公的介護保険

公的介護保険とは何か


現在国会で審議虫の介護保険とは何か

介護保険が国会を通れば、福祉政策は年金と医療保険、介護保険の3本建てになります。その公的介護保険とは如何なるものか、勉強しましょう。


  1. 創設の狙い

    1. 高齢者の介護の問題が非常に大きな社会的不安になり、これが家庭や地域において負担になっているため、この介護の問題を社会全体で支える制度を作る。
    2. 新しい制度を基本的に社会保険のシステムで作る。介護の問題が所得の多寡に問わず、全ての国民に振り掛かってくる問題である事から、社会全体で支える意味からも、医療保険制度、年金制度と同様に全ての国民が加入する考え方の制度を作る。
    3. 医療と福祉の縦割りの解消。これは介護を医療保険から切り離す事とも関係するが、介護について、医療保険、年金制度と並び立つ新しいもう一つの社会保険の枠組みを作る事によって、全体の介護に関するサービスを再構築する。即ち福祉政策は介護保険制度、医療保険制度、年金制度の3本建てとなる。
    4. 医療保険制度lは高齢化社会を迎えて、社会的入院等様々な問題を抱えているが、これを解消していく。いわば社会保障全体の見直し、構造改革を実施する上での第一段階という事で、制度改正を行うものである。

  2. 地域保険制度として構築する

    1. 保険者は市町村と特別区
      国、都道府県、医療保険保険者、年金保険者がそれぞれ財政面、事務執行面で支える仕組。
      費用→全体の2分の1を公費、2分の1を保険料
      公費の割合→国:地方=1:1
         地方→都道府県:市町村=1:1
      即ち、国:都道府県:市町村=2:1:1
      全体として保険料として50%、国の負担が25%、都道府県と市町村の一般会計の負担が12.5%となる。現在の福祉は全額が公費で、老人医療は約5割弱が公費で、地方負担は殆どないため、全体としては、特に市町村の負担はこの制度を導入する事によってかなり軽減される。
    2. 保険料:5割 保険加入者が負担する。老人保険との一番の違いは、老人保険は被保険者である老人に保険金支払いの負担はないが、介護保険は保険の給付を受ける老人にも保険金支払いの負担がある事。

  3. 保険加入者

    40才以上で2種類に分ける。

    1. 第1号被保険者(加入者);65才以上
      保険料は市町村が賦課徴収を行い、保険料の設定については市町村が条例で設定する。基本的には国民健康保険と同じスタイルである。市町村の事務負担も考えて、基本的には定額で段階を刻む応答負担となる。概ね5段階程度を想定している。この保険料賦課を前提に一定の金額以上の方は年金からの源泉徴収を行う。更に高齢者の保険料については、全く新しく介護保険制度で行い、公的年金から保険料相当額の源泉徴収する制度を導入する。金額は概ね3万円程度を考え、老齢福祉年金の水準を勘案しながら設定する。従って高齢者の約7割の方が該当する。このように年金からの天引き制度は新しい試みである。勿論、遺族年金、障害年金は対象にならない。

    2. 第2号被保険者(加入者):40才から64才まで
      医療保険者、健保組合、市町村国保が自分の制度に加入している方から、保険料を一括して徴収し納付する。現在の各医療保険制度の保険料に介護の保険料担当を上乗せして徴収する。保険料の取り方、算定の仕方は各保険者、国保であれば条例、健保組合であれば規約によって決まる。健保組合で言えば、通常、標準報酬に料率がかかる形になる。制度発足当初の一人当たりの月額の保険料水準が概ね2500円程度と考えられる。又2号の保険料については、世代間の扶養の社会化の意味もあり、全国一律に賦課する。概ね2500円を単位に、頭数を乗じて負担する事になる。

  4. 受給権者

    受給権者(保険を適応される者、即ち保険の給付を受ける権利を有する者)も保険加入者と同じ年齢割りで2種類に分ける。

    1. 第1号被保険者(受給権者):65才以上
    2. 第2号被保険者(受給権者):40才から64才まで

      第1号と第2号では取り扱い方が異なり、今度の制度では寝たきりや痴呆になった場合には保険給付を行う事になっているが、第1号の高齢者については原因の如何を問わず要介護状態となった場合は保険給付を行う。所謂虚弱の方、寝たきりの前段階、比較的軽症の方も保険給付の対象にするという事で、比較的広い範囲を対象としている。第2号の方について、若年について、現行の障害者福祉施策の体系があり、これとの間の役割負担がある。従って、現在の制度案では、加齢に伴って発生する疾病によって、それを原因として寝たきりになる場合には、介護保険でみて、それ以外の先天性障害、外傷性の障害については、障害者福祉施策、労災その他の既存施策で対応するという役割分担を行う。この点については、別途、障害者プランが策定されており、こちらで介護サービスを提供するという整理になっている。具体的には初老期痴呆や脳血管障害等が対象となる。現在でも初老期痴呆については、老人保健施設等への入所が認められているので、こうした事を参考にしながら決めていく。 利用手続きについては。市町村が要介護認定の手続きを行い、保険事故発生の確認、受給権の確認を行う。更に介護認定審査会が要介護状態審査や判定を行う。その上で本人の希望、判断によって、与えられた枠の中でサービスを選択して利用する事になる。
      保険給付の内容は、現在、医療保険制度の中で提供されている訪問看護、療養管理指導等、また、福祉のサービスで提供されている各種在宅サービスは網羅的に適用する。施設については、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床等が適用となる。一部負担金であるが、これは審議会の答申以来、受益に応じた負担を徴収するという事がコンセンサスとして確立している。1割の定率負担を在宅・施設を通じて徴収する事になっている。その上に、入所施設については医療保険同様、食費の標準負担を徴収する事になっている。
      また、介護保険の保険料算定は3年に1回で、3年を単位に保険料を設定する。
      施行は在宅・施設同時実施で平成12年4月。

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