夜空の星々はさまざまな色で輝いています。それらの光を分光器というものにかけますと、その星のスペクトル型が分かります。例えば、雨上がりに日が射すと空気中の水分がプリズムの役割を果たして、虹が姿を見せますが、スペクトルとは、その虹の色の別れ具合だと言いますと理解しやすいでしょうか?まあ、いずれにしても星の色を表現するのには通常このスペクトル型が用いられます。
星の色というものは、基本的にその星の表面温度によって違ってきます。単純には赤い星ほど低温で青い星ほど高温だと思っていただければよろしいでしょう。
星は、誕生してしばらくは周囲の星間物質を呑み込みながら不安定に輝きます。しかし、ある程度の時期が経てば、一定の範囲内に定着します。このことを「主系列に乗る」と言います。そして、星の一生というのはその大部分が主系列星としての姿なのであります。人間で言うところの成人期のようなものと思っていただければいいでしょう。やがて、燃料の大半を使ってしまった老齢の星になると、表面の温度が下がり、内圧によって星は膨張を始めます。それも最初はしばらく経つと内部の引力により収縮したりして一定サイクルで縮んだり膨らんだりを繰り返します。こうした時期の星を「脈動変光星」と呼びます。
この時期を過ぎると、もはや膨張する力の方が勝ってどんどん膨らんでいき、星は「赤色巨星」になります。
ココから先はその星が持っている質量によってたどる運命が変わってきます。太陽程度の平版的な星は、やがて燃料を使い果たすと、膨張していたガスを周囲に吹き飛ばし「惑星状星雲」を発生させます。そして、中心に残った燃えカスは「白色矮(わい)星」という高温・高密度の固まりになります。しかしそれもやがては冷えて光を出さなくなり、「黒色矮星」となって一生を終えます。
しかし、太陽よりもずっと質量の大きな星は、その膨張の規模からして大きく、「赤色超巨星」となり、全ての燃料を使い果たすと「超新星爆発」を起こして周辺にガスを吹き飛ばします。このときのエネルギーは莫大で、全宇宙にある全ての重元素はこの超新星爆発によってのみ生成されるとする見解もあります。この星の燃えカスはあまりに大きな重力のために、原子の中の電子までもが原子核の中にめり込んで、電気的に中性な「中性子星」となります。また、特に質量の大きな星は、ついには自身の重さに堪えきれず小さくなり、ついには光さえも脱出できない「ブラックホール」となってしまうのです。
若干話がそれましたが、質量の大きな星ほどその燃料を一気に燃やしますので明るく、高温になりますが、その一生は短くなってしまいます。例えば、オリオン座のβ星:リゲルの場合は、直径が太陽の19倍、表面温度は12,000度もあり、太陽の25,000倍の青白い光を放っていますが、3,000万年ほどで燃え尽きる運命にあります。
太陽は全宇宙の星々の中でも全く平均的なありふれた星のひとつで、表面温度は6,000度。黄色く輝き、100億年ほどの寿命を持っています。
対して、太陽よりもずっと小さな質量しか持たない星の場合は、まるで炭火のおきの様にくすぶるようにしか燃えないので極めて暗く、低温です。例えば、へびつかい座のバーナード星は、地球から6.0光年と全天で2番目に近い星ですが、太陽の2,000分の1の明るさの低温の小さな星なので、肉眼で見ることは出来ません(9.5等)。しかし、こういった星はじわじわとしか燃料を使わないので、その寿命は1,000億年を超えると言われています。このような星を特に「赤色矮星」と呼んでいます。
で、スペクトル型なんですけど、色によって以下のように分けられています。(MK式2次元分類法による)
O(青)
\
B(青白)
\
A(白)
\
F(うす黄)
\
G(黄)
\
K(だいだい)
\
M(赤)
また、スペクトルを分析するときに、可視光の領域にそれを分断する独特の輝線が見られる場合があります。これは、その星に含まれる微量の金属元素によるもので、たとえば、からす座のγ星のスペクトル型はB8pHgMnと示されますが、これはスペクトル型B型の青白い星で、その度合いは10段階の8、特異なスペクトルを持つ意味のpに、その元素として水銀(Hg)とマンガン(Mn)がある、ということを示しています。なお、当サイトではややこしくなりますので、スペクトル型は単に色を示すものとして表記しますので、輝線に関する記述を省略いたします。