ー「これが当社が開発したバーチャル・リアリティを体験出来る&cd.i;ソフトです。架空多次元イメージと実在のように戯れる事が出来ます。
例えばまだ建っていない新医院を体験しましょう。
この特種な眼鏡とヘッドホン、手袋を付けて下さい。
そこの玄関前に立つと自動ドアが開きます。待合い室の壁の色が気に入らなければ、色を変えてコーディネイト出来ます。
ソファも座って見て下さい。診察室の器械や照明の配置はそれでいいですか。
実際に手を伸ばして器械棚を開けたり、水道の蛇口を捻ったりしてみて下さい。水もちゃんと出るでしょう。透視台の操作も出来ますよ。…」
ー「うーん。これはだけど、時間が入力出来ないじゃないか。
僕という生命体は蛋白質の粒の集合体で、蛋白質は元素の集合体で、元素は以前素粒子と言われた陽子、電子、中性子の集まりで、陽子、電子はクォークと呼ばれる粒子で形成され、クォークも密度あるものなら更に分割して最後は密度1の素粒子になる。
密度1ならある(1)か、無い(0)かでコンピューターにデジタル入力可能だから、僕自体はコンピューター入力できる。
これに時間を入力すれば10年後、100年後に自由にコンピューターから僕を取り出せる、つまりコンピューターの中で僕は永久に生きられる訳だ。
コンピューターに時計が内蔵されているじゃないかって?。
時計はこれから先の時間は刻むが、過去に戻れないから駄目だ。
時間をある(1)か無い(0)かの最小単位時間まで分割出来ればなぁ。
1秒は1900年1月0日(暦表時)に対応する1太陽年の31556925.9747分の1で、セシウム原子の基底状態における2つの超微細構造凖位間の遷移に対応する放射の9192631770周期の時間間隔だから…、いや、1秒を定義しても問題は解決しない。
時間をいかに記号化するか、だ。高校の時、加速度を微分すると速度になり、速度を微分すると長さという目に見えるものになると習った。時間を微分すれば、目に見えるものになり、入力可能になるんじゃないか。
微分した形で入力しておき、取り出す時コンピューターに積分してもらえば時間も取り出せる。
しかし時間の関数って何だろう。そもそも時間とは何だろう。
ホーキングの量子宇宙論によると、宇宙の膨張の始まったビッグバン特異点(密度最大限の1点)より以前にも虚数時間のエネルギーの山がありその先に宇宙のポテンシャル・エネルギーのゼロ点があるという。
おい、虚数時間って何だ。虚数を2乗すると-1になるんだろう。二乗するとマイナスになる時間の事か?。
本を繙いて時空と一般相対性理論、特種相対性理論と時間、プラックホールの時間、時間の端と超ひも理論等の復習をしよう。
特種相対性理論では時間と空間が密接に結びついて時空を作る、時空の中の2つの点の隔たりは、(時空の隔たり)2=(空間的な距離)2ー(時間の経過)2の式で表されるから、空間的な距離の2乗から時空の隔たりの2乗を引いてルートでくくれば、出る!。
時間の経過=
虚数の時間とは空間的な距離より時空の隔たりの方が大きい場合の時間なんだ。
まてまて、時空の隔たりって何だ。…京大の佐藤文隆教授の「時間のアトム論」?。鉄腕アトムの親戚か?。
…ホーキングの最新時間論はブラックホールの蒸発だって?。
&stop;…もう駄目だ。
そもそも一開業医が時間のソフト化を出来る訳がない。いや待てよ、諦めるな。
そもそも宇宙は光から始まったと聖書にあるじゃないか。
そうだ、過去から現在まで光で繋がっているんだ。
光の粒子の大きさを出してそれをある(1)として入力すればいいんだ!。
えーと、光の波としてのエネルギー量を計算して、光の早さは解っているからと…、エネルギーの法則から光の量子の重さが出るから、それから光の量子の直径を出して…、と。
ふむふむ…あーして…、こーして…、と。
&smiley;…出来た!!…」
ー「ったくもう、お父さん何しているの、御飯冷めちゃうじゃないの。
ったく、患者の名前と薬の名前は忘れても、御飯の時間だけは忘れない事だけが取柄の人だったのにぃ。何してんだか見てらっしゃい。」
ー「さっき、ソフト屋と話して、婆ちゃん出歩きとかいう新しいソフト入れて、その後ぶつぶつ独り言、言ってたけど…、見てくる。」
ー「お母さん、大変だ。コンピューターの前に変な眼鏡とヘッドホンと手袋があるだけでお父さん、居なくなっちゃったよ。だけどコンピューターの中からお父さんのぶつぶつ言う声が聞こえる!。」