このページで紹介する楽器は、 全てNCEの演奏会、全体練習、または団内演奏会において 実際に演奏されたことのある楽器です。
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フルート(Flute)現代ではフルート属を代表する基本的な楽器。 NCEでも、フルートパートの全員が各1台以上この楽器を所有している。 リコーダーの項にも書いたように、 現在のように横笛がフルート属の代表楽器と看做されるようになったのは モーツァルトの時代(18世紀後半)以降である。なぜそうなったかはよくわからないが、 リコーダーは唇の調整で倍音を選択することができず、 従って第3倍音以上が利用できなくて音域が狭いということも理由の1つかもしれない。 ただ、いずれにしても、この時代のフルートというのは音色もかぼそく、 音程も不安定であった。 モーツァルトが友人に宛てた手紙の中で「こんな音程の悪い楽器のために 作曲せねばならないなんて苦痛だ」と罵倒しているのは有名な話。 19世紀に入って、自身もフルート奏者だったベーム(Theobald Boehm 1794-1881)が フルートの大改良を行った。その内容は、指で直接穴を塞ぐのではなく、 もっと大きな穴をあけてタンポで塞ぐようにしたこと、 半音用の穴を設けて特定のキー操作で塞がるようなキーシステムを作り、 半音(特にフラット系)を含むパッセージの演奏を容易にしたこと、 木管を金属管に変えたことなどである。
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ピッコロ(Piccolo)基本的にはフルートを半分の大きさにした楽器 (但し、歌口は人間の口の大きさに合わせているので、 フルートとあまり変わらない)。 従って、調律もフルートの丁度1オクターブ上で、「オクターブの楽器」 という意味のオッタビーノ(Ottavino)という 呼び方もある。 NCEでは個人でこの楽器を所有している者が2名居る。 また、NCEにおける最大同時使用数は4本である。 第8回定期演奏会でホルスト「惑星」の水星において 原曲でバイオリン4重奏となっているところをPiccolo4本で演奏した。 それに次ぐ記録としては、第5回定期演奏会で マーラー「交響曲第3番」(第1楽章のみ)において、 原曲で「Flute5人全員Piccoloに持ち替えてunison」とあるところを 実際は3本で演奏したというものがある。 フルートの半分の楽器という基本的な発想は古来一貫しているが、 フルートと同じベーム式のピッコロが普及したのは、 どういうわけか約1世紀遅れて20世紀に入ってからである。 現在でも古い楽譜に「D♭ピッコロ」のパートがあるのは、 旧式(アルバート式)システムの楽器を想定したものである。 アルバート式はフラット系を演奏するのが苦手なので、 D♭管を採用することによって、例えばin B♭が♯3つ、in E♭が♯2つなど、 大概の曲がシャープ系になって都合が良いというわけである。
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リコーダー(Recorder)ブロックフルーテ(Blockfloete)とも呼ばれる。 戦後日本で普通に教育を受けた人なら小学校で習っているハズのおなじみの楽器。 バッハの時代(18世紀前半)まではこちらがフルートの代表格だった。 例えば、バッハのブランデンブルグ協奏曲では、 現在のフルートの前身にあたる横笛のことを「横のフルート(Flauto traverso)」、 アルト・リコーダーのことを「柔らかい音色のフルート(Flauto dolce)」と書き分けてある。 これが、少し年長のビバルディになると、 「Flauto」と書いてあったら確実にアルト・リコーダーのことだし、 「Ottavino」と書いてあったら ソプラニーノ・リコーダーのことである。 NCEでは、対外的な演奏会にこの楽器を使ったことは無く、 団内演奏会の企画モノで使っているだけである。
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ファイフ(Fife)いわゆる「鼓笛隊の横笛」である。 第5回定期演奏会で演奏した小山清茂「吹奏楽のための木挽歌」に出てくる 祭りの横笛をイメージしたPiccoloソロを、 更にイメージ通りの音色にするために用いた。 本当は自作の篠笛でやりたかったのだが、 後述のような事情で断念した。 また、第10回演奏会で演奏した伊藤康英「吹奏楽のためのぐるりよざ」に出てくる 龍笛ソロを、龍笛では西洋楽器と音程を合わすのが難しく、 また高音域などで奏者が充分にコントロールしきれない部分が どうしても解決できなかったため、次善の策として用いた。 奏者本人としても、そこそこ納得できる雰囲気を出すことには成功し、 評判もなかなかであったが、実は本物の龍笛の音と聞き較べると 音色が軽薄であることがバレてしまうというのが辛いところ。 写真は以上の演奏会で実際に用いた楽器で、実際にはプラスチック製なのだが、 遠目には立派な「象牙の楽器」に見えるという妙な評価を得てしまった。 ちなみに、この楽器は実際に演奏したPiccolo奏者が小学校の授業で使うために 共同購入したものである。音楽の先生が物好きだったわけだ。
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尺八邦楽の基本楽器の1つ。民謡などでは欠かせない楽器と思われているが、 実は一般庶民が吹けるようになったのは明治になってからである。 江戸時代には、虚無僧でおなじみの普化宗が独占的に使用を許されていた。 虚無僧には「役人の前でも網笠を取らなくて良い」特権もある。 時代劇によく出てくる怪しげな虚無僧は、 「この特権を悪用し、素性を隠して行動しようとするニセ物」という設定である。 NCEが第8回定期演奏会で演奏した「Jurassic Park Soundtrack Medley」の 冒頭部分に尺八が出てくる。 偶々、某フルート奏者の兄が、興味半分で購入して少し練習してみただけで 全然使っていない安物を持っていたので、それを借りてきて特訓を試みた。 しかし、ホール全体に響き渡るような音を鳴らせるレベルには至らなかった。 というわけで、演奏会本番では、楽譜の指定に従って、 別のフルート奏者がFluteでオクターブ高く吹き替えて演奏した。
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奈良のおみやげの笛某Piccolo奏者が、奈良公園の露店で購入した笛を改造したもの。 元々はリコーダーと同じ原理で鳴るようになっているが、 歌口を横につけてあるので、一見すると横笛を吹いているように見えるという代物である。 この発音体部分を塞いで本当に横笛にしてしまい、「自作の篠笛」としたものである。 この楽器は第5回定期演奏会で演奏した 小山清茂「吹奏楽のための木挽歌」に出てくる 祭りの横笛をイメージしたPiccoloソロを、 更にイメージ通りの音色にするために作ったものである。 確かに理想的な音色が得られたのだが、 単純な改造では必要な最高音域が演奏できなかったため、 ファイフで代用することになって日の目を見なかった。 改造を行ったPiccolo奏者は、最高音域が出るようにしようと 必死の再改造を試みたのだが、結局失敗した。 のみならず、再改造中途の楽器でゲネプロに臨み、 3回あるソロを全て失敗した録音を残してしまった。 この録音は、会館の演出技術者との打合せ用に使うものだったので、 彼は大顰蹙を買ってしまった。本当に恥かしいヤツである。
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アイリッシュ・ウィスル(Irish Whistle)直訳すると「アイルランドの笛」である。 当然ながら現地でそのように呼ばれているわけは無く、 単に「Whistle」と呼ばれるか、「Tin Whistle(ブリキの笛)」あるいは 「Penny Whistle(1ペニーの=安価な笛)」と呼ばれているらしい。 第14回定期演奏会で演奏したH. Shore「The Lord of the Rings 第1部」では、 ホビットのテーマをこの楽器で演奏しており、 雰囲気を出すために同じ楽器を使った。 もちろん、吹奏楽の中で演奏するには音量的に無理があり、 マイクでピックアップしてスピーカーで流した。 なお、本来はin Dの楽器であるが、編曲の都合でin E♭が必要になったので、 2本購入して、1本を削って短くして調性を変えた。
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パン・フルート(Pan Flute)各地の民族楽器に種々の名前で存在する楽器だが、 西洋での呼称であるパン・フルート、あるいはパン・パイプ(Panpipes)が 総称名としても使われている。 ちなみにパンとは、ギリシャ神話に出てくる牧畜の神である。 「山羊の脚・角・髭を持つ醜男で、音楽・舞踏を好む」と広辞苑にあった。 NCEでこの楽器を使ったのは、1997年5月の公サ連祭り (「公サ連」は長岡京市中央公民館の「公民館サークル連絡協議会」の略)で、 NHK大河ドラマ「秀吉」「毛利元就」のテーマを続けて演奏したときである。 「秀吉」の中で出てくるパン・フルートを自分で演奏するために 某フルート奏者が楽器を自作した。 このときにまとめた製作メモが、 団内広報紙「NONCE」にも掲載された。
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友情特別出演 | |
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サンバ・ホイッスル(Samba Whistle)編曲上Percussionの一員として扱われるのが通例だが、 発音原理からいえばフルートの仲間である。
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