戦争前の「生めよ増やせよ」の時代、終戦直後の「団塊」の時代は兄弟は3〜4人は当り前、中には10人以上などという物凄い者も居りましたが、今は子供は1人か2人、高齢化社会を迎えて次代の社会を担うべき子供の減少は由々しき社会問題になっております。でも何故?
平成9年1月21日厚生省と国立社会保障・人口問題研究所から「日本の将来推計人口」が発表されました。それに拠りますと
その結果、以下の社会問題が引き起こりました。
則ち、高齢化社会の根源たる福祉政策が平成9年現在の現況を保てない社会になりつつあり、その原因が少子化だというのです。
合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子供の数)の減少
【1965年2.14 →1981年1.74→1995年1.42】
則ち、一人の女性が生涯に生む子供の数が2を割るということは、男性は子供を生まないので、日本の人口は今後減少する、ということを表わしています。
原因
:女性の未婚化、晩婚化の上昇→理想の子供数を3人とする夫婦の5割が予定子供数を2人とし、第3子を持つ事をためらう傾向にあります。
背景
かって、与謝野晶子が平塚雷鳥と交した母性保護論争での力説「女性の生活として母性のみが絶対に尊厳なものでなく、……人間の本務を発揮する尊厳な生活はその外にも無限にあって、それは個人個人の性情と境遇に由って別々に定まるものである。」このような母性にとらわれない、女性のポジティブな自己実現の欲求の高まりは、「仕事と育児」という課題が有言無実のスローガンである限りは、今後も女性の未婚率の上昇や晩婚化を促す要因として作用します。
9人の子供を自ら育てながらも、国による母性の保護を国家への依頼主義と批判した晶子の発言を、公的機関や男性が逆手にとり、仕事と結婚、育児の両立を願う女性の真意をねじ曲げる事は許されません。この点で言うと、少子化対策として育児支援を唱える一方で、女性の就業保護規定の撤廃(宿直や時間外就業の制限の撤廃など)を主張したり、国民負担率の上昇を無条件に抑制して、公的負担を私的、家庭内負担に転嫁する事に無頓着であるかに見える最近の論調は、論理矛盾と言えます(少子化を考えるー東京大学教授醍醐聡)