親鸞聖人  正 信 偈     意訳    (4)    


 本願名号正定業
 至心信楽願為因
 成等覚証大涅槃
 必至滅度願成就


意訳
 「南無阿弥陀仏」こそ確かな念仏の行である。
 阿弥陀仏の本願「至心信楽の願」によって、私に信心がひらかれるからこそ、「南無阿弥陀仏」の声が聞こえ、念仏できるようになる。
 念仏と信心とによって、私の浄土への道が定まって、さとりの世界に入ることができるのは、阿弥陀仏の「必至滅度の願」が成就したおかげである。
書き下し文
 本願の名号は正定の業なり。
 至心信楽の願を因とす。
 等覚を成り大涅槃を証することは、
 必至滅度の願成就なり。
語句
名号=南無阿弥陀仏。
正定業=南無阿弥陀仏と称えること。念仏が阿弥陀仏の本願にかなった行業(ふるまい・おこない)
    であること。
至心信楽の願=阿弥陀仏の第十八願。阿弥陀仏がたてられた四十八願の中心となる本願。
   人々が真実の信心を得て、浄土を願うように願われた本願。
等覚を成る=正定聚となること。信心が定まり、たしかに念仏の道を歩んで、浄土に向っていることが
   確信できること。
大涅槃=仏のさとり。滅度。悪心煩悩が滅して、静かな慈悲と智慧に満ちた境地。
必至滅度の願=阿弥陀仏の第十一願。阿弥陀仏の本願を受けて、真実に念仏する人は、
    必ず仏のさとりに至ると誓われた。