医薬分業

医薬分業とは何か


医薬分業とマルメは本当に医療費を抑制できるか

厚生省は医療費抑制の目的で、医薬分業と老人診療と小児診療に定額診療費を決めて、出来高による診療か、定額診療かを医師に選択させる医療保険制度を平成8年4月から始めました。どのようなものなのか、果たして本当に医療費は抑制できるのか、見てみましょう。


  1. 医薬分業

    医院や病院が自院で薬を出さないで処方せんを出し、患者さんはその処方せんを保険薬(医療保険が使える薬品、例えば同じバッファリンでも、医師の処方せんの不要な売薬のバッファリンと保険薬のバッファリンと2種類ある)を置いている「保険調剤」の看板の出ている薬局へ持って行って、処方せんと引き替えに医師の処方した保険薬を買うシステム。その意義は、患者さんの診断と治療は医師が行い、医師の処方せんに基づく調剤と薬歴管理・服薬指導は薬剤師が行うことによって、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で職能を発揮し、業務を分担、協調することによって、医療の質的工場を図ろうとするものです。

    1. 医師から見ると

      薬を自院に置かなくて良い上、処方せん料79点(790円)を請求すればよいのだから、調剤や薬剤の在庫管理が不要で、人件費も薬棚のスペースも不要となり、経済的にはメリットは大きい。その上、処方医薬品の選択の幅も広がる。しかし、厚生省は「門前薬局は駄目」と言っているので、患者さんが行く薬局に自分が処方した薬があるかどうか不安はあるし、同種の別の薬に化ける可能性もあるので、出しにくい。

    2. 患者さんから見ると

      処方せん料79点(790円)の方が医師の処方料32点(320円)より470円高い上、調剤料なども薬剤師の方が高いので、経費は医薬分業の方が患者さんにとっては高くなる。又、医院へ行った後、薬局に回り其処でも調剤の間待つので、労力的、時間的にも負担がかかる。メリットはない。

    3. 薬局から見ると

      薬局は自分の労力を使わずに、処方せんを持った客が医師から回されて来るのだから、経済的メリットは一番大きい。医院との連携と信頼関係ができないと実際にはうまくいかない。

  2. 門前薬局と備蓄センター

    門前薬局とは、A医院の処方せんをすぐ近くにあるB薬局が引き受けて薬を出す場合のB薬局の事を言います。厚生省は門前薬局は認めず、院外処方せんを出す医療機関は面分業をしなさい、と指導しています。しかし、例えば同じ学名の薬でもメーカーが異なると、名前から剤形から色まで違うので、実際にはA医院はすぐ近くのB薬局に自分の出す薬を予め知らせて、薬局で揃えて貰わないと、医薬分業はうまくいきません。現在うまくいっているのは門前薬局だけだと言えましょう。地元の薬剤師会としては、市内に備蓄センターのようなものを作ってそこへ行けばその地域の医院や病院で出す薬は全部揃うような形にしないと、厚生省の望む面分業は現在ではむずかしいと考えます。

  3. 医薬分業が進展しない理由

    患者さんサイドからみると、医師から薬を貰う事の慣れと上述したような経済的、労力的、時間的な負担から敬遠されがちです。医療機関サイドからは、薬局の医薬品備蓄等処方せん受け入れ体制の不備が挙げられます。

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