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「湿地と水:命を育み,暮らしを支える」
"Wetlands and water: supporting life, sustaining livelihoods"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第9回締約国会議
ウガンダ共和国カンパラ,2005年11月8−15日
1.国連『世界水(資源)開発報告書 World Water Development Report』が誤った水管理によって水危機が悪化しつつあることを明らかにしたことを確認し、また地球規模での気候変動と可変性がこの水危機をさらに悪化させる可能性を認識し、
2.国連ミレニアム宣言ならびに2002年の「持続可能な発展に関する世界サミット(WSSD)」において各国政府が示した、安全な飲料水が手に入らない人々及び基本的な衛生設備が利用できない人々の割合を2015年までに半減し、総合的な水資源管理及び水効率計画を2005年までに策定し、生物多様性の損失速度を2010年までに現在よりも大幅に減少させるという公約を想起し、
3.さらに、水と食糧供給のための水資源の保護、浄化、保持、供給に対して湿地が果たす重大な貢献や、人々の福利や暮らしが依存する地下水涵養ならびに洪水調節に湿地が果たす重要な役割も確認し、2005年4月の「持続可能な開発委員会」第13回会合(CSD13)において採択された決定が、同様の主題を強調したことを意識し、
4.また、水と公衆衛生の問題に関してはフォローアップとして、2008年および2012年に開催されるCSD検討会議での個別の問題として、水と公衆衛生ならびにそれらの相互関連性に関するCSD13の決定の実施状況に関するモニタリングと事後点検とを扱うというCSD13の決定を重ねて確認し、
5.「地球水パートナーシップ」ならびに統合的水管理に関してそれが提供する一連のツールと技術的手引きを意識し、
6.食糧生産と生態系が適正に機能するために水資源のバランスを図る統合的取組実施に関する国連食糧農業機関(FAO)及びオランダ政府共催国際会議「食糧と生態系のための水−実現に向けて Water for Food and Ecosystems - Make it Happen」(2005年1月)の成果が、そのような取組に必要な要素として、水生態系の恩恵/サービスに関する科学的基礎知識、それらを可能ならしめる環境条件、そして評価手法を強調したことを歓迎し、
7.地球上のすべての生態系が合わせ持つ価値のうちの約半分を湿地が占めるが、湿地生態系は他のどの生態系よりも早い速度で劣化しているとした、「ミレニアム生態系評価(MA)」の結果報告、そして湿地や関連生態系の存続ならびにそれらの地球規模での発展への重要な貢献を維持できるかどうかは、生態系の恩恵/サービスの人類の必要性と、湿地生態系の機能維持の必要性の均衡を達成できるかどうかに係っているとしたミレニアム生態系評価の結論を意識し、
8.湿地生態系が水管理に決定的な役割を果たしていることを認識し、
9.決議Ⅸ.9ならびにⅨ.14に反映されているように、貧困の削減および自然災害に対する備え、災害による影響緩和(ミティゲーション)ならびに災害に対する適応に関する湿地の重大な役割を認識し、
10.国境をまたぐ水資源や条約湿地の管理ならびにそれら湿地に依存する移動性の種や個体群の管理における、ラムサール条約の地域協力の可能性と限界に対する、条約各地域すべてにおけるCOP9準備会合の分析を想起し、
11.すべての部門の参加を得て湿地の賢明な利用を達成しようと先進的な取組(イニシアチブ)を行っている、地球規模でラムサール条約と連携する国際NGOが条約の大きな推進力となっていることを認識し、
12.そしてまた、マラケシュ、ハーグ、京都と3回の「世界水フォーラム」が地球規模、地域の水に関する議論や会合に貢献したことを認識し、同じく第4回水フォーラムが2006年3月にメキシコで開催される予定であることを喜び、
締約国会議は、
13.人々と自然に水を提供するためには湿地の保全と賢明な利用が決定的であること、ならびに湿地が一連の生態系の恩恵/サービスを供給することに加えて水の供給源でもありかつ利用者でもあることを確認する。
14.さらに、水管理の優先事項には、湿地の生態学的特徴の維持と同様に,水資源の保護と維持という目標も反映されるべきであることも確認する。
15.締約国に対して、国、地域、地方の水管理当局が決議Ⅵ.23、Ⅶ.18、Ⅷ.1およびCOP9の決議Ⅸ.1付属書Cとその付属文書、そして「湿地の生態学的機能を維持するための水の配分と管理に関するガイドライン」(ラムサールハンドブック第12巻)について配慮し、「統合的国家水資源管理計画」にこれら指針を統合させ、また同計画を通じてこれら指針を分野横断的に実施することにより、ラムサール条約に合致するエコシステムアプローチを組み込むよう求める。
16.地方、地域、国レベルで、水の保全、分配、利用ならびに管理に関する意思決定に際して、社会のすべての部門に情報を提供し意味のある参加を企画するよう政府は約束すべきであるという原則を支持する。
17.政府及び全レベルの機関に対して、水に関連するプロジェクトや貧困の削減に係る戦略文書、ならびに沿岸域計画策定の設計、計画策定及び実施において、湿地とその機能の維持を確実なものとする要請を繰り返す。
18.水資源の賢明な管理のため、湿地保全問題に関する条約締約国間の協力に、一層の焦点をあてた検討の必要性を確認する。
19.条約事務局に対して、「第4回世界水フォーラム」(メキシコ,2006年)事務局ならびに地球規模、地域規模で将来的に水に関連する他の先進的取組(イニシアチブ)と協力し、湿地の生態系機能を維持しつつ水資源を効果的に管理するための重要要素として湿地生態系の恩恵/サービスの重要性を、会議の成果物の中で確実に認識されるようにすることを要請する。
20.条約事務局に対して、締約国とともに、「統合的水資源管理」に関するCSD13における決定のうち関連しかつ重要な要素を促進し実施すること、特に、人類の福祉と経済活動に必須の資源と恩恵/サービスを提供する生態系の持続可能性を高め、その保護のための資金調達に革新的手段を策定すること、生態系の決定的役割を考慮に入れつつ、水流を調節し水質を改善するために集水域を保護し回復すること、ならびに、すべての部門、特に農業部門において、より効果的な水需要及び水資源管理を支援すること等を促進し実施するよう指示する。さらに、2008年のCSD報告会合に、常設委員会が条約事務局長を通じてラムサール条約からのインプットを提供できるように、条約事務局が第34回常設委員会においてこれらの課題を促進するための条約の行動計画を報告するよう指示する。
21.さらに、これらの課題を促進するための条約の活動に関してCOP10での報告を準備するよう条約事務局に指示する。
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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop9/res_ix_03_j.htm
Last update: 2008/06/01, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).