慮する必要があります。と言ってもことは簡単に運ばないでしょう。職場の体制のありかたなど社会的制約ゆえに、それらを点検できても修正困難という事態は少なくありません。
よく言われることですが、ヒトは環境によって生き方の制約を受けます。しかし環境への順応だけではなく、ヒトは環境を変革しうる能力も有する生き物です。その能力が思い通りに発揮できないがゆえに心身症に陥ってしまうわけですが、少なくとも出来る範囲で、生活リズムの再構築を心身症克服のオプションとして添えておくべきでしょう。
性(セックス)の習慣に関して。
ちなみに、 有名な「 性と文化の革命 sexual revolusion 」の著者であるW・ライヒ が次のような報告を残しています。それは、神経症になった人達の治療後を追跡調査したところ、治療後に満足しうる性的な行為を維持し得ている人達は、そうでない人達よりも、神経症の再発率が明らかに低かったというものです。 ただし、このような欧米での研究結果がそのまま日本人や東洋人に当てはまるか否かは、まだ充分検証されていません。
| 項 目 | チェック内容 |
| 睡 眠 | 睡眠時間の不足、 寝具の快適さ |
| 食 事 | 食事量・内容のバランス、 食事時間の規則性 |
| 勤務状態 勉強時間 |
超過勤務の程度 塾勉強時間の過剰 余暇・休日の量 余暇・休日の過ごし |
| 住居の快適度 | 温度、湿度、日当たり、 騒音、広さ、利便性 |
| 性生活 | 性的な満足度 |
| 飲酒・喫煙 | 量、取り方 |
step3 リラックス法の修得
リラックス法とは、心身をリラックス状態に誘導する技法で、万人が簡易に行えることを利点としています。心身症の自己治療法のひとつとして、歴史的な積み重ねの経験則を基盤とするものから科学的解明のすすんでいるものまで多種類があります。アロマセラピー、ミュージックセラピー、芸術療法まで幅広いジャンルが含まれます。ここではそのなかから、古くから臨床的に治療効果が検証されている3つを記述しておきます。
1)四肢の筋肉(横紋筋)をリラックス法により弛緩させることで、身体的緊張にもとづく身体の微妙な変化を具体的に感知しやすくなる。 2)リラックス状態を here & now(いま、ここ)で実感することにより、リラックスしていない日々の状態とリラックス状態との差異を理解しやすくなる。 3)リラックス状態にある自分の心身を一時的にも保持させることで、蓄積された疲労や緊張を解放させる即時的作用がある。 4)心身のリラックスは心身の自己調整力や自然治癒力の向上に直結する。 5)方法が比較的簡易であり、難解な理論や思考を必要としない。 |
| なまえ | 考案者 | 概 略 |
| 腹式呼吸 | 古来 東洋の知恵 |
詳細は下記(追補1)参照。 交感神経系の優位状態を、腹式への呼吸誘導によって副交感神経優位状態へと導く手法である。 |
| 自律訓練法 | シュルツ と ルーテ |
詳細は下記(追補2)参照。 他者催眠からヒントを得た自己暗示法の一種。 一時は心身医療の三大柱の治療法のひとつとして話題になった。 「受動的注意集中」が修得の基本的態度であり、実施にあたっては、「 Let it be ! (あるがまま、なるようになれ) 」の感性が大事。 |
| 筋弛緩法 | ジェイコブソン | 詳細は下記(追補1)参照。 筋肉を意図的に弛緩させ、それに連動する心理的緊張を解くのがねらい。 やはり副交感神経優位に誘導する手法であり、利用する筋肉は症状の種類によって変えられる。 |
■追補1■
心が緊張すると下表の左側に示すように、発汗し、喉がカラカラになり、肩の筋肉をいからせ、粗い呼吸をし、脈は速まり、手足はワナワナと震えます。また、血圧や血糖が上がり、胃腸の運動も円滑さをなくします。
逆に心がリラックスすると、下記の表の右側のような変化(副交感神経優位)が生じます。
ところで下記の表の項目の内、左右への移行を個人が意図的に(自力で)変えられるものは「随意筋の緊張」と「呼吸法」の二つしかありません。この「意図的に変えられる器官」という点に着目された技法が、呼吸法と筋弛緩法なのです。すなわち、呼吸や筋緊張を意図的に、表の左方から右法へと導くことで、他の心身の項目を引き連れて右側へと変化させる生理学的手法といえます。ひとつの項目を下図の左→右へと変えることで、他の心身の部分もワンセット方式で左→右へと変化する。これにより臨床的に、血圧や血糖の低下、最近は胃壁の血流を増加させることで胃潰瘍の治療や予防にも有効とされる。
■追補2■
自律訓練法(autogenic training)は、催眠によって得られる深い心身のリラクゼーションを、自分ひとりによる自己催眠によって得ようとする発想から生み出されたものです。これによって日々のストレスで傷つき歪んだ心身の状態を癒やし、自己治癒力の再活性を図ろうとするものです。全国の心療内科系の大学病院などでも積極的に治療に取りこまれています。自律訓練法の具体的方法は、筑波大学名誉教授の佐々木雄二先生や岡山大学の現教授である松岡洋一先生の書籍などを利用されるのが良いと思われます。
| 心身の状態 | 交感神経優位 | 副交感神経優位 |
| 筋肉 | 緊張 | 弛緩 |
| 呼吸 | 胸式呼吸 | 腹式呼吸 |
| 脈拍 | 速い | 遅い |
| 瞳孔 | 拡張 | 収縮 |
| 唾液分泌 | 低下 | 増加 |
| 発汗 | 増加 | 低下 |
| 手指の血流 | 低下 | 上昇 |
| 膀胱 | 弛緩 | 緊張 |
| 腸管運動 | 不整 | 円滑 |
| 血圧・血糖 | 上昇 | 低下 |
| 心理 | 緊張・興奮 | 落ち着き・平安 |