医療系介護である訪問看護について
訪問看護ステーション立ち上げに関して
1、訪問看護は医療系の中で、営利法人の参入が可能な事業
介護事業においては、主に訪問介護などの民間介護系と訪問看護などの医療系に大別
されます。
通常、医療系は経営母体が医療法人などに限定されており、営利法人(株式会社や合同
会社)は参入できません。
ただ、訪問看護事業については、
訪問看護ステーションという形で営利法人(株式会社や
合同会社)の参入が可能です。
訪問看護は医療系ですから、もちろん実際に訪問して行うことは訪問介護とは異なりま
す。
結果として、
訪問介護と訪問看護とでは介護報酬に大きな違いがあります。
例えば、訪問介護で身体介護中心で介護を行った場合の介護報酬の一例を紹介しま
す。
ちなみに1単位は10円です。(地域により若干異なりますが。)
<訪問介護>
(1)所要時間30分未満の場合・・・254単位
(2)所要時間30分以上1時間未満の場合・・・402単位
(3)所要時間1時間以上1時間30分未満の場合・・・584単位
次に上記と同じような場合での訪問看護ステーションの介護報酬をご紹介します。
<訪問看護>
(1)所要時間30分未満の場合・・・425単位
(2)所要時間30分以上1時間未満の場合・・・830単位
(3)所要時間1時間以上1時間30分未満の場合・・・1,198単位
もちろん行っていることが違いますので同一に語ることはできませんが、訪問看護の
介護報酬は訪問介護と比較しても多いといえます。
また、要支援者に対して行う介護予防訪問看護についても、その介護報酬は上記と
同額になります。
ただし、訪問看護の場合、訪問看護員は基本的に看護師ということになりますから、
人件費に関しては、訪問介護よりもかかるのは事実です。
それでも訪問看護の方が訪問介護よりも
利益率が高いといえます。
2、訪問看護は介護保険だけではない
訪問看護といえば、他で紹介しています介護サービス同様、介護保険によるサービスと
捉えがちですが、医師の指示があれば
健康保険による訪問看護サービスを行うことが
できます。
既に述べましたが、民間の営利法人(株式会社や合同会社)でも訪問看護ステーション
という形で介護保険法による訪問看護事業の指定を受けることができます。
そして、この介護保険法による訪問看護事業の指定を受けた時点で、健康保険法に
よる訪問看護事業の指定を受けたものとみなされます。
(健康保険法第89条第2項)
このため、場合によっては
健康保険で訪問看護を利用される利用者からも報酬を受け
ることが可能となります。
3、訪問看護の立ち上げ準備は早めに
訪問看護ステーションの立ち上げに関しましては、おおよそ訪問介護事業の立ち上げと
良く似ていますので、基本的には
「訪問介護事業立ち上げの手順と要点解説」のSTEP
1からSTEP7までをご覧ください。
ただし、人員要件については訪問介護と異なりますので、
「指定申請の要件と手続き:訪
問看護(訪問看護ステーション)」も併せてご覧ください。
実際に、訪問看護の特徴として挙げられるのが、この人員要件です。
訪問看護の場合、
管理者も含め全員が看護師、准看護師または保健師である必要が
あります。
ただし、准看護師の方の場合、減算がありますので、できれば正看護師の方を雇用した
いところです。
また、訪問看護という性格上、緊急時などの対応なども考慮に入れますと、訪問看護で
はなくとも、
少なくともある程度、医療機関に勤務した経験のある看護師が必要といえま
す。
良い人材、さらに資格者となりますと、人員の確保に時間を要することも十分に考えられ
ます。
このため、
早めに会社を設立し、事業開始までの期間を充分確保するようにしておくこと
が必要です。
(具体的には会社設立から指定(開業)まで、大阪府で3〜4か月程度、兵庫県の場合は
指定申請締め切りから指定までの期間が長いので、大阪府よりもう少し余裕を見た方が
無難です。)
4、居宅療養管理指導について
訪問看護ステーションの場合、組み合わせたい事業の筆頭として挙げられるのが
「居宅
療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導」です。
居宅療養管理指導とは、退院後の人に対して病院や診療所、薬局などの医師や歯科
医師、薬剤師などが家庭を訪問して行う療養上の管理や指導のサービスです。
「指定申請の要件と手続き:訪問看護(訪問看護ステーション)」にも書いておりますが、
平成21年4月から介護保険では看護師による居宅療養管理指導もできるようになりまし
た。
基本的に、訪問看護ステーションの指定を受けていれば、居宅療養管理指導の指定を
受けることができます。
訪問看護の要件さえ満たしていれば、更に新たな要件整備は不要です。
ただし、みなし指定というわけではなく、
別途、指定申請が必要です。
また、訪問看護ステーションとの同時申請も可能です。
訪問看護ステーションを行うのであれば、是非、居宅療養管理指導の指定も受けたいと
ころです。
(兵庫県下では別途、証紙代が必要ですが・・・)
5、中小企業基盤人材確保助成金
創業に関する助成金もいくつかありますが、その中の1つに中小企業基盤人材確保助成金があります。
この助成金は、支給額も従業員1人あたり140万円とかなり大きなものです。
ただ、この助成金は手続が煩雑なのと、要件の厳しさから、一般の創業で利用される例は少ないといえます。
例えば、250万円以上の設備投資、年収350万円以上の従業員の雇用、業種(成長分野)の限定などです。
さて、介護事業においては従来、介護基盤人材確保等助成金が多く利用されてきました。
しかしながら、この助成金は既に廃止となっています。
ただし、訪問看護事業に限っていえば、介護基盤人材確保等助成金がなくなっても、中小企業基盤人材確保助成金は、
ほぼ確実に狙っていける助成金となります。
(しかも、支給額は介護基盤人材確保等助成金の倍となる従業員1人あたり140万円)
中小企業基盤人材確保助成金を申請するための要件について、その要点を解説します。
申請するには、下記のいずれにも該当する必要があります。
1、雇用保険の適用を受けていること
従業員を雇用する必要がありますが、法令に則り、雇用保険に加入する必要があります。
2、成長分野等に該当する事業であること
成長分野等には、電気業、情報通信業、医療・福祉などが該当しており、
訪問看護事業は医療・福祉に該当します。
3、250万円以上の設備投資
事業に使用する車などを購入すれば、その他の備品なども合わせてクリアーできる数字です。
4、賃金台帳、出勤簿などの備え付け
いわゆる労働三帳簿の整備は必須です。
次に、助成の対象となる労働者についてです。
下記のいずれにも該当する必要があります。
1、助成金の支給終了後も引き続き継続して雇用することが見込まれる者
事業主都合により常用労働者が離職、または、離職者が3人を超え、かつ、被保険者の6%に相当する数を超えた場合、当該助成金は支給されませんので、注意が必要です。
2、過去3年間、申請する会社で勤務していない者
3、年収350万円以上の賃金で雇いいれられる者
訪問看護でいえば、常用労働者の場合、看護師や理学療法士などは、年収要件をクリアーするはずです。
4、事務的・技術的な業務の企画・立案、指導を行う事が出来る専門的な知識や技術を有する者
看護師や理学療法士などは、この要件に入ります。
中小企業基盤人材確保助成金の助成は、対象労働者の雇い入れ日の直後の賃金締切日の翌日から起算して1年間について行われます。
最初の6ヶ月間を第1期、次の6ヶ月間を第2期として、その労働者につき最高70万円ずつ支給されます。
受給のためには、改善計画認定申請書を事業所の所在地を管轄する都道府県に提出し、知事の認定を受けることが必要です。
受給のために最も大事なことは、新分野進出を開始してから6か月以内に提出をしなければいけないということです。
言いかえれば、訪問看護事業を行うために、
会社を設立してから6か月以内に提出が必要になります。
(
訪問看護の指定を受けてからではありません。)
上記、改善計画認定申請書を提出したら、それから1か月以内に対象労働者を雇い入れる必要があります。
助成金を受ける際は、この助成金に限ったことではありませんが、受給申請のスケジュールは、よく確認しておくことが大事です。
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