片恋物語
詞/曲 下山田勝彦
知り合ってから 募るばかり 片想い
切実な想い 胸に秘めて
心の中で 炎燃やし
捧げる言葉も 思いつかず
涙が滲(にじ)んだ 旅行(たび)の途(みち)
今迄これ程 心沈んで
泣いたことなど なかったのに
伝える言葉が 咽喉(のど)に痞(つか)え
今夜も溜息 梅雨の時節(ころ)
明日を見つめる こともせずに
呆然と唯(ただ) 日々を送る
疎らに言葉を 零(こぼ)すばかり
虚ろな毎日 曇空
彼女を恋して 一人悩む
あいつの姿 淋しく見えて
俺に出来るのは ささやかに
見守り励まし 唄う歌
この曲は高2の修学旅行の直後に作ったもの。
友人Rはこの頃片想いを寄せている娘がいて、修学旅行の時にこれはチャンスとばかりアタックすることになっていた。僕等は段取りを付けてやってその娘のいる部屋に直電を入れて同室の別の娘に頼んでその娘を電話口に出させてもらった。僕はRに「がんばれよ!」と後押しして受話器を渡してやったのにRは一言「うひゃああぁぁ!」と叫んで電話を切ってしまった。僕等はRをシバき、彼女に無理を言ってもう一度電話に出てもらった。今度は多少会話にはなったものの、Rは「モシモシ、僕誰か分かる?」と言い、彼女が「え、Rクンでしょ?」と言うとRのヤツは「ピンポ〜ン!」と言ったきり電話を切りやがった。その後、僕等はRに腕ひしぎ逆十字と4の字固めをかけたのは言うまでもない。
次の日のバスの中で、Rはひどく落ち込んでいて、「なぁ、物質って一体どこから来たんやろ?」などと訳の分からんことを言ったりしていたが、やがて僕に「俺のために曲作ってくれ!」と贅沢なことを言ってきやがった。仕方がないので作ったのが、この曲。
そのRも今や航空エンジニアとして第一線で活躍中。聞けば笑える昔話として、今も僕等はみんなで集まるときによくこの時の思い出話で盛り上がっているのだ。
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