第6巻

作成 1997年 8月29日

テレビ局中継車特集

 

最近のテレビ放送は、スポーツ番組をはじめとする局外からの中継は、スタジオ番組以上に、
テレビカメラの台数や多くの機材を駆使して中継されています。
従来の4:3の標準画面のほか16:9のワイドクリアービジョンさらにハイビジョン等に対応した、
高性能な中継車が登場しています。
 そこでこの様な最新中継車の中で、より複雑な操作を要求される音声システムを、この8月に
完成した中継車に搭載した例を紹介します。

 我々が設計製作した音声システムは、8月22日に大阪毎日放送に納車されました。
(車両は、千葉のK自動車工業、映像システム及びシステムアップ等は、神奈川のS社)



毎日放送に納車された大型中継車(8月23日撮影)


TV中継車について

TVの中継車には、次の様に分類出来ます。

(A)規模による分類

大型中継車  カメラ5〜10台以上(常時搭載) スポーツ中継から番組制作等
中型中継車  カメラ3〜6台(常時搭載)       〃
小型中継車  カメラ1〜4台(常時搭載) 主にニュース等の報道用

(B)システムの違いによる分類

1 制作用中継車この車1台で、スタジオ制作と同じ機能を搭載し録画用VTRまで
搭載している。
2 報道中継車略して報中、小型で起動力を重視した設計がされている。
3 SNG中継車(SNG車)主に報道用であらゆる場所から中継できる。
4 FPU車(多段中継車)ランクルやジープを使用し山の頂上へ登ってマイクロを受
けて再びマイクロを送信する。
5 音声中継車(音中)番組制作の音声部門を担当する中継車で、特に車内はオー
ディオファンも羨むリスニングルームになっている。


 MBS音声担当の上野氏

この中継車の音声システム
の立案者です。

 

中継車システム提案から完成まで


 1996年11月20日  中継車音声システム打合

 1996年11月29日  第1回提案資料提出

 1997年 1月 7日  第1回システム詳細打合開始

 1997年 1月10日  第2回システム詳細打合

 1997年 1月10日  第3回システム詳細打合

 1997年 1月21日  第4回システム詳細打合

 1997年 1月23日  第5回システム詳細打合

 ACU (Audio Control Unit)


 ACUは、中継車の音声を一括
で制御する心臓部。

 中継車の音声の全てを制御
するACUは、タッチパネルの
採用とCPU制御で複雑な
音声回線の構築を容易に
操作出来る。

1997年 2月 4日  第6回システム詳細打合

 1997年 2月 6日  第7回システム詳細打合

 1997年 2月 7日  第8回システム詳細打合 この頃から、今回のシステムの基本が固まってきた。

 1997年 2月12日  第9回システム詳細打合

 1997年 2月14日  第10回システム詳細打合 第1回承認図作成開始

 中継車の音声システム系統図 音声の流れを示す基本設計図

 1997年 4月 4日  第11回システム詳細打合 承認図を元に細部の詰めを行う。

 1997年 4月 7日  第12回システム詳細打合 承認図修正打合

 1997年 4月14日  第13回システム詳細打合 承認図提出

 1997年 4月14日  第14回システム詳細打合 ソフト仕様打合

 1997年 4月19日  第15回システム詳細打合 外観仕上げ等の承認打合ソフト仕様打合

 1997年 4月20日  各機器製作図面作成 製造スタート タッチパネルソフト作成開始

  VU SEL/PRIV SP PANEL


 映像切替を行うスイッチャー席の正面の
監視面に音声の監視の為にVUメーターを
設けたコントロールパネル

 1997年 5月10日  ACU制御用マイコンソフト作成開始

 1997年 7月10日  ACU制御ソフトデバッグ開始

 1997年 7月23日  中継車に実装総合チェック開始

 1997年 8月 6日  完成立会検査開始

 1997年 8月15日  不具合事項手直し

 1997年 8月16日  不具合事項手直し

 1997年 8月22日  MBS千里丘放送センターに納車

 1997年 8月25日  納車時機器動作チェック

 1997年 8月26日  引き渡し、システム説明及び講習会

 インカム重畳/SP SELECT PANEL

 スイッチャーやディレクター等スタッフが
モニターする為のモニターセレクター

 連絡用のインカムにプログラムの音を
ミックスするスイッチ類を配置した操作パネル

 これらは全てACUをリモコン操作する。


  中継車の内部

 車内の両側には、映像音声の機器がぎっしり
ラックに搭載されている。


納車時に機器の最終チェックをしているところ


  AUDIO BOX

 AUDIO BOXは、中継の出先に設置し
ミキサーの出力を中継車に送り込む端末機

 中継車までは、33芯ジープケーブルにて
接続されます。(PGMラインの他インカムや映像
モニター等の複合ケーブル)

 ACUをリモコンするタッチパネルをこのAUDIO
 BOXに搭載し、RS422規格の通信回線でコン
トロール出来ます。


 中継車の内部

 機器ラックの背面は、機器間接続ケーブル
が整然と配線されています。

 車の側面扉を開けると、ラックの背面となり
メンテナンス出来る。


 映像モニター棚

 スイッチャー席の正面には、多数の
ビデオモニターが配置されている。

 


 最新システムがぎっしり詰まった
中継車内部

 中継車内で音声システムが使用出来るスペースの確保は、大変難しい。
機能が拡大するが、音声機器のためのスペースが無いのが現状でこの為、小型化が要求される。