星の明るさ
 
 
 星の明るさは、どうやって表されるのでしょうか?よく、2等星とか3等星とか言いますが、この等級というのは何なのでしょうか?
 
 実は、昔、天文学者の申し合わせにより、以下のように取り決められました。
 
 「視力1.5の人が暗闇の中でギリギリ見える暗さの星を6等星とし、そのちょうど100倍の明るさを1等とする。」
 
 ということは、1等級上がるごとに明るさは20倍になるのか?って?そんなことをしたら2等級上は400倍になってしまいますね。だから、いわゆる倍々ゲームで5等級上を100にしないといけないわけで、1等級の差は100の5乗根ということになりますね。つまり約2.512となります。だから2等星は3等星の、1等星は2等星のそれぞれ2.512倍明るいということになります。試しに2.512を5回かけ算すれば、ほぼ100になりますので、1度やってみて下さい。
 
 やがて、だんだん時代が進んで、望遠鏡の精度が上がり、写真の技術も発達したので、従来の決め方では精密な観測が出来なくなってきました。そこで、明るさの基準として、天の北極付近の星々について、その明るさを相対的に記した「北極標準光度系列(NPS)」が発表され、これが基準となるよう、国際的に取り決められています。なぜ、天の北極付近を使ったかと言えば、観測者そして観測所の大半が北半球にあるので、この付近の星は一年中見ることが出来るからなのです。この中では、北極星を含めてPg(写真等級)20.10等の星までに1〜100の番号がつけられ、それらを比較して100分の1等級の単位で明るさが示されています。これらの星達を基準に全天の星の明るさも相対的に決められているのです。
 
 なお、これらで示される星の明るさは、あくまで「地球から見た明るさ」でしかなく、その星の本当の明るさではありません。では、本当の明るさはどうすれば比べられるのでしょうか?そのためにはそれぞれの星までの距離が分からなくてはなりません。
 どうすれば距離を測れるかというと、まずAという星を1月1日に観測したとします。その時のA星の見えていた方角を細かく記録します。次に、地球が半周して太陽の反対側へ来たとき(すなはち7月1日)に再びA星を観測すればその見える方角はほんのわずかながらズレています(年周視差)。このズレの角度が求められれば、地球の軌道の半径は分かっている(約1億5,000万キロメートル)のだから、三角法によってA星までの距離が求められます。いま、年周視差がちょうど1″(1″は1°の3,600分の1)の星があったとすれば、その星までの距離が32.6光年(10パーセク)であることが計算で求められます。そこで、距離が分かっている星達をこの32.6光年の距離に持ってきたとき、どのくらいの明るさで見えるかを表したものを「絶対等級」と言います。
 これを使えば、例えばわし座のアルタイル(牽牛星)は0.8等星で16.8光年のところにあり絶対等級は2.2等となりますが、となりのはくちょう座のデネブは1.3等星で見かけは暗く見えますが、2,000光年の彼方にあるので絶対等級はマイナス7.0等とはるかに明るくなるわけです。
 
 
 


 
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