ラムサール条約　第９回締約国会議
決議Ⅸ.１：賢明な利用概念実施のための追加手引き

「湿地と水：命を育み，暮らしを支える」
"Wetlands and water: supporting life, sustaining livelihoods"
湿地条約（ラムサール，イラン，1971）
第９回締約国会議
ウガンダ共和国カンパラ，2005年11月８−15日

決議Ⅸ.１
ラムサール条約の賢明な利用の概念を実施するための科学的・技術的な追加手引き

１．湿地の保全と賢明な利用を実施する締約国の助けとなるよう科学技術検討委員会（STRP）が提供した一連の技術的・科学的な指針その他の資料を意識し、

２．第８回締約国会議（COP8）はＳＴＲＰに対して、とりわけ（湿地）目録と評価（アセスメント）、賢明な利用、水資源管理、ラムサール条約湿地指定と管理、そして条約の履行による効果の評価の仕方などの点について、ＣＯＰ９において議論するため、さらなる助言と手引きを準備するよう指示したことに留意し、

３．ＳＴＲＰに対して、本決議の付属書である助言と手引きの準備、および締約国その他が利用可能な『ラムサール技術報告書』を作成するための技術的検討と報告について感謝し、

４．また、この助言と手引き、および技術的報告を準備したＳＴＲＰとその作業部会に対する財政的支援について、スエーデン政府とＩＵＣＮ、ＷＷＦ、「世界魚類センター」および「水研究委員会」（南アフリカ）に対して感謝し、ＳＴＲＰの作業に様々な形で多大の支援を提供した多くの機関に対して、大いなる感謝の意を表明し、

締約国会議は、

５．『湿地の賢明な利用およびその生態学的特徴を維持するための概念的な枠組み』（本決議の付属書Ａ）およびそこで改訂された「賢明な利用」と「生態学的特徴」の定義を承認し、またこれらの用語に対するこの定義が以前のすべての定義に優先することを確認する。

６．また、『国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充させるための戦略的枠組み及び指針』改訂版（本決議の付属書Ｂ）を承認し、条約事務局に対して、『ラムサール賢明な利用ハンドブック７』の新版を準備するにあたっては、ラムサール条約湿地情報票（RIS）の改訂を含めて、これらの変更を組み込むよう指示し、また締約国に対しては、新しいラムサール条約湿地を指定するにあたってＲＩＳを準備し、または既存の条約湿地に関するＲＩＳを更新するにあたっては、改訂されたこの様式に従ってラムサール事務局に情報を提供するよう強く要請する。

７．本決議の付属書Ｃ、Ｄ、Ｅとして提供される枠組み、指針および助言を歓迎し、また締約国に対して、それが適切ならば、それらを各国の条件や状況に必要に応じて適応させ、また現存の地域ごとの先進的な取組（イニシアティブ）や約束事項（コミットメント）の枠組みの中で、また持続可能な開発に関わる場面において活用するよう強く要請する。

８．締約国に対して、この枠組みと指針およびその他の助言に、すべての関係する利害関係者、特に、政府省庁、流域管理当局、ＮＧＯと市民社会が留意するよう促すことを強く要請し、さらに締約国に対して、これらの利害関係者が、その湿地の生態学的特徴の維持を通じた湿地の賢明な利用の実施に関連する意思決定と活動に当たって、ラムサール条約の『賢明な利用ハンドブック第２版』のツールキットに含まれるものと併せ、これらの指針を組み入れることを奨励するよう強く要請する。

９．条約事務局に対して、ラムサール『賢明な利用ハンドブック』のツールキットの修正と更新等を通して、本決議の付属書である枠組みと指針を広く普及させるよう指示する。

本決議の付属書一覧

本決議の付属書一覧

付属書	文書表題
付属書Ａ	湿地の賢明な利用及びその生態学的特徴を維持するための概念的枠組み
付属書Ｂ	「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」の改正
付属書Ｃ	ラムサール条約の水関連の手引きの統合的枠組み
	ⅰ）河川流域管理：追加手引き及びケーススタディー分析のための枠組み
	ⅱ）湿地の生態学的特徴を維持するための地下水管理に関するガイドライン
付属書Ｄ	ラムサール条約の履行効果を評価する“成果指向”の生態学的指標
付属書Ｅ	湿地目録、評価及びモニタリングの統合的枠組み（IF-WIAM）
	ⅰ）内陸及び沿岸海洋域湿地における生物多様性の迅速評価のためのガイドライン