六要鈔会本 第10巻の4(9の内) 化身土の巻 真偽決判 引文 『月蔵経』「諸魔得敬信品」~『華厳経』 |
◎=親鸞聖人『教行信証』の文。 〇=存覚『六要抄』の文 |
『教行信証六要鈔会本』 巻十之四 |
◎月蔵経巻第七諸魔得敬信品第十言。爾時復有百億諸魔。倶共同時従座而起。合掌向仏頂礼仏足。而白仏言。世尊我等亦当発大勇猛。護持養育仏之正法。熾然三宝種。久住於世間。今地精気・衆生精気・法精気皆悉増長。若有世尊声聞弟子。住法順法。三業相応而修行者。我等皆悉護持養育。一切所須令無所乏。乃至。於此娑婆界。初入賢劫時。拘楼孫如来。已属於四天帝釈梵天王。護持令養育。熾然三宝種。増長三精気。拘那含牟尼。亦属四天下梵釈諸天王。護持令養育。迦葉亦如是。已属四天下梵釈護世王。護持行法者。過去諸仙衆。及以諸天仙。星辰諸宿曜。亦属令分布。我出五濁世。降伏諸魔怨。而作大集会。顕現仏正法。乃至。一切諸天衆咸共白仏言。我等所王処。皆護持正法。熾然三宝種。増長三精気。令息諸病疫飢饉及闘諍。乃至略出。 ◎『月蔵経』巻第七「諸魔得敬信品」第十に言わく、その時にまた百億の諸魔あり。ともに同時に座よりして起ちて、合掌して仏に向かいたてまつりて、仏足を頂礼して、仏に白して言さく、世尊、我等またまさに大勇猛を発して、仏の正法を護持し養育して、三宝の種を熾然ならしめて、久しく世間に住せしめ、いま地の精気、衆生の精気、法の精気、みなことごとく増長せしむべし。もし世尊声聞弟子ありて、法に住し法に順じて、三業相応して修行せば、我等みなことごとく護持し養育して、一切の所須乏しきところなからしめんと。乃至。この娑婆界にして、初め賢劫に入りし時、拘楼孫如来、すでに四天を帝釈・梵天王に嘱せしめて、護持し養育せしむ。三宝の種を熾燃ならしめ、三精気を増長ならしめたまいき。拘那含牟尼、また四天下を梵・釈・諸天王に嘱して、護持し養育せしむ。迦葉もまたかくの如し、すでに四天下を梵・釈・護世王に嘱して、行法の者を護持せしめき。過去の諸仙衆、および諸天仙、星辰もろもろの宿曜、また嘱し分布せしむ。我五濁の世に出でて、諸魔の怨を降伏して、大集会を作して、仏の正法を顕現せしむ。乃至。一切の諸天衆、ことごとく共に仏に白して言さく、我等、所王の処、みな正法を護持し、三宝の種を熾燃ならしめ、三精気を増長せしめ、もろもろの病疫、飢饉、および闘諍を息めしむと。乃至略出。KESINDO:SYOZEN2-188,189/HON-383,384,HOU-492,493 〇四同第七巻諸魔得敬信品之文。任乃至言且分為三。初爾時下至無所乏六行余者。是明諸魔於世尊前発護持誓。次於此下至仏正法七行余者。是明三仏乃今世尊隆伏諸魔。護持正法。後一切下二行余者。明諸天衆咸発護法息災誓也。SYOZEN2-422/TAI9-502 〇四には同じき第七巻「諸魔得敬信品」の文。「乃至」の言に任せて且く分かちて三と為す。初に「爾時」の下、「無所乏」に至るまで六行余は、これ諸魔の、世尊の前にして護持の誓を発すことを明かす。次に「於此」の下、「仏正法」に至るまで七行余は、これ三仏乃び今の世尊、諸魔を隆伏し、正法を護持することを明かす。後に「一切」の下の二行余は、もろもろの天衆ことごとく護法息災の誓を発すことを明かすなり。SYOZEN2-422/TAI9-502 ◎提頭頼[タ04]天王護持品云。仏言。日天子月天子。汝於我法護持養育。令汝長寿無諸衰患。爾時復有百億提頭頼[タ04]天王・百億毘楼勒叉天王・百億毘楼博叉天王・百億毘沙門天王。彼等同時及与眷属従座而起。整理衣服合掌敬礼。作如是言。大徳婆伽婆。我等各各於己天下。懃作護持養育仏法。令三宝種熾燃久住。三種精気皆悉増長。乃至。我今亦与上首毘沙門天王。同心護持此閻浮提北方諸仏法。已上略抄。 ◎(月蔵経)「提頭頼[タ04]天王護持品」に云わく、仏の言わく、日天子、月天子、汝、我が法に於いて護持し養育せば、汝をして長寿にしてもろもろの衰患なからしめん。その時にまた百億の提頭頼[タ04]天王・百億の毘楼勒叉天王・百億の毘楼博叉天王・百億の毘沙門天王あり。彼等同時に、および眷属と、座よりして起ちて衣服を整理し、合掌敬礼して、かくの如きの言を作さく、大徳婆伽婆、我等おのおの己が天下にして、ねんごろに仏法を護持し養育を作さん。三宝の種をして、熾然として久しく住して、三種の精気みなことごとく増長せしめんと。乃至。我今また上首毘沙門天王と同心に、この閻浮提と北方の諸仏の法を護持すと。已上略抄。KESINDO:SYOZEN2-189/HON-384,HOU-493 〇五同巻提頭頼[タ04]天王護持品文。初明仏勅日月天子。説汝護持我仏法者。当与得寿除災之益。後明百億四天王等。同於仏前領受仏勅。SYOZEN2-422/TAI9-505 〇五には同巻「提頭頼[タ04]天王護持品」の文。初には仏、日月天子に勅して、汝、我が仏法を護持せば、まさに得寿除災の益を与うべしと説くことを明かす。後に百億の四天王等、同じく仏前にして仏勅を領受することを明かす。SYOZEN2-422/TAI9-505 ◎月蔵経巻第八忍辱品第十六言。仏言。如是如是。如汝所言。若有愛己厭苦求楽。応当護持諸仏正法。従此当得無量福報。若有衆生。為我出家。剃除鬚髮被服袈裟。設不持戒。彼等悉已為涅槃印之所印也。若復出家不持戒者。有以非法而作悩乱。罵辱毀呰。以手刀杖打縛斫截。若奪衣鉢及奪種種資生具者。是人則壊三世諸仏真実報身。則挑一切天人眼目。是人為欲隠没諸仏所有正法三宝種故。令諸天人不得利益随地獄故。為三悪道増長盈満。已上。 ◎『月蔵経』巻第八「忍辱品」第十六に言わく、仏の言わく、かくの如し、かくの如し、汝が言うところの如し。もし己が苦を厭い楽を求むるを愛することあらん、まさに諸仏の正法を護持すべし。これよりまさに無量の福報を得べし。もし衆生ありて、我がために出家し鬚髪を剃除して袈裟を被服せん。たとい戒を持たざらん、彼等ことごとくすでに涅槃の印のために印せらるるなり。もしまた出家して戒を持たざる者、非法を以てして悩乱を作し、罵辱し毀呰せん、手に刀杖を以て打縛し斫截することあらん。もし衣鉢を奪い、および種種の資生の具を奪う者、この人、すなわち三世の諸仏の真実の報身を壊するなり。すなわち一切天人の眼目を排〈はら〉うなり。この人、諸仏所有の正法三宝の種を隠没せんと欲うがための故に、もろもろの天人をして利益を得ざらしむ。地獄に堕せん故に、三悪道増長し盈満をなすなりと。已上。KESINDO:SYOZEN2-189,190/HON-385,HOU-493,494 〇六同第八巻忍辱品文。分文為四。一初十字者、明仏印可対告所言。二若有愛下一行余者。是明厭苦欣楽之機。護持仏道当得福報。三若有衆下一行余者。明出家者被涅槃印。四若復出下五行余者。明以非法致種種之悪行。衆生断三宝種堕地獄也。SYOZEN2-422,423/TAI9-508 〇六に同じき第八巻「忍辱品」の文。文を分かちて四と為す。一に初の十字は、仏、対告の所言を印可したまうことを明かす。二に「若有愛」の下一行余は、これ厭苦欣楽の機は仏道を護持してまさに福報を得べきことを明かす。三に「若有衆」の下一行余は、出家の者は涅槃の印を被むることを明かす。四に「若復出」の下五行余は、非法を以て種種の悪行を致す、衆生、三宝の種を断じて地獄に堕することを明かすなり。SYOZEN2-422,423/TAI9-508 ◎又言。爾時復有一切天龍乃至一切迦[タ04]富単那人非人等。皆悉合掌作如是言。我等於仏一切声聞弟子。乃至若復不持禁戒剃除鬚髮著袈裟片者。作師長想。護持養育与諸所須令無之少。若余天龍乃至迦[タ04]富単那等作其悩乱。乃至悪心以眼視之。我等悉共令彼天龍富単那等所有諸相欠減醜陋。令彼不復得与我等共住共食。亦復不得同処戲咲如是擯罰。已上。 ◎(月蔵経)また言わく、その時にまた一切天・龍、乃至、一切迦[タ04]富単那・人・非人等ありて、みなことごとく合掌して、かくの如きの言を作さく、我等、仏一切声聞弟子、乃至、もしまた禁戒を持たざれども鬚髪を剃除し袈裟の片を著ん者に於いて、師長の想を作し、護持養育してもろもろの所須を与えて乏少なからしめん。もし余の天・龍、乃至、迦[タ04]富単那等、それ悩乱を作し、乃至、悪心をして眼を以てこれを視ば、我等ことごとく共に、かの天・龍・富単那等、所有の諸相欠減し醜陋ならしめん。彼をしてまた、彼等と共に住し共に食することを得ざらしめん。また同処にして戯笑を得じ。かくのごとく擯罰せんと。已上。KESINDO:SYOZEN2-190/HON-385,HOU-494 〇七同品之文。是明天龍以下雑類。皆於仏前説言我等護出家人。与諸所煩令悩乱者。宜擯罰也。SYOZEN2-423/TAI9-512 〇七に同じき品の文。これ天龍以下の雑類、みな仏前にして我等、出家の人を護りて、諸の所煩を与え、悩乱せしむ者は、宜しく擯罰すべしと説言せることを明かすなり。SYOZEN2-423/TAI9-512 ◎又言。離於占相修習正見。決定深信罪福因縁。抄出。 ◎(月蔵経 或いは 華厳経)また言わく、占相を離れて、正見を修習せん。決定して深く罪福の因縁を信ずべしと。抄出。KESINDO:SYOZEN2-190/HON-385,HOU-494 〇八又同品文。是明当離占相妄情修習深信正見義耳。問。大集諸文上来所用有何要耶。答。引用意趣輙以難測。但以短慮加愚推者。世尊既対諸天乃至龍神八部勅而付嘱四大天下。彼等之輩。又於仏前領納仏勅。言令善人念持守輩。若悩乱者。忽以擯罰令造悪人住善法等。其義灼然。以之思之。諸善猶然。況念仏人蒙其護益。敢不可疑。然者守其不事諸天等説。閣之。一心念仏。自預彼諸天龍神等護持養育。措而不論。仍勧専念為正一心被引之歟。又背専念事彼諸天龍神等者。縦交念仏依為雑修。其益可為胎生之故。為示其義当巻之中被引之乎。SYOZEN2-423/TAI9-514 〇八にまた同品の文。これまさに占相の妄情を離れ修習して深く正見を信ずべき義を明かすのみ。問う、『大集』の諸文、上来の所用は何の要かあるや。答う、引用の意趣は輙く以て測り難し。但し短慮を以て愚推を加えば、世尊は既に諸天、乃至、龍神八部に対し勅して四大天下を付嘱したまう。彼等の輩は、また仏前にして仏勅を領納して、善をして人を念持守輩せしめて、もし悩乱せば、忽に以て擯罰し、造悪の人をして善法に住せしむということ等、その義灼然たり。これを以て、これを思うに、諸善なお然り。況んや念仏の人はその護益を蒙むらん。敢て疑うべからず。然らばその諸天等に事える説を守りて、これを閣〈さしお〉く。一心に念仏せば、自ずから彼の諸天龍神等の護持養育に預からんこと、措きて論ぜず。仍て専念を勧めて一心を正せんが為にこれを引かるるか。また専念を背きて彼の諸天龍神等に事えば、たとい念仏を交えるとも雑修たるに依りて、その益は胎生たるべきが故に、その義を示さん為に当巻の中にこれを引かるるか。SYOZEN2-423/TAI9-514 |