2003217
航行規制水域・基本計画市民案作成委員会
航行規制水域市民案
 
はじめに
現在、プレジャーボートの航行規制水域および基本計画作成に向け「琵琶湖レジャー利用適
正化審議会」で議論がおこなわれていますが、私たちは被害を被っている市民の側に立って
下記のとおり航行規制水域を提案します。
 私たちは、昨年9月に国松知事に提出した「琵琶湖を守るためのレジャー規制条例市民案」
にあるとおり水上バイクの琵琶湖での航行全面禁止の立場を今も基本理念とするものではあ
りますが、下記の提案は、1016日に成立した「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関
する条例」が、琵琶湖の自然と市民の生活を守るために少しでも役立つものとなるようにとの
願いを込めた提案です。規制の根拠および、理由については別紙を参照ください。
 また、審議会に負託された責任において、条例制定にいたった経緯(条例前文)、および目
的を十分にご理解いただいた上で、市民の立場にたった答申を行われることを切に望みます。
航行規制水域 市民案
1、プレジャーボートのうち水上バイクは他のプレジャーボートと区分する。
2、出艇は、マリーナ指導要綱の条件を満たすマリーナからとし、エンジン改造プレ
3、ジャーボート(水上バイクを含む)の航行を禁止する。
4、プレジャーボート(水上バイクを含む)について共通の航行規制水域設定基準は、次のと
5、おりとする。
@水道取水口から1000メートルまでを航行禁止とする。
  A漁業施設(エリ等)から200メートルまでを航行禁止とする。
B遊泳区域、自然環境保全地域、流入河川河口付近等他の条例で定められた規制が既にあ
る場合も、重複して航行禁止とする。
6、水上バイクの航行規制水域設定基準は、次とおりとする。
   @ 琵琶湖全域について湖岸から400メートル沖合いまでは航行禁止とする。
A       特に、住民からの要望のある地域については、水上バイクからの騒音が
騒音目標値 55デシベル(住居地域 昼間環境基準)を満たすまで延長する。
5、プレジャーボート(水上バイクを除く)の航行規制水域設定基準は、次のとおりとする。
   @ 琵琶湖全域について湖岸から200メートル沖合いまでは航行禁止とする。
A 特に、住民からの要望のある地域については、プレジャーボートからの騒音が
騒音目標値 55デシベル(住居地域 昼間環境基準)を満たすまで延長する。
6、航行規制水域判別のためのブイなどの設置は、景観を破壊することのないようにする。
 
<要望事項>
〇この市民案は全委員および傍聴者に配布すること。
〇審議会は傍聴者の発言を認めること。
 
県案の問題点・疑問点
 
 「レジャー活動を自然の長い営みにより培われた生態系に人が与える影響の重大さや琵琶湖
の自然環境とその畔に暮らす人々の生活に対してできる限り負荷がかからないものとする」た
め、制定された条例であるにもかかわらず、これまでに提出された県当局の案は、以下に示す
ように、極めて多くの重大な問題点・疑問点があります。
 
1.水上バイクの航行規制について、利用者団体をも含む「琵琶湖水面利用連絡調整会議」に
おいて作成されたマナーズブックでさえ、「湖岸から400メートルまでは徐行」と定めてい
るにもかかわらず、県案が「航行規制の範囲は、最大でも湖岸から350メートル以内とする」
としているのは、明らかに県条例制定の趣旨に反したものであり、到底容認できるものではな
い。
 
2.騒音のみで水域規制を検討している(水質や大気への影響や湖岸周辺の動植物への影響な
どは全く考慮されていない)。
 
3.騒音による規制の基準として、騒音規制法の限度基準を採用しようとしている。
 
4.暗騒音(現状のバックグラウンド騒音)として、湖岸道路に比較的近い地点で測定した数
値(しかも最大値)を採用している。また、この暗騒音の測定は、環境基本法、騒音規制法に
定められた測定条件を満たしていない。
 
5.生活環境の範囲を、他の条例で定義されるものより、ずっと狭義に解釈して、できる限り
プレジャーボート利用者や業界に有利になるような数値や裁量を採用しようとしている。
 
※琵琶湖湖岸は、車道沿いや競艇場周辺のような騒音が許される場所ではな
い。
※プレジャーボートは、一部の人間のレジャー目的に使用される道具であり、
一般市民の生活に必要不可欠なものではない。
 
6.審議会の運営について、プレジャーボート業界のまだ出来てもいない対策
の説明を聞く時間を設けているのに対して、騒音公害等の被害を被っている湖
岸住民の意見聴取は全く行われていない。それどころか、これまで提出された
自治会、自治体等の団体からの要望書、公聴会議事録など、最低限必要な資料
や情報すら提供されていない。また、傍聴者の発言が全く認められていない。
このような多くの問題点を抱えたままの不公正な審議会運営が今後も続け
られるならば、県民から負託された公正な審議は到底期待できない。
 
 
 
提案の根拠・理由
 
以下に主要な点についての提案の根拠・理由を述べます。
 
・プレジャーボートのうち水上バイクを他のプレジャーボートと区分すること。
琵琶湖におけるプレジャーボート問題は、移動が目的ではなく疾走や操作それ自体を楽
しむという利用特性、利用目的、製品機能から、水上バイクにおいて突出している。平
154月より水上オートバイ専用免許が設けられることより、行政および法的にも区
分可能である。
添付資料**参照
 
    航行規制水域は琵琶湖全域について船種(水上バイク、それ以外のプレジャ
    ーボート)ごと
    に同一の基準と設けること。
レジャー条例12条には、航行規制水域は「@住居が集合している地域、A病院または学
校の存する地域、Bその他の騒音を防止することにより住民の生活環境を保全する必要
があると認める地域、に隣接近接する水域」に指定することが出来るとしている。滋賀
県環境基本条例には、生活環境とは〔人の生活に密接な関係のある財産ならびに人の生
活に密接な関係のある動植物およびその生育環境を含む〕と定義づけられており、県民
の生活、生命、財産(琵琶湖)を守るために制定されているその他の条例(添付資料*
*参照)の指定区域を、重ねあわせるとその区域は、琵琶湖全域にわたる。
琵琶湖水上安全条例等の部分的な規制は、利用者にも監視者にとってもわかりにくく、
認知されてこなかった。(たとえば、柳が崎沖の例 7ノット規制、水道取水口)
 
・水道取水口から1000メートルまで航行禁止
1999年に旧運輸省がおこなった琵琶湖出在家浜での水質調査結果(添付資料**参照
では遊走中心から400mの距離で環境基準18倍のベンゼンが検出されていたことを考
慮した。
 
・騒音規制目標値は55デシベル
騒音規制目標値は自動車騒音等を念頭に置いた騒音規制法に基づく要請限度の65デシ
ベルではなく,環境基本法第16条第1項の規定に基づく基準(AおよびB類型では5
5デシベル以下)をとるのがより適切である。参考資料**参照
 
・水上バイクは湖岸から400メートル沖合いまでは航行禁止とする
湖岸線に垂直に400mは徐行で移動する。マナーズブックの徹底をのぞむ。但し,騒音
レベルが55デシベル以下にならない場合は住民の要望があれば騒音レベルが55デシベ
ル以下になるまで距離を延長する。(審議会第一回資料6の推定では,400m規制でも騒
音レベルが55デシベル以下にはならない。)
 
 規制区域位置図 クリックすると拡大します。




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