少子化

少子化とは何か


高齢化社会を脅かす少子化問題とは何か

戦争前の「生めよ増やせよ」の時代、終戦直後の「団塊」の時代は兄弟は3〜4人は当り前、中には10人以上などという物凄い者も居りましたが、今は子供は1人か2人、高齢化社会を迎えて次代の社会を担うべき子供の減少は由々しき社会問題になっております。でも何故?


  1. 高齢化と少子化

    平成9年1月21日厚生省と国立社会保障・人口問題研究所から「日本の将来推計人口」が発表されました。それに拠りますと


    1. 今年中に65才以上の老年人口が15才未満の年少人口を上回り、2050年には3人に1人が老年となる。
    2. 総人口は2051年には1億人を割る。
    3. 2050年には年間の出生率が1996年に比べ3割強も少なくなる。

    その結果、以下の社会問題が引き起こりました。


    1. 15才以上の労働人口の減少に伴う労働力の不足と労働賃金の上昇等に伴う労働費用の上昇(即ちおんぶされたがる人ばかり増えておんぶする人が減り、その上おんぶする人の体質が脆弱化する事)。
    2. 総人口の減少に伴う需要の減少→不景気の蔓延
    3. 高齢化の一層の進展に伴い貯蓄率が低い高齢者の割合が増加→全体の貯蓄率が低下して経済成長が制約される 4
    4. 年金、医療保険、高齢者福祉を支える現役世代の負担の増加(おんぶする人以外に若い世代の担う荷物の増える事)

    則ち、高齢化社会の根源たる福祉政策が平成9年現在の現況を保てない社会になりつつあり、その原因が少子化だというのです。

  2. 出生率の低下

    合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子供の数)の減少  
    【1965年2.14 →1981年1.74→1995年1.42】
    則ち、一人の女性が生涯に生む子供の数が2を割るということは、男性は子供を生まないので、日本の人口は今後減少する、ということを表わしています。

    原因
    :女性の未婚化、晩婚化の上昇→理想の子供数を3人とする夫婦の5割が予定子供数を2人とし、第3子を持つ事をためらう傾向にあります。

    背景


    1. 女性の高学歴化や就業率の増加が進む一方、男性側の家庭内分業意識が改まらない結果、家事・育児・老親介護か、仕事か、の二者選択を迫られる結婚によって女性が機会費用(経済的メリット)が上昇した事(即ち結婚より経済的メリットのある仕事を選ぶ女性の増えた事)。
    2. 女性の経財力の向上や生活水準の向上に伴って自由な独身生活が増大した事により、そうした魅力を犠牲にしてもよいだけの相手でなければ結婚しないと女性の配偶者を選別する基準が高まった事。
    3. 女性が働く事に生きがいを感じ、仕事を通して社会の中で自己実現の可能性を求める意識が女性の間で強まってきた結果、「結婚が唯一の幸せでない」といった価値観が広がってきた事。→父権の低下
    4. こうした現実は数10年後には単身男性、女性の高齢化問題という形で改めて社会問題化する事は必至、将来の高齢化問題を一層深刻にする可能性を秘めています。

    5. 女性の仕事と育児に対する気持ちの変化

      かって、与謝野晶子が平塚雷鳥と交した母性保護論争での力説「女性の生活として母性のみが絶対に尊厳なものでなく、……人間の本務を発揮する尊厳な生活はその外にも無限にあって、それは個人個人の性情と境遇に由って別々に定まるものである。」このような母性にとらわれない、女性のポジティブな自己実現の欲求の高まりは、「仕事と育児」という課題が有言無実のスローガンである限りは、今後も女性の未婚率の上昇や晩婚化を促す要因として作用します。
      9人の子供を自ら育てながらも、国による母性の保護を国家への依頼主義と批判した晶子の発言を、公的機関や男性が逆手にとり、仕事と結婚、育児の両立を願う女性の真意をねじ曲げる事は許されません。この点で言うと、少子化対策として育児支援を唱える一方で、女性の就業保護規定の撤廃(宿直や時間外就業の制限の撤廃など)を主張したり、国民負担率の上昇を無条件に抑制して、公的負担を私的、家庭内負担に転嫁する事に無頓着であるかに見える最近の論調は、論理矛盾と言えます(少子化を考えるー東京大学教授醍醐聡)

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