百�閧ﾌ「バナナの菓子」に、なぜ怒りがどっかん大爆発するのか。
　百�閧ﾍ明治22年生まれで、28年に環翠小学校、35年に岡山中学校へ入学しているので、｢明治三十何年｣というのはその頃のことだろう。
　｢私は初めてバナナのにほひを嗅いだ｣そして｢生のバナナを初めて食べたのはそれからまだ十年近くもの後の事であったと思ふ｣というのである。
　今でこそ近くのスーパーで５本１９８円で買えるので、私は果物類の栄養補給として、必ず一日１本を常食としているが、当時はそうは容易に口にできる代物ではなかった。
　この菓子だって本場台湾の土産である。そんな珍しい戴き物を、ばあさんが箪笥にしまっておいたって、別に不思議ではない。どこの年寄りでも大概はそうなのだ。
　そして｢座敷ぢゆうに大変なにほひが漲つて｣｢後後までも箪笥のにほひは抜けなかつた｣ら、子供だって気持ちが悪くなる。私は想像しただけで｢げいげい｣してきた。
　バナナは一日１本に限る。