健康診断書

健康診断書とは何か


手軽に考えていませんか

「子供がスイミングクラブに入るのに健康診断書が必要だというので、健康診断書を書いて下さい」等と言って、気軽に健康診断書を貰いに来る母親がいます。スイミングクラブ指定の健康診断書は?と聞くと「そんなものはありません」という返事。さて!。


健康診断書

日常の診療中に「健康診断書」を貰いに来る方があります。実はこの「健康診断書」は医師にとってやっかいな問題があります。

  1. 第一に本当に「健康であることの証明」をしようとすると、問診、視診、聴打診、血圧等の診察の他、人間ドック並みの心電図、検尿、胸部X線、胃腸透視、血液検査や、場合によっては注腸検査、CTやMRI、超音波断層、負荷心電図、ホルター心電図、眼底撮影、各種ファイバースコープ、腫瘍マーカー等の検査をしないと健康の確定はできないという点です。そしてこれらの検査をしたとしても「検査上は正常範囲内」というだけで、受診者が100%健康であるという証明は難しいのです。

  2. 第二に、健康診断にきた受診者に、これらの検査を一人一人に施行するのが親切なのでしょうが、健康診断は自由診療で保険診療できませんので、検査に掛かった費用は全額受診者負担となり、大変高額なものとなって、受診者に経済的な負担を掛けるという点です。

    色々なケースの診断書について考えてみます。

  3. 健康診断書でも入社試験や入学試験用のものは様式が決まっていて、採用者側の決めた事項のみを検査して診断すれば良いので、医師側の健康であることの証明への負担は大きくありません。

  4. 困るのは、水泳教室などに入会するので「健康診断書を下さい」という場合で、決められた様式の診断書が無い場合です。本当に健康であるという診断書を作成しようとすると、先に挙げたような検査をしないといけませんし、少なくとも水泳教室の時間中に突然死をしない事を証明しようとすると、胸部X線、心電図、負荷心電図、超音波断層などの検査を必要としますが、母親は気軽な気持で来ているので、納得していただけません。
  5. 問診、視診、聴打診などでは「あなたのお子さんはプールに入ってもよろしい」という診断書ではなくて、「現在の時点では、あなたのお子さんは聴打診上正常範囲にあります」という診断書しか書けないのです。

  6. 次に猟銃を所有したり、理髪店などを開店したりする時に、「麻薬やアルコール中毒者、精神病者でない」という診断書が必要だとして、貰いにくる方があります。普段、診ている方なら自信をもって診断書を書けますが、初診の場合は厳密に言うと、尿を調べたり、精神分析をしたりしないと書けません。受診者は急いでいる場合、診断書を書くのには勇気がいります。

  7. 尚、よく窓口で、「保健所や他医院と健康診断書の料金が違う」という方が居りますが、健康診断は自由診療ですので、掛かる費用は診療所によって異なる場合もありますし、例えば同じ胸部単純撮影をしても、保健所などの間接撮影と一般診療所の直接撮影とでは費用が異なります。

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