3年理科「日なたと日かげ」の指導 1
                     〜 かげあそび 〜 

1.向山氏の言葉
 
 向山洋一氏は、理科の授業について、
@ モノを用意せよ
A 飽きるまでやらせよ 
とおっしゃる。
 それを元にした実践が「豆電球」の授業であり、「じしゃく」の授業である。
 私は、そのことをふまえ、
  身体を通して、飽きるまで活動させる
ことが大切だと考えるようになった。
 特に、中学年ではそう思う。保護者からもそう言われた。
 
 
2.3年理科「日なたと日かげ」の授業
 
 そこで、3年理科「日なたと日かげ」の第1次を次のように展開した。
 
 まず、休み時間の間に、板書しておいた。
◎ かげあそび
  かげあそびをして、気づいたこと、思ったこと、考えたこと、はてなと思ったことを書きなさい。 
 子どもたちが理科室に入ってきた。まだ、授業始まりのチャイムはなっていないが、子どもたちは自然に、ノートに書き始める。
指示1 教科書P44をあけなさい。
説明1 女の子と男の子が遊んでいます。1人女の子が座っていますね。
指示2 その下の「かげふみや」というところ、いっしょに読みましょう。さん、はい! 
 「かげふみやかげつなぎなど、かげをつかったあそびをしましょう。」と読む。
説明2 その下の男の子の吹き出し「かげふみで、かげをふまれないようにするには・・・」 「・・・」のところは、何と言ってるんでしょうね。
     それから、右の女の子の吹き出し「かげのむきは、どれも同じかな。」
    と書いてありますね。
     それから、男の子2人と女の子2人が並んでいます。陰がつながってます。 
 「トーテムポールみたいや。」という声。
説明3 そこで、黒板を見て。「かげあそびをして、気づいたこと、思ったこと、考えたこと、     はてなと思ったことを書きなさい。」 これから、運動場へ行って、かげ遊びをしま     す。あんまり時間はないんですが、戻ってきて、ノートに書きます。箇条書きにしま     す。 
 今までなら、「また、休み時間に遊んでおいて下さいね。」と言って終わっていただろう。
 「じゃあ、運動場へ行きましょう。」と言って、教師もいっしょに出た。
 
 
3.運動場での活動
 
 まずは、教師がかげ遊びを率先してやらねばならない。
 「バーーン! 踏んだ!踏んだ!」と子どもたちの影を踏んで言う。そして、「踏んで見ろ!」と逃げ回る。
 そして、さっと、日かげに入る。すると、当然のことながら、私は影を踏まれない。すると、子どもたちは、「ずるーーー!」というが、「ハッハッハ!」と笑ってすませる。
 しかし、子どもたちは、ここで発見している。「日陰の中には、影ができないこと」を。 それから、やんちゃ坊主の男の子を7人ほど集めて、「トーテムポール作ろう!」と言って、並んで遊んだりした。
 5分ほど、遊ばせて、理科室に戻した。
 
 
4.理科室で発表
 
 5分というのは、やっぱり短かった。「飽きるまで」という条件を満たしていない。だから、理科室に戻った途端、「何にも思わへんだ。」という子どもがいた。
 ノートを持って運動場に行き、「書きたいことができたら、ノートに書きに行きなさい。」という方がよかった。
 半数程度戻ったときに言った。
指示3 前に書きたい人がいたら、書いて下さい。 
 すると、4人が前に出た。
 出た意見は、次の4つだった。
 
 ・太陽の光で、自分が2人いるようでした。
 ・人間はジャンプすると少し浮くのに、影は浮かない。
 ・太陽の向きで影の場所が違う。
 ・影は太陽と反対にできる。
 
 全員の前で、1人ずつ読ませ、「これと同じのを書いた人?」とたずねていった。それぞれ1人は手を挙げた。一番多かったのは、「影は太陽と反対にできる」という意見だった。
 
 
5.太陽の位置を考えさせる
 
 そこで、
発問1 ほんとうに、影は太陽と反対の方にできますか?
と聞いた。
 すると、「できる!」「見たもん!」と返ってくる。
 
 
6.「かげしらべ」の観察
 
 教科書P45の観察の準備をした。
 観察1の内容を写させた。
 そして、教科書P45の「注意点」を全員に読ませた。
たいようを見るときは、ちょくせつ見ると目をいためるので、かならずしゃ光ばんをつかう 
 遮光板を持って、太陽の観察をさせることにした。
説明4 全員分、遮光板があります。これを使って、太陽がどこにあるか、調べに行っても     らいます。絶対に、太陽を見るときは、遮光板を使って下さいね。使わない人は、     運動場へ行かせません。
指示4 約束できる人は手を挙げなさい。
 全員が手を挙げた。
指示5 平田先生は、6年生の授業の準備に行きます。遮光板はここ(教卓)にあります      から、準備ができたグループから運動場に調べに行きなさい。
     後片づけはきちんとして下さいね。 
と言って、子どもたちに任せた。
 後ほど戻ると、ちゃんと片づけられていた。
 
 
7.ノートに書かれていた意見
 
 翌日、ノートを提出させた。だから、「かげあそび」に関するところを見た。すると、次のような意見を書いていた。
 
 ・影を踏まれても、痛くないことが気づいた。
 ・影の中に入ったら、影がなぜ消えるのかと思った。
 ・影が自分になぜくっつくんだろう。
 ・日かげに入ると影ができない。
 ・日なたにいるときだけ、影ができる。
 ・影は自分についてくる。
 ・どうして、影ができるのか。
 ・太陽の方には、影ができない。

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