音読の回数を増やす指導
 
1.椿原氏の自主編成書より
 
 椿原正和氏(熊本)が、自主編集書を出された。『向山型「分析批評」入門』という。
 その中に、向山型説明文指導の基本形が示されている。
 そして、その中で、

 「音読」と「内容理解」をきちんと位置づけておくべきだ
 
と述べている。
 さらに、向山氏は『国語の授業が楽しくなる』(1986 明治図書)で「十分に読ませることを説明文指導の第一にあげられている」、伴氏は「『地図が見せる世界』の指導で、8回の音読指導をされている」ということ、大森氏が「6年生で見開き2ぺ0字の教材を各自の速さで読ませて速い子どもと遅い子どもの差が20秒以内にすべきだといわれていること」を述べている。
 このことから、今回、説明文「ヤドカリとイソギンチャク」(東京書籍4年)の第1時の指導で、音読を増やす指導をやってみた。
 
 
2.基本は授業で
 
 宿題で学力の向上をさせることは難しい。授業がすべてである。だから、音読の回数も授業の中で保障していきたい。
 
 
3.指示と発問
 
 実際の授業での指示と発問、授業の流れを述べる。

指示1 先生が先生の速さで読みます。もしついてこられる人がいれば、いっし   ょに読みなさい。
 
 そして、読み始めた。
 最初、「連れ読み」だと思ったようで、あとからついて読み始めた。だから、「先生といっしょに読むんです。」と言って、もう一度やり直す。
 教師のスピードで読んだが、ほぼ全員ついてきた。
 読み終わったので、2回目にはいる。

指示2 「ヤドカリとイソギンチャク」という題名を指で押さえなさい。次に、   書き出しの「ヤドカリの仲間で」というところも指で押さえなさい。間に、   ○を10個、鉛筆で書きなさい。
 
 ○をつけたのを確認した。

発問1 形式段落という言葉を知っていますか?
 
 「知っている」という。これは、説明文を読んでいくのに必要なことなので、確認した。

指示3 2回目を読みますが、先生といっしょに読みながら、形式段落の番号を
   @、A、B・・ と打っていきなさい。
 
 そして、読み始めた。
 形式段落の初めのところにくると、バタッと教科書が机につき、鉛筆で番号が書かれていく。
 読み終わった。

指示4 今、みんなで1回読みましたので、10個の丸のうち1つを赤鉛筆で塗   りつぶしなさい。
 
 うれしそうに塗っている。

説明1 今度は、もう少し速く読みます。ついて読めれば、もう1つ○を塗って   もよろしい。
 
と言って3回目読み始める。
 ほとんどの子どもがついてくる。さすがに長い文章は途中で切れるが、何とか、次の文章の頭から、再びついていこうとしていた。
 読み終わった。

指示5 ほぼついて読めたと思う人、手を挙げなさい。もう1つ○を塗りなさい。
 
 「やったー!」と言いながら、塗っている。
 次に隣同士で読むことにする。3人のグループが1つだけできた。その他は、男女2人のペアができた。

指示6 残り10分あります。2人で、○交代で読みます。1回読めたら○を1   つ塗ります。2回読めたら2つ塗ります。できるだけたくさん塗れるよう   にがんばりなさい。では、始めなさい。
 
 指導時間は30分程度だったが、最終的に、読んだ回数の結果は次の通りだった。
 
   3回 = 9人
   4回 = 20人
   5回 = 4人
   6回 = 2人
 
 飽きずに、繰り返し音読の練習ができたと思う。

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