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ラムサール条約 第7回締約国会議

決議.23 登録湿地の境界変更と補償

日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


「人と湿地:命のつながり」
"People and Wetlands: The Vital Link"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第7回締約国会議
1999年5月1018日 コスタリカ サンホセ

ラムサール登録湿地の境界変更と湿地生息環境の補償に関する問題

1.ラムサール条約第2条1が、「国際的に重要な湿地のリスト」への登録指定湿地についてはその境界を正確に記述し地図上に表示することを締約国に義務づけていることを意識し、このリストに登録された湿地の中には、ラムサール条約の下に基準や情報記録システムが定められる前に指定されたものがあることを認めた決議5.3を想起し、

2.さらに、いずれの締約国も、 既にリストに掲げられている湿地の区域を緊急の国家的利益のために削除、若しくは縮小する権利を有するものとし と述べるラムサール条約第2条5、及び締約国は、リストに掲げられている湿地の区域を緊急の国家的利益のために削除、若しくは縮小する場合には、できる限り湿地資源の喪失を補うべきであり、そして特に水鳥の保護と失われる生息地に相当する別の地域を保全するために、同一の又は他の地域に新たな自然保護区を創設すべきであると述べるラムサール条約第4条2を想起し、

3.締約国には登録湿地の削除や境界の縮小を奨励する意図はなく、締約国がその権利を行使する前に、すべての利害関係者と協議しつつ厳格で正直な評価を通じて実行可能な代替措置すべてを検討することが望ましいと意識し、

4.正当で国際的に受容可能な、緊急の国家的利益の実現のためにラムサール登録湿地の削除または境界の縮小を考慮している締約国を支援するための手引き、そしてその後、補償としての適切な生息地の登録について、ラムサール条約第4条2の義務をどのように果たすかを示す手引きを、ラムサール条約がまだ提供していないことに留意し、

5.締約国の中には、緊急の国家的利益の判断、生息地の補償、ミティゲーション 訳注 などの方面に広範な例となる法を有する国があることを認識し、

6.また、技術が進歩して、従来に比べ湿地の境界を細かく識別する技術が高まったこと、またラムサール登録湿地の生態学的特徴をより理解し易くする、登録湿地についての入手可能なデータが質・量ともに継続的に向上していることに留意し、

7.失われた湿地の生息地やその他の機能を補う必要について述べた、決議.24に留意し、

締約国会議は、

8.ラムサール条約の第2条5に述べられる緊急の国家的利益の規定とは別に、ラムサール登録湿地の境界についてさらに定義が必要となる状況、例えば登録時の境界の定義が誤っていた、または不正確であった場合などがあることを認識する。

9.常設委員会に対し、緊急の国家的利益以外の理由でラムサール登録湿地の境界を見直すための手続きを、他の国際的な義務を損なうことのないよう作成し第8回締約国会議に提案するよう求める。

10.オーストラリアが、緊急の国家的利益以外の状況でラムサール登録湿地の境界を改訂するための、より一般的なアプローチの形成を目的としたケーススタディー2件(決議.12で述べたとおり)を作成し、そのケーススタディーの成果を第8回締約国会議での検討に間に合うよう提供する予定であることを認識する。

11.常設委員会に対し、資金・人材等の面で可能であれば、ラムサール条約事務局からの支援を得て、また科学技術検討委員会、欧州連合の生息地指令に詳しい専門家、適切な法律その他の専門家、関心のある締約国との協議の下で、第8回締約国会議での検討と採択に備えて、締約国のためにラムサール条約第2条5及び第4条2の解釈に必要な手引きを作成するよう求める。

12.第8回締約国会議の前に、緊急の国家的利益のためにラムサール登録湿地の削除または境界の縮小を考慮するいずれの締約国に対しても、湿地がもたらすあらゆる機能、役割、利益を考慮に入れた、環境面、経済面、社会面の最高レベルの影響評価を実施するよう求める。

13.緊急の国家的利益またはこれに類似する判断の問題、及び生息地の補償やミティゲーション問題の経験を有する締約国または機関に対し、常設委員会が検討できるよう、関連する情報や資料をすべて1999年9月30日までにラムサール条約事務局へ提供するよう要請する。


訳注 影響緩和


「記録」表紙

[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Resolution VII.23 "Issues concerning the boundary definitions of Ramsar sites and compensation of wetland habitats", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/res/key_res_vii.23e.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]


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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop7/key_res_vii.23j.htm
Last update: 2006/09/27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).