bX170
黒澤明監督作品『まあだだよ』

大映+電通+黒澤プロ共同制作作品
公開1993年4月17日(配給・東宝)
パイオニアLDC 1993.12.21

PILD-7093
CLV
5面/134min. メイキング119min
カラー/NTSC
STEREO
ビスタ・サイズ(1×1.85)
\15,000

DISC1 SIDE1:「まあだだよ」本篇
     SIDE2:「まあだだよ」本篇
DISC2 SIDE3:「まあだだよ」本篇、と特報、予告篇、TVスポット
DISC3 SIDE1:「黒澤明『まあだだよ』MAKING FILM」
     SIDE2:「黒澤明『まあだだよ』MAKING FILM」
         「黒澤明 映画づくりの神髄」
 『まあだだよ』は、随筆家として今なお熱烈なファンを持つ作家・内田百(1889〜1971)とその門下生たちとの心の触れ合いを描いている。製作中83歳を迎えた黒澤監督にとってこの作品は、1943年の『姿三四郎』以来30作目に当たると共に、監督生活50周年を記念する大きな節目の作品でもある。
 昭和18年、三十数年勤めあげた大学を退職し、作家業に専念することにした百關謳カ。時はまさに第2次世界大戦に突入せんとする暗雲の時代。焼け出され、三畳一間の掘立小屋に暮らしながらも自由闊達に生き抜く、ユニークで人生を心から愛する先生と奥さん、2匹の猫、そしてそんな師を愛し、慕って集い来る弟子たち。そこに生まれる数々のほのぼのとしたエピソード。物質的にはもっとも恵まれなかった時代なのに、そこには今は失われてしまった暖かい魂の交流がある。
 キャストは、監督の強い希望で出演が決まった所ジョージの他、松村達雄、香川京子、井川比佐志、寺尾聰、油井昌由樹ら、黒澤映画おなじみの俳優たちが人生の機微を感じさせる卓越した演技を見せている。
あらすじ
昭和一八年の春。先生は生徒たちへ、作家活動に専念するため、学校を去ることを告げた。生徒たちは『仰げば尊し』を歌い敬愛する先生を送る。退職後に引っ越した家にも、高山、甘木、桐山、沢村ら門下生たちが遊びにやって来る。といっても皆、中年のいい大人なのだが。ある日、先生の家で還暦の祝宴が開かれた。先生と奥さん、門下生たちの馬鹿鍋を囲みながらの楽しい会話が弾むが、戦時下のこと、空襲で水をさされてしまう。先生の家は空襲で焼けてしまい、知人の厚意で貸してもらった、三畳一間の堀建小屋暮らしを余儀なくされる。先生と奥さんは狭いこの小屋で夏、秋、冬、春……三年半を暮らす。昭和二一年の晩春、門下生たちの画策で第一回『摩阿陀会』が開かれた。元気な先生はなかなか死なない、そこを洒落で死ぬのは『まあだかい?』というわけだ。吉例となっていくビールを飲み乾して先生は『まあだだよ!』と答える。宴会は盛り上がり、混乱の極致である。門下生たちの尽力で新しい家ができた。先生はお礼の申しようもないと感謝し、幸せそうである。猫を抱いた奥さんも嬉しそうだ。ある日、先生もお気に入りの猫、ノラがふいに失踪する。以来先生は哀しみにくれる毎日を過ごす。ノラを捜す周囲の人たちの善意に、先生の胸は感激でいっぱいになった。昭和三七年、晩春。第十七回の『摩阿陀会』。先生の髪は白くなり、門下生たちは子供や孫を同伴しての出席である。先生は小さな子供たちへ言葉を贈る。『みんな、自分が本当に好きなものを見つけて下さい……』。途中で体調をくずした先生は、門下生に付き添われて家へ帰る。布団の中で眠る先生は、なんだか楽しそうな顔をしている。先生は夢を見ているらしい。