親鸞聖人  正 信 偈     意訳    (10)

 印度西天之論家
 中夏日域之高僧
 顕大聖興世正意
 明如来本誓応機
意訳
 仏教発祥の地である印度において論を作られた高僧や、中国・日本の高僧たちは、
 釈尊(釈迦)がこの世界に出現された真実の意義を明らかにされ、
 阿弥陀仏の本願は、末世の凡夫にふさわしい教えであることを明らかにされた。
書き下し文
 印度西天の論家
 中夏・日域の高僧、
 大聖 興世の正意を顕し
 如来の本誓は機に応ぜることを明かす 
語句
論家=論を作られた方。七高僧の内で『十住毘婆沙論』の著者である龍樹菩薩、『浄土論』の著者である天
   親菩薩、この二人を指す。
高僧=七高僧の内、中国の曇鸞・道綽・善導、日本の源信・源空(法然)の五人の大師。
大聖=釈尊。お釈迦さま。
興世=この世界に現れ出る。「大聖興世正意」は「如来所以興出世」と同じく、釈尊がこの世界に誕生された
   理由・意義という意味。
応機=機教相応・時機相応という語があるが、阿弥陀仏の本願は人と教えとがあい適った教え、末法の時 
   代と、その時代に生きる人にあい適った教えであること。
機=人間のこと。教えを聞く人。人には仏の教えを聞いて目覚める機(はたらき)が、本来的に備わっている
   ことから、人を機という。