4年音楽「ヨット」の指導

 
 4年音楽の歌唱教材に「ヨット」(佐藤義美 作詞・湯山昭 作曲)がある。その「ヨット」の歌詞は次の通りである。
 

1.なみをけって うねりをのりこえて 
  しろいほのヨットが走る走る走る  
   うみはひろい ひろくてあおい   
   かぜのうたは ピープー      
   かもめのうたは ギイヨギイヨ    

2.かぜをうけて ななめにかたむいて 
  あかいほのヨットが走る走る走る  
   うみはひろい ひろくてあおい   
   かぜのうたは ピープー      
   かもめのうたは ギイヨギイヨ    
 
 
 まず、1回ピアノに合わせて歌った。ピアノは右手でメロディを弾き、左手は簡単な和音付けをした。
 1番のときには、なかなか歌えないが、大半の子どもは、ピアノを聞きながら、カラオケのように歌っていく。2番になると、ほぼ歌えるようになった。
 そして、問うた。

発問1 曲の感じが途中で変わります。どこで変わりますか?
 
と問うた。
 すると、
 
 ・「しろいほのヨットが」というところから
 ・「海は広い」というところから
 
という2つが出た。

指示1 和音を聞いていればわかると思いますから、聞いてみなさい。
 
と言って、右手でメロディ、左手で和音を伴奏譜のコード通りに付けた。
 伴奏譜によれば、「走る走る走る」のところまでは、「短調のコード」がついていて、「海は広い」というところから「C」という長調の和音がついている。
 そして、

発問2 もう一度聞きます。曲の感じが途中で変わるのは、どこですか?
 
と聞いた。
 すると、さすがに、全員「”海は広い”のところから」と答えた。(子どもたちの言い方は、「(楽譜の)3段目から」だった。)
 
 
 
 まず、子どもたちにたずねた

発問3 曲の感じが途中で変わります。どこで変わりますか?
 
という発問は、鑑賞曲「ノルウェー舞曲第2番イ長調(グリーグ作曲)」につながっていく。
 というのは、「ノルウェー舞曲」は、

 遅いテンポ → 速いテンポ → 遅いテンポ
 
という3つの部分からできているからである。
 鑑賞のポイントとしても、教科書に「曲の感じが途中で変わるのがわかるかな。」とネコの吹き出しがある。(下参照)
 だから、

 「ヨット」を学習してから「ノルウェー舞曲」を鑑賞する
 
という順番を守らなければいけない。
 つまり、向山型算数と同じで、

 音楽でも教科書通りに授業をする
 
ことが大切であることがわかった。
 さらに、授業でやり忘れたが、

 教科書のイラスト「©→★→©」は、「3つの部分からなり、2つ目だけが違
う感じで、1,3つ目のかたまりは、同じような音楽であることを表している
 
のに、後で気づいた。
 
 
1.歌詞を考えさせるための発問
 

1.なみをけって うねりをのりこえて 
  しろいほのヨットが走る走る走る  
   うみはひろい ひろくてあおい   
   かぜのうたは ピープー      
   かもめのうたは ギイヨギイヨ    

2.かぜをうけて ななめにかたむいて 
  あかいほのヨットが走る走る走る  
   うみはひろい ひろくてあおい   
   かぜのうたは ピープー      
   かもめのうたは ギイヨギイヨ    
 
 
 この曲は、次の2つの発問で、歌詞の意味を考えた歌唱指導ができると考えた。

発問2 ヨットのスピードは速いですか、遅いですか?
 

発問3 天気はいいでしょうか、悪いでしょうか?
 
 
 というのは、この曲は

 悪天候の中、果敢に、速いスピードで海を進むヨットの様子を歌ったもの
 
だからだ。
 
 前回、「曲の感じがどこで変わるか?」と学習した。
 次の時間、一度、1番、2番を歌った。そして、問うた。

発問4 ヨットのスピードは速いですか、遅いですか?
 
 すると、
 
 ・遅い
 ・速い
 
の両方が出た。
 しかし、歌詞の意味を考えると、
 
 ・「走る走る走る」と3回も繰り返している。
 ・「波をけって」、”けって”だから、それくらい速い。
 
という意見が出て、「ヨットは速い」とまとまった。
 続いて、

発問5 天気はいいでしょうか、悪いでしょうか?
 
と問うた。
 すると、
 
 ・天気はいい − 20人
 ・天気は悪い − 18人
 
と分かれた。
 そこで、「歌詞のどこからわかるか?」をたずねた。
 
<「いい」派>の理由
 ・「海が広くて青い」と書いてある。海が青く見えるのだから天気がいい。
 ・「かもめのうたは」とある。カモメがいるということは天気がいい。
 
<「悪い」派>の理由
 ・「うねりをのりこえて」とある。「うねり」が出るのは天気の悪いときだ。
 ・「風を受けて、斜めに傾いて」、「斜めに傾く」から、風がすごく強くて、嵐のよ  う。
 
 あと、写真が載っている。それは、好天の中、ヨットが進んでおり、帆の影もある。 だから、その写真を元に、天気がいいという子どももいた。
 とりあえず、たくさんの子どもが発表できるようにしたいので、黙って聞いていた。そして、一通り言い終わったところで、「”歌詞を元に”ですから」ということで、写真のことは考えないようにさせた。
 とりあえずその時間は、

 強い風が吹いている
 
ということだけは確認した。
 第2時は次のようにスタートした。

説明1 前回、天気がいい、悪いは別にして、「かぜが強い」ことに関しては確    認しました。
発問4 もう一度聞きます。天気はいいですか、悪いですか?
 
 すると、1時間目同様の発言が続いた。
 しかし、ある女子が「1段目は雨のような気がする。でも、3段目を見ると、晴れの気がするんです。」と発言した。
 それに同意する子どもが出てきた。
 そこで、結論へ持っていこうと思った。

指示2 2年生か3年生で習った「海」歌ってご覧なさい。
 
 
 「うみはひろいな おおきいな・・・」
 

説明2 明るい感じですね。
     ここで、どうして「ハ長調とイ短調」という勉強をするのか。
発問5 もし、「ヨット」がこうだったらどうでしょう。
 
 そう言って、「ドドレミミ・・・・」と3度上げ、長調で弾いてみた。続けて楽譜通り「ララシドド・・・」と短調で弾いてみた。

発問6 どうして、このように、短調、悲しい感じで書かれているんでしょう?
 
と聞いた。
 すると、「天気が悪いから」と出たし、子どもたちも納得していた。

指示3 最後にもう一度歌ってみましょう。
 
と言って歌わせた。
 気のせいか、哀愁が漂うような悲しい感じの歌い方になった。

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