「マクドナルド」は京都の街並みを見直させる

 以前、安武真理氏が「追求の鬼を育てるG」(明治図書)で、「白いマクドナルドの看板がある」ことを述べている。それをヒントに、「京都の景観と街並み」についての授業をした。対象は三年生である。
 子どもたちに「白いマクドナルドの看板」を見せた。そして、

発問1 写真を見て、わかったこと、気づいたこと、思ったことを書きなさい。
 
と問う。もちろん、箇条書きで書かせる。
 TVのCMなどで、「赤いマクドナルドの看板」を見ているはずなのに、「白い」ことに意外と気づかない。「マクドナルドがある」「いろいろなポスターが貼ってある」というのはたくさん出た。しかし、「色」には気づかない。
  10分ほど書かせた後、「赤い看板」と「白い看板」を並べて見せた。
 それでもなかなか気づかない。しばらくして「色がちがう。」ということに気づく。

発問2 この看板はどこにあると思いますか?
 
と問うた。
 ・人が少ないから田舎
 ・五条の辺り
 ・出町柳
というふうに、だんだん京都の地名が出てきた。
 そこで、「これは烏丸今出川にあります。」と正解を言う。そして、問う。

発問3 誰がこのような看板にさせたのだと思いますか?
 
 すると、初めは「お店の人」「店長さん」などが出た。しかし、しばらくして「地域ごとに色が違う」という意見が出た。
説明
 京都では、昔からの感じを残すために京都市が法律を作っているんです。そして、建物の高さとか、建物や看板の色、看板の大きさなどを決めているんです。アドバルーンの広告なら、アドバルーンの綱の長さ、数まで決まっているんです。もちろん場所によるのですが、他にもこんな看板もあります。   → 京都市の景観に関する条例
 他のマクドナルドの写真を見せた。
   ・清水寺の近く=看板がとても小さい
   ・北大路駅前=白と赤の看板が混在
   ・東山三条=茶色い看板
 子どもたちは「ほんまや。茶色い。」と見ているはずなのに、気づいていなかった自分に気づいたようだ。京都では、マクドナルドの看板はほとんどが「茶色」である。
 他にも、白が主となった看板がある。
   ・ゼネラル石油(烏丸松原)
   ・牛丼の吉野家(河原町三条)
   ・ニッポンレンタカー(烏丸仏光寺)
である。
 建物の高さでは、「駅ビル」「京セラ本社ビル」「京都ホテル」以外は、ほんとに低いものばかりである。
 このような写真資料( A3判にカラーコピーして拡大)を見せた。そして、今はどんどん新しい建物も造られてきていることを話した。そして問うた。

発問4 京都の建物で、今と昔とで一番違うことは何ですか?
 
・素材が違う。昔は木、今はコンクリート。
・今はマンションみたいなもの。
・今は高い建物。
などが出た。
 そして、松坂屋の写真を見せ、説明した。  

  400年前から続いているお店の写真です。こんな感じで、京都には独特の家の作り方があったんです。瓦屋根、虫籠窓、京格子、駒寄など、京都ならではの昔からの家にあるんです。
 ところが、それがだんだん少なくなってきていて、今では「ここは昔からのものを残していく場所です。」というふうに決めて、残していってるんです。例えば、この写真は「八坂通り」というところです。昔からのものを 残すために、電信柱もありません。
 

子どもたちは食い入るように写真を見ていた。
 そして、感想を書かせて授業を終わった。
「時代は少しずつ変わっていくけどそれで昔からのお店を壊さず残したりするのは知らなかったし、そういうお店を大切にしようと思った。昔の京都、今の京都の違いがわかって京都人としてよかった。」という感想があった。

京都市の景観に関する条例  (http://www.city.kyoto.jp/somu/bunsyo/REIIDX/CONTENTS/CONTPAGE.HTML)

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