Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第7回締約国会議

ラムサール条約 基本文書

ラムサール条約20002002年作業計画

日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


「人と湿地:命のつながり」
"People and Wetlands: The Vital Link"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第7回締約国会議
1999年5月1018日 コスタリカ サンホセ

ラムサール条約20002002年作業計画

決議Ⅶ.27において採択]


総合目標1.
条約の加盟国を世界中に広げる。

実施目標1.1:2002年までに少なくとも120か国の締約国を確保するよう努力する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動1.1.1.特に締約国の少ない地域の国々や、重要な湿地資源及び二つ以上の国にまたがる湿地資源(共有される種を含む)、またはそのいずれかを持つ国々に、条約への加盟を募る。[締約国、常設委員会地域代表、条約事務局、国際団体パートナー]
  • COP7 訳注1 現在、締約国は115か国になっている。これはCOP6の時点よりも以下の23か国(締約国になった順に記載)が増えたからである。コンゴ共和国、コートジュボワール、ガンビア、イスラエル、マラウィ、ボツワナ、バハマ、ジョージア、韓国、ニカラグア、モナコ、ジャマイカ、バーレーン、モンゴル、シリア、ルクセンブルグ、ベリーズ、タイ、コンゴ、コロンビア、マダガスカル、エルサルバドル、レバノン。
  • アフリカ、中央アジア、中近東、小島嶼開発途上国ではまだ不足がみられる。小島嶼開発途上国については勧告7.2を参照。
  • 目標 - COP8までに締約国を150か国にすること。
行動1.1.2.地域会合とその活動、そして国際団体パートナーの地域事務所を通し、条約への加盟を促進する。[常設委員会地域代表、条約事務局、国際団体パートナー]
  • COP6以降、締約国数が大きく増えたのは、多くの国々、条約事務局、国際団体パートナーによる、条約加盟促進への取組の成果でもある。
  • これらの取組は今後も継続され、上記の優先地域及び小島嶼開発途上国を中心に展開されることになる。

総合目標2.
条約の賢明な利用ガイドラインを実施し、さらに発展させることによって、湿地の賢明な利用を達成する。

実施目標2.1:賢明な利用ガイドラインが確実に適用されるように、すべての締約国において、国レベル、あるいは超国家レベル(例:欧州共同体)の法制度、機構、方法を見直し、必要であれば修正する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.1.1.法制度と実施状況の見直しを行い、COPへの国別報告書で賢明な利用ガイドラインがどのように適用されているかを示す。[締約国]
  • COP7への国別報告書の中では、全世界で45か国の締約国が法制度の見直しを実施し、その中の36か国が適切な改正や修正を加えたと報告している。これらの見直しがどの程度効果的に湿地に適用されたか、また条約の目標達成を促進したかについてはまだ明確にはなっていない。
  • これは次の3年間に実施する優先事項の一つである。これらの取組においては、「法制度の見直しに関するガイドライン」(決議.7)が参考となる。
  • 目標 - 少なくとも100か国の締約国がCOP8までに湿地に関連した自国の法律と制度を包括的に見直すこと。
行動2.1.2.国家環境行動計画や国家生物多様性戦略、国家自然保護戦略といった他の国家的な保全計画策定の明確な構成要素の一つとして、または独立した政策として、国家湿地政策を策定するよう、いっそうの努力を促す。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 22か国の締約国が適切な国家湿地政策戦略計画または行動計画を策定したことを、さらに31か国が策定中であることを表明した。さらに24か国が、そのような手段が近い将来計画されていることを報告している。これに関するさらに詳細な分析は決議.6の付属書にある。91か国の締約国が、湿地は国の他の各種環境計画において考慮されていると述べているが、それに水管理計画や政策が含まれていると答えたのは27か国だけだった。
  • 湿地保全とその賢明な利用がより広い国家環境及び水政策に統合されること同様、国家湿地政策の策定と施行は、今後も条約におけるもっとも優先順位の高い行動の一つであり続ける。「国家湿地政策の策定と実施のためのガイドライン」(決議.6)がこれらの取組の参考となる。
  • 目標 - COP8までに少なくとも100か国の締約国が国家湿地政策を、あるいは適切な場合は、すべての湿地関連政策戦略と計画を整合させることを承認した文書を有すること。そしてすべての締約国が、国の環境及び水政策や計画に湿地への配慮を組み込んでいること。「河川流域管理に湿地の保全と賢明な利用を組み込むためのガイドライン」(決議.18)がこれらの取組の参考となる。

実施目標2.2:すべての締約国において、土地利用や地下水管理、集水域・河川流域や沿岸域の計画策定、その他すべての環境計画策定や管理に関する、国、都道府県、地方の計画策定と政策決定に、湿地の保全そして賢明な利用を統合する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.2.1.湿地、その中でも特に集水域と沿岸域の利用計画策定の情報を収集し、締約国が利用できるようにする。[条約事務局]
  • この行動への対応の一つが、「河川流域管理に湿地の保全と賢明な利用を組み込むためのガイドライン」(決議.18)である。
  • 目標 - 次の3年間で、沿岸域の利用計画策定及び管理に湿地を統合するためのガイドラインを、COP8での検討のために、開発すること。
行動2.2.2.国家、都道府県、地方の土地利用計画策定に関わる文書や活動において、またすべての関連部門及び予算配分に関する条項に、湿地を含めることを促す。[締約国]
  • 74か国の締約国が、土地/水及び沿岸域の利用計画策定及び管理を統合するプロセスにおいて、湿地も考慮するための取組を実施していると報告している。どの程度この種の統合的手法が効果を上げているかはまだはっきりとは明らかにされていない。連邦制の14か国の締約国において、湿地政策/戦略が地方レベルにおいても策定されていることは喜ばしいことである。
  • 広域の景観及び河川流域/沿岸域の利用計画において、統合された部門横断的アプローチの湿地管理を達成することも、次の3年間における最優先事項の一つである。
  • 目標 - COP8までに、すべての締約国が河川流域及び沿岸域の統合要素として湿地管理を考えることを促進し、積極的に実施し、さらに、これらの行動からどのような成果があがったかについての詳細な情報をCOP8のための国別報告書に記すこと。

実施目標2.3:賢明な利用に関するガイドラインと追加手引きの適用を拡大し、これまで扱われなかった具体的問題に関しても締約国へ助言をし、現在行われている最良の実施例を提供する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.3.1.賢明な利用の追加手引きの適用を、他の機関と協力して、油流出防止や除去作業、農業による水質汚染、都市廃棄物や産業廃棄物といった特定の問題にまで拡大する。[締約国、科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • COP7のプログラムは、一連の優先問題にこの種の手引きを提供するよう計画された。そのプログラムでは、侵入種の湿地への影響の見直しが含まれ、条約が遂行すべき一連の行動への勧告がなされていた(決議.14)。
  • 目標 - COP7の後、条約事務局は他の適切な協力者と共に、COP7の分科会の成果に基づいて、賢明な利用ハンドブック・シリーズを制作すること。
行動2.3.2.既存のガイドラインと追加手引きが効果的に適用された例を公表する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 40か国の締約国が賢明な利用の実施に関するいくつかの側面についての出版物を制作したと報告している。1998年の「世界湿地の日」に始まった条約ホームページの「賢明な利用資料センター」に掲載するために、条約事務局にそれらの出版物の一部しか提供されなかったことは残念であった。
  • この種の資料を入手できるようにすることを促し、改善することは、「ラムサール条約普及啓発プログラム」(決議.9)における優先事項の一つである。
  • 目標 - COP8までに、締約国やその他の機関から条約事務局に提供された文献や出版物の中から適切なものを500種類、賢明な利用資料センターに載せること。

実施目標2.4:環境計画策定のために、湿地の恩恵と機能に関する経済評価を提供する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.4.1.湿地の恩恵と機能の経済評価を示す文書と方法論を開発し、広い範囲への普及と適用を促進する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • COP7に提出した国別報告書に、自然資源計画策定及び湿地に関する評価に経済評価手法を取り入れるための何らかの行動をとったと記載した締約国は34か国しかなかった。
  • この活動のためのガイドライン(下記参照)が完成すれば、今後3年間の優先順位の高い分野となる。
  • 目標 - COP8までに、すべての締約国は湿地のサービス、機能、恩恵の経済評価を、影響評価と湿地に関する意思決定プロセスに組み込むこと。
行動2.4.2.IUCNや他の協力機関の支援を受けて、COP6で発表された湿地の経済評価に関する情報を出版する。[条約事務局、国際団体パートナー]
  • これは1997年に「湿地の経済評価」という書籍を出版して達成した。
行動2.4.3.行動2.4.2に基づいて出版される経済評価に関する知見を実施するような具体的活動を始める。[締約国]
  • 上記2.4.1を参照のこと。また、条約事務局は、IUCNと共に、スイス政府の財政支援を受けて、南アフリカ開発共同体(SADC)に属す国々において湿地の経済評価を実施するプロジェクトに着手した。
行動2.4.4.湿地の経済評価の分野で推奨しうる具体的な実践例の内容と実施状況を、COP7(1999年)の分科会で検討する。[科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • COP7の分科会で検討する優先テーマについての調査を実施したところ、これは締約国から十分な支持を受けることができなかったために、COP8まで延期されることになった。COP7では、経済評価の問題は奨励措置(決議.15)と影響評価(決議.16)に関する議論の一部で扱われた。

実施目標2.5:湿地に特に影響を及ぼす可能性のある開発案件や土地利用・水資源利用の変更に関して、また特に登録湿地でその生態学的特徴が技術の発達、汚染その他の人為的干渉の結果、変化するおそれがある(ラムサール条約第3条2)ものについては、環境影響評価を実施する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.5.1.COP7(1999年)の分科会に向け、「環境影響評価のためのガイドライン」の検討結果と、現在行われている環境影響評価の最良の実践例を準備し、賢明な利用の追加手引きの内容を拡大する。[常設委員会、科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • これらの問題はCOP7の分科会の「ラムサール条約と影響評価:戦略、環境、社会影響評価」というペーパーの中で検討されていた。決議.16を参照。
  • 目標 - 今後3年間で、この分野の新たな手引きを、生物多様性条約、ボン条約、IUCN、国際影響評価学会との協力で作り上げること。
行動2.5.2.湿地に影響を及ぼす可能性を持つ開発案件や、土地利用・水資源利用変更の結果、生態学的特徴に変化が起こる恐れのある登録湿地では、(湿地の恩恵と機能の経済評価を十分に考慮しながら)確実に環境影響評価を実施するようにし、またその結果をラムサール条約事務局に通知し、関係当局がその結果を十分に考慮するように図る。[締約国]
  • COP7に、生態学的特徴に変化がある、あるいは近い将来変化する恐れがあるとして、35か国の締約国が115の登録湿地を挙げた。国内のすべて、あるいはいくつかの登録湿地に変化があったと報告した締約国は2か国であった(決議.12を参照)。詳細を提供した締約国もあったが、すべてのケースで環境影響評価が実施されたかどうかを知ることは不可能である。
  • 目標 - 今後3年間で、締約国はこのような状況においては必ず環境影響評価を実施し、条約事務局に問題と環境影響評価の結果を報告すること。
行動2.5.3.開発案件や土地利用・水資源利用の変更のために、特に湿地資源への悪影響が起こる恐れのあるその他の重要な地域においても、環境影響評価を実施する。[締約国]
  • 92か国の締約国が、湿地に影響を与えかねない行動については環境影響評価を実施することが法律で定められていると知らせている。これが、最高水準の環境影響評価が適用され、湿地の全機能と全便益が適切に考慮されているということを示唆しているであれば、条約にとっては喜ばしい大きな進展である。
  • 目標 - COP8までに、すべての締約国は湿地に影響を及ぼす可能性のあるあらゆる行動に対し、環境影響評価の実施を法的に義務づけ、この件に関してどのような進展があったかをCOP8の国別報告書で詳細な報告を行うこと。
行動2.5.4.開発案件あるいは土地利用・水資源利用の変更による影響を評価する時には、(都道府県や地方レベル、並びに集水域あるいは沿岸域のレベルでの)「統合的環境管理」や「戦略的環境影響評価」を考慮する。[締約国]
  • 上記2.5.1と2.5.3を参照のこと。

実施目標2.6:復元や機能回復の必要がある湿地を特定し、必要な対策を実施する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.6.1.復元あるいは機能回復の必要がある湿地を特定するため、地域あるいは国の科学的な湿地目録(勧告4.6)を用いるか、モニタリングを実施する。[締約国、国際団体パートナー]
  • COP7では分科会(決議.17)で復元及び機能回復に関して検討された。これで、復元あるいは機能回復が必要な湿地の目録を作成しているのはほんの一握りの締約国だけであることがわかった。
  • このような目録の完成は条約にとって今後も優先分野であり続ける。
  • 目標 - 復元機能回復の目録がCOP8までに少なくとも50か国の締約国で作られること。
行動2.6.2.失われた湿地または機能が劣化した湿地を、復元そして機能回復するための方法論を提供し実施する。[締約国、科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • このテーマに関してはかなりの情報があるが、希望に応じて利用できるようにはなっていない。
  • 目標 - 今後3年間の優先事項としては、条約の賢明な利用資料センター(上記2.3.2参照)に適切なケーススタディや方法論に関する情報を加えること。
行動2.6.3.破壊された湿地または機能が劣化した湿地、特に主要な河川系または高い自然保護上の価値を有する地域(モントルー会議の勧告4.1)において、湿地の復元・機能回復プログラムを確立する。[締約国]
  • 76か国の締約国が国別報告書の中で、湿地の復元あるいは機能回復を実施したと報告している。しかし現段階では多くの国で、その規模も小さく、あるいは試験的なものだったようだ。しかしいくつかの大きなプロジェクトも実施されている。
  • 条約は、水路や沿岸環境の「健全性」と生産性を促進あるいは維持することにつながるような、湿地の復元と機能回復を今後も促進していく。
  • 目標 - COP8までに、優先的に復元あるいは機能回復する必要のある湿地を、すべての締約国が特定し、少なくとも100か国でプロジェクトが実施されること。
行動2.6.4.COP7(1999年)で湿地の復元と機能回復に関する分科会を催し、都道府県や地方レベルそして集水域レベルにおける最良の実践例10例を特定する。[科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記2.6.1と2.6.2を参照。
  • さらに、「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」(決議.8)など、COP7のために実施された他のプロジェクトから多くのケーススタディが集められた。その中には、復元あるいは機能回復の事例が含まれており、この会議の後で出版されることになっている。

実施目標2.7:湿地の保全と賢明な利用において、先住民を含んだ地域社会の情報提供を受けた上での積極的な参加、特に女性の参加を奨励する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.7.1.湿地の管理に地域住民そして先住民の参加を得るという、勧告6.3を実施する。[締約国、条約事務局]
  • 72か国の締約国が国別報告書の中で、先住民や特に女性を含む地域社会が、湿地の管理と賢明な利用に積極的に、情報を与えられて参加することを奨励するための行動がとられたと報告している。多くの国で、湿地のある地域の利害関係者が地元の湿地資源を持続可能に利用するための責任を果たそうとしていることが、国別報告書からはっきりとわかる。
  • COP7の分科会では、「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」(決議.8)が検討された。IUCNの指導を得て、多くのNGOによって実施されたこのプロジェクトは勧告6.3への対応であった。
  • 目標 - 今後の3年間は、上記ガイドラインの実施が条約の最優先事項の一つとなる。COP8までにはすべての締約国が、地元の利害関係者による湿地管理を促していること。
行動2.7.2.湿地の生態学的特徴をモニターするため、湿地の管理者そして地域住民がすべてのレベルで協力して仕事を進めることを奨励する。こうすることで、管理ニーズや湿地に対する人間の影響への理解が深まる。[締約国]
  • これは国別報告書の中で具体的に挙がっていた質問ではないため、これが実際にどの程度起こっているのかを明確に知ることはできない。
  • 「ラムサール条約普及啓発プログラム」(決議.9)はこのような地域社会の参加を、条約の教育及び能力向上のための道具として、優先順位の高い事項とすることを求めている。
行動2.7.3.特に登録湿地において、湿地管理委員会を設立し、湿地管理に地域社会の参画を求める。委員会には、地域の利害関係者や土地所有者、管理者、デベロッパーそしてその他の利益団体、特に女性グループの代表者を入れる。[締約国、国際団体パートナー]
  • COP7の国別報告書の様式の中の補足項目では、条約に関連した仕事の様々な側面におけるNGOの関わりについての助言を求めている。63か国の締約国が登録湿地の管理委員会にNGOが参加しているかどうかの質問に答え、その中の37か国が参加していると答えている。この種の委員会への地域社会のより一般的な人々の参画がどの程度あるのかに関する明確な状況を国別報告書から知ることはできなかった。
  • 目標 - 少なくとも100か国の締約国で登録湿地管理委員会が活動し、そこにNGOの代表が参加していること。
行動2.7.4.湿地の保全と賢明な利用について、先住民や地域社会が持つ伝統的な知見そして管理のやり方を認識し、適用する。[締約国]
  • 上記2.7.1参照。
  • また、伝統的知見及び管理方法に関連したこれらの問題はこれまで条約では十分に検討されてこなかった。この件は1998年の汎アフリカ地域会議で、ラムサール条約で考慮される優先事項とするよう指摘されたものである。
  • 目標 - これは今後の3年間で取り組んでいく。可能であれば、この分野での取組をすでに始めている生物多様性条約及び砂漠化防止条約とのパートナーシップで取り組んでいくこと。

実施目標2.8:湿地の保全と賢明な利用への民間企業の参画を奨励する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動2.8.1.民間企業が湿地に影響を与える事業を展開する際に、湿地の属性や機能そして価値をより深く認識することを促す。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 47か国の締約国が、湿地の保全と賢明な利用への民間企業の参画を奨励するための行動を起こしたと報告している。国別報告書には民間企業とのパートナーシップに関する様々な状況やケースの記載がある。これは明らかに条約の中でも、今後さらに促進されていくことの必要な分野である。
  • この3年間に、条約事務所は革新的な「エビアン・プロジェクト」に、多国籍企業であるダノングループとフランスの複数の政府部局とのパートナーシップで着手した。これは研修及び広報に関するプロジェクトを財政的に支援するものである。
  • 目標 - 今後3年間で、民間企業とのパートナーシップで行う取組をさらに段階的に拡大していく。また、条約事務所は効果的で革新的なアプローチをとったいくつかについては文書にし、ケーススタディとして人々が入手できるようにする。COP8までに100か国以上の締約国で湿地保全に民間企業の支援を得るようにすること。
行動2.8.2.民間企業が湿地に影響を与える開発事業を展開する際に、賢明な利用ガイドラインを適用するように奨励する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • この行動の一つの側面には奨励措置の活用がある。奨励措置を見直し、効果的なものは導入し、反対に、逆効果をもたらすものは廃止したことを、国別報告書で報告していた国は13か国にすぎなかった。
  • COP7では、湿地のための奨励措置は分科会(決議.15)で検討された。
  • 目標 - 今後3年間で、賢明な利用を促進する上で、奨励措置を活用することを本条約の下での優先事項の一つとする。COP8までの目標は、50か国以上の国が自国の奨励措置についての見直しを完了させていることである。
行動2.8.3.民間企業に湿地管理者とパートナーシップを結び、湿地の生態学的特徴をモニタリングするよう奨励する。[締約国]
  • 国別報告書には、財政的支援を提供するというものを除いては、このような事例を示すものはなかった。
  • この行動は今後の3年間でさらに促進される。
行動2.8.4.湿地管理委員会への参加を通じ、湿地管理に民間企業を参画させる。[締約国]
  • COP7の国別報告書では、このような参画が起こっていることを確認することはできなかった。
  • 目標 - 上記2.7.2と2.7.3に記載されているように、部門横断的な利害関係者による湿地、特にラムサール登録湿地のための管理委員会が設立されることを今後3年間の優先事項の一つとする。

総合目標3.
世界中のすべてのレベルで、湿地の価値と機能に関する認識を高める。

実施目標3.1:協力機関や他の機関と協力し、各国の教育及び普及啓発プログラムを促進するために企画された、湿地及びその機能と価値に関する国際的な「教育・普及啓発」プログラムの実施を支持し支援する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動3.1.1.地球規模の協調で、湿地の「教育・普及啓発」プログラムを開発し、実施するための調整の仕組みと機構を特定し、設立することを支援する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 「ラムサール条約普及啓発プログラム」がこの行動への対応である(決議.9)。
  • 目標 - COP8までに、湿地広報教育普及啓発のために、各締約国のラムサール担当窓口のグローバルネットワーク構想を実現し、それが地球規模の「普及啓発プログラム」の促進と実行に向けて効果的に機能していること。「普及啓発プログラム」の実施に必要な能力を条約事務局に付与するための資源を確保すること。
行動3.1.2.地域の教育・普及啓発活動のニーズの特定と、実現のための資源を開発するための優先事項の確認に参加する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記3.1.1を参照。
行動3.1.3.各国の教育・普及啓発プログラムを支援するための国際的な参考資料の開発を支援する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記3.1.1を参照。
行動3.1.4.湿地教育センターや教育者の間で、情報、知識、技術の交換を促進する国際的プログラムを支援する。例えば、国際湿地保全連合の教育普及啓発作業部会(EPA Working Group)、地球河川環境教育ネットワーク、湿地リンクインターナショナルなどである。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記3.1.1を参照。
  • これらのプログラムは他のものも含め、1998年9月に開催されたワークショップで紹介され、普及啓発プログラムの開発に役立った。
行動3.1.6.COP7と併せて、湿地に関する国際的な教育・普及啓発活動の見直しを行う。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記3.1.1を参照。

実施目標3.2:主要政策決定者や湿地の中や周囲に住む人々、湿地を利用するその他の人々、そして広く一般の人といった広範囲の人々を対象として、湿地に関する教育・普及啓発の国内プログラムを開発し、促進させる。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動3.2.1.政府機関やNGO、そして国内向けの教育・普及啓発プログラムを開発できるようなその他の機関とのパートナーシップを奨励する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 「ラムサール条約普及啓発プログラム」はこのようなパートナーシップをさらに奨励するものである(決議.9)。
  • 目標 - COP8までに、湿地広報教育普及啓発のために、締約国政府と非政府組織それぞれのラムサール担当窓口のグローバルネットワーク構想を実現し、すべての締約国において国の普及啓発プログラムの促進と実行に効果的に機能すること。「普及啓発プログラム」を実施するための条約事務局の能力強化のために資源を確保すること。
行動3.2.2.特定されたニーズや対象とするグループに基づいて、湿地を肯定的に捉えるようなビジョンを創り出し、湿地の価値と機能に対する関心をすべてのレベルで喚起するための、国内事業やキャンペーンを支援する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記3.2.1参照。
  • 62か国の締約国が政府主導の教育・普及啓発プログラムを持っていると報告しており、66か国がそのような活動を実施しているNGOが国内にあることを報告している。
  • 目標 - 上記3.2.1を参照。
行動3.2.3.湿地の現場に教育センターを設置するよう奨励する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 湿地教育センターと湿地リンクインターナショナルの新たな取組が「普及啓発プログラム」の中枢部分である。
  • 目標 - COP8までに、条約の原則を推進するために、150か所以上の活発な教育センター(及び類似の場所−下記3.2.4を参照)を設置し、すべての締約国に少なくとも一つのセンターが設置されているようにすること。
行動3.2.4.博物館、動物園、植物園、水族館、そして環境教育センターとともに、学校教育外で湿地についての教育・普及啓発を支えるような展示やプログラムの開発を奨励する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 博物館、動物園なども「普及啓発プログラム」の重要な要素であり、条約の活動を促進するためにこれらの組織を奨励する取組が実施される。
  • 目標 - 上記3.2.3参照。
行動3.2.5.高等教育そして専門的な研修コースを含め、教育のすべてのレベルの教育課程に湿地に関連した単元を組み込むよう奨励する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 43か国の締約国が、教育施設での教育課程に湿地に関する配慮が盛り込まれるような措置をとったと報告している。
  • 目標 - COP8までに100か国を超える締約国で湿地問題が教育課程に組み込まれているようになること。

実施目標3.3:ラムサール条約事務局の広報活動を改善する。また、条約とその広範な適用を一段と促進すること及び湿地の価値と機能に対する意識を高めることのできる「条約広報戦略」を策定する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動3.3.1.条約事務局の広報活動、特に地域そして国内広報ネットワークの創出とその機能に関する活動を見直し、新しい資料と技術の利用を開発し、既存の資料を改訂する。[条約事務局]
  • 「普及啓発プログラム」はこの期待に応えるものである(決議.9)。
行動3.3.3.各地域の持つ個別の問題、そして未加盟国に対しては条約加盟に伴う利点を強調した資料を準備して、既存の「ラムサール条約情報セット」を補完する。[常設委員会地域代表、条約事務局、締約国]
  • これはこの3年の間に小島嶼開発途上国に関してはすでに実施された。また、同様の資料が西アジアの国々のために現在条約事務局によって作成されつつある。
  • 目標 - COP8までにこの種の資料を西アジア及びアフリカのために作成すること。
行動3.3.4.締約国、常設委員会委員、科学技術検討委員会、条約事務局、協力機関を結び付ける、電子メールネットワークと電子掲示板メーリングリストを作成し維持するために、電子通信業者の支援を求める。[すべての関係者]
  • インターネット上の条約のサイトが、条約事務局の主要広報ツールとしてますます重要になってきている。1998年8月には、このサイトを訪れた人は87カ国から延べほぼ6500人に上り、検索された書類の数は23,000近くにもなる。さらに、メールグループ(ラムサールフォーラム、ラムサールエクスチェンジ、科学技術検討委員会、常設委員会)も効果的に機能している。民間企業の支援を引き出すための取組はまだ実施されていない。「普及啓発プログラム」は条約の広報ツールとしてインターネットを今後もさらに活用、適用することを提案している。「エビアンプロジェクト(上記2.8.1参照)」からの資金援助によって、多くの開発途上国の担当省庁がこの3年の間にインターネットにアクセスできるようになった。
  • 目標 - COP8までに、条約のインターネット上のサイトのための協賛者をみつけ、すべての締約国がインターネットにアクセスでき、ラムサールのホームページでフランス語とスペイン語がさらに活用されるようになり、300人に及ぶ登録湿地管理者が条約事務局と、また管理者間で、インターネットを通信手段として活用できるようにすること。
行動3.3.5.19971999年の3年間における経験に基づき、COP7に向けて「条約広報戦略」を準備する。[常設委員会、条約事務局、締約国]
  • 上記3.3.1を参照。

総合目標4.
湿地の保全と賢明な利用を達成するため、各締約国の関係機関の能力向上を図る。

実施目標4.1:特に途上国である締約国において、湿地の保全と賢明な利用を達成するために機関の能力を向上させる。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動4.1.1.湿地の保全と賢明な利用に責任を持つ、国内の既存の担当機関を見直す。[締約国]
  • COP7においては、これは国別報告書の様式に具体的な質問としては記載されていなかった。さらに詳しい情報に関しては下記4.1.2を参照。
行動4.1.2.
  • 8.1.9も参照のこと。87か国の締約国が、湿地関連活動を担当している諸機関がさらに協力関係を深めていくための、何らかの機構ができている、あるいは導入されつつあると報告している。その中の8カ国が国内ラムサール委員会は政府部門のみで構成されていると報告している。また、44か国は政府とNGOの代表から構成されていると報告している。1995年に開催された常設委員会で国内ラムサール委員会を持っていると報告した国が21カ国であったことを考えれば、条約のこの部分に関しては進歩がみられたということになる。
  • 目標 - COP8までに、すべての締約国に調整機構が出来上がっていること。具体的には、100カ国以上の締約国で政府とNGOの代表で構成される国内ラムサール委員会ができること。さらに、COP8までに、COP7で国内ラムサール委員会を有していると報告した締約国のすべてが、その効果についての評価を実施していること(決議.27)。

実施目標4.2:特に途上国において、湿地の保全と賢明な利用に関わる機関及び個人にとって必要な研修内容を特定する。また研修後に必要となる活動も実施する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動4.2.1.「賢明な利用のガイドライン」を実施する際に必要な研修とその対象者を、国、都道府県、そして地方レベルで特定する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • この行動に関しては、研修の必要性に関する分析が完了している、あるいは現在進行中だと報告したのは22か国だけという、貧弱な結果となっている。
  • 目標 - COP8までに、75か国以上の締約国が研修の必要性に関する分析を終えていること。
行動4.2.2.湿地の保全と賢明な利用のために不可欠な分野で、現在行われている研修機会を特定する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記4.2.1に関して、国民にどのような研修の機会があるかを体系的に検討した締約国は比較的少数(23か国)にとどまったようである。
  • 目標 - COP8までに、75以上の締約国で研修機会の検討が完了していること。
行動4.2.3.「賢明な利用ガイドライン」の実施に関連し、あらゆる地域において適用できるよう、 の分野の専門的な単元を含んだ、新しい研修活動と一般的な研修用単元を開発する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 国別報告書にこの3年間で新しい研修ツールの開発をしたと報告した締約国は40か国になり、上記4.2.1と4.2.2の行動に比べると、この行動に関しては幾分高いレベルの活動があったことがわかる。
  • 目標 - 条約に定められた、重要な湿地管理者研修の新規取組に着手すること。できれば条約の国際団体パートナー(1機関以上)とのパートナーシップで実施する。この新規取組はこれらの新しい研修ツールを推進し、生かすことができるものである。また「未来の湿地イニシアチブ」に関する下記4.2.4を参照すること。
行動4.2.4.以下のことを通して、管理者研修の機会を提供する:実地研修のための職員の交流、特定の登録湿地における試験的な研修講座の開講、登録湿地に湿地管理者研修用の施設を設置、世界各国にある湿地管理者向け研修講座についての情報を入手し広める。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 74か国の締約国が、その国の湿地管理者が国内外で実施された湿地関連の研修を受けたと報告している。心強い成果があがっているようではあるが、研修の必要性(4.2.1)と機会(4.2.2)に関する情報によると、研修は優先順位の高い管理問題に対応するためというよりは、一時的で、機会がある時に行われるものとなっている可能性がかなり強いようである。
  • 「未来の湿地イニシアチブ」についてここで特に触れる必要がある。条約事務局によって管理されているこの新規取組には米国が資金を拠出しており、新熱帯区における湿地関連研修活動には年間25万米ドルが拠出されている。
  • 目標 - 上記4.2.3参照。また、アジア太平洋地域、東欧、アフリカ地域において「未来の湿地イニシアチブ」を始めるための資源を援助国や利害関係を持つ締約国に求めること。
行動4.2.5.「小規模助成基金」の「実施ガイドライン」において、研修活動に対する支援に高い優先度を与える。[締約国、常設委員会]
  • この行動はこれまでの3年間でも実施されてきており、今後の3年間においても優先項目であり続ける。
行動4.2.6.湿地の保全と賢明な利用について、また、南・南間の協力(途上国間の協力)についての、情報、技術的援助や助言、専門知識の交流を図る。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記4.2.3と4.2.4参照。

総合目標5.
すべてのラムサール条約登録湿地の保全を確実なものとする。

実施目標5.1:ラムサール登録湿地の生態学的特徴を維持する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動5.1.1.COP6(1996年)で採択された「生態学的特徴の実用上の定義」に照らし合わせた、登録湿地の生態学的特徴を維持するために必要な、的確な方策を見極めて実行に移す。[締約国]
  • この仕事は科学技術検討委員会によって完了され、COP7で報告された(決議.10)。
  • 目標 - COP8までに、各締約国は、登録している湿地の少なくとも半数の湿地の生態学的特徴を維持するのに必要な方策を明確にすること。
行動5.1.2.変化する可能性のある生態学的特徴を特定するために、地域社会及びその他の利害関係者から意見を聞き、関係者による湿地の定期的な内部検討を実施する。そして、対応措置をとり、必要な場合にはその湿地のモントルーレコード登録を申請する。[締約国]
  • 2.5.2を参照。COP7の国別報告書の中で生態学的特徴がすでに幾分変化している、あるいは近い将来に変化しそうなラムサール条約登録湿地があると報告している締約国は35か国であった。これには33か国の締約国にある115の湿地が含まれ、また、2か国は、国内の登録湿地のすべて、あるいは数か所で変化がすでに起こっていると報告した。決議.12は、これらの締約国がモントルーレコードにこれらの湿地を登録することを考慮するよう求めている。
  • 目標 - COP8までの期間に、条約のツールとして、モントルーレコードの適用と効用を促進すること。それは、レコードからすでに湿地を削除することに成功したいくつかの国の成功例の報告書を配布したり、出版することによって達成する。
行動5.1.3.モントルーレコードを見直し定期的に改訂する。(釧路会議決議5.4、5.5、及び決議.1)[締約国、科学技術検討委員会、条約事務局]
  • モントルーレコードは条約事務局によって常に更新されている。
  • 目標 - モントルーレコードに登録した湿地を持ち、COP7以前にラムサール諮問調査団が完了している締約国は、COP8までにレコードから湿地を削除できることを保証するのに必要な行動をとることが求められる。
行動5.1.4.ラムサール登録湿地の将来の管理についての助言を提供するため「管理ガイダンス手順」(モントルー会議勧告4.7)の適用を増やす。[締約国、常設委員会、条約事務局]
  • COP6以降、ラムサール諮問調査団(以前は管理ガイダンス手順と呼ばれていた)が締約国5か国の9か所の登録湿地で実施された。さらに、モントルーレコードからCOP6以降、6つの湿地が削除された。また、COP6以降、モントルーレコードに登録されている19の湿地を条約事務局が訪れ、管理に関する助言を提供してきた。
  • 目標 - 上記5.1.2と5.1.3参照。
行動5.1.5.「管理ガイダンス手順」派遣調査団の報告書にある勧告の実施を促進する。[締約国]
  • 上記5.1.33参照。
行動5.1.6.有毒化学物質(勧告6.14)、気候変動、海水面の変化を含む地球規模の危機が、ラムサール登録湿地の生態学的特徴に与える可能性がある影響を特定する。[科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 科学技術検討委員会は、湿地リスク評価の枠組み(決議.10)を開発し、この行動にある程度は対応している。
  • 目標 - COP8までにすべての締約国において、「湿地リスク評価の枠組み」が定期的に適用されること。科学技術検討委員会は、気候変動が湿地にもたらしうる影響と、湿地が気候変動及び海面上昇を抑制する上で果たしうる役割を、COP8で包括的に検討するための準備をすること。

実施目標5.2:条約の「管理計画策定ガイドライン」に沿ったかたちで、また、地域社会と他の利害関係者の参加を強調しつつ、すべての登録湿地に対して湿地管理計画を策定し、実行に移す。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動5.2.1.現場での経験及び勧告6.13に照らし合わせて、「管理計画策定ガイドライン」の見直しを行う。[締約国]
  • 科学技術検討委員会は条約事務局の支援を受け、COP6以降この見直しを完了した(決議.12)。科学技術検討委員会は、できるだけ優れた管理計画を締約国が準備することを支援するために、追加手引きの開発を勧告している。
  • 目標 - この3年の間に実施された見直しの結果出てきた勧告に沿って、科学技術検討委員会は、COP8で検討されるように、管理計画のための追加手引きを準備すること。
行動5.2.2.締約国の参考になるように、1999年のCOP7以前に、地方、地域レベル、または集水域や沿岸域レベルで、登録湿地の管理計画の好例と考えられる10例の事例研究を出版する。[科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 2.6.4にあるように、COP7までに完了した他のプロジェクトの下で集められた多くのケーススタディには管理計画策定活動が含まれている。これらのプロジェクトとは、「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」(決議.8)と「河川流域管理に湿地の保全と賢明な利用を組み込むためのガイドライン」(決議.18)である。これらのケーススタディはCOP7の後で出版されることになっている。
行動5.2.3.地域住民や他の利害関係者から意見を聞いた上で、いくつかの湿地において試験的にプログラムを始め、COP8(2002年)までに各締約国の登録湿地の少なくとも半数で確実に、管理計画かそれに代わる機構が準備中あるいは実施に移されているようにする。[締約国、国際団体パートナー]
  • COP7の国別報告書によると、現在登録されている湿地の44%、あるいは416の湿地が、管理計画を有している、あるいは現在準備中である(決議.12)。
  • 目標 - COP8までに、各締約国にある登録湿地の少なくとも4分の3の湿地が管理計画を持っている、あるいは策定中であるという状態になること。また、すべての締約国がその計画の完全な実施を約束すること。
行動5.2.4.広い面積を持つ登録湿地、湿地保護区、その他の湿地について、ゾーニング(利用目的による区域分け)のための手段を確立し、実施に移すことを促す(釧路会議勧告5.3)。[締約国、国際団体パートナー]
  • ラムサール管理計画策定ガイドラインの見直しにおいて、ゾーニングは締約国からのさらなるガイダンスが必要な分野だと特定された。
  • 目標 - 上記5.2.1参照。
行動5.2.5.登録湿地はその他の湿地の中でも、特に環境変化の影響を受けやすく、また面積も小さなもの、あるいはそのいずれかのものは、厳正な保護措置の確立、そしてその実施を促進する(勧告5.3)。[締約国、国際団体パートナー]
  • ラムサール登録湿地管理におけるこの側面はCOP7の国別報告書の中では考慮されていなかったので、COP8に間に合うように見直される必要がある。
  • 目標 - COP8で検討するために、規模が小さく、また環境変化の影響を受けやすい、あるいはそのいずれかの湿地において、どのように厳正な保護措置が実施されているかに関する詳細な情報を提供すること。
行動5.2.6.「小規模助成基金」の運用ガイドラインにおいて、登録湿地の管理計画策定への支援に高い優先度を与える。[締約国、常設委員会]
  • これはCOP6以降実行されてきており、今後もそうであり続ける。

実施目標5.3:承認された標準書式に従い、国際的に重要な登録湿地に関する情報を定期的に入手し更新する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動5.3.1.湿地登録の指定が完了した際に、標準書式として承認された「ラムサール登録湿地情報票」に従うかたちで、ラムサールのデータベースに対し、締約国は登録湿地の完全な地図と記載を提出する。また、管理計画策定と生態的特徴のモニタリングに用いられるのに十分な詳細情報を提供する。[締約国、条約事務局、国際湿地保全連合]
  • COP6以降、条約事務局は登録候補として提出された湿地の記載を検証し、必要に応じて、標準書式にのっとった「ラムサール情報票」と詳細な地図、あるいはそのいずれかの形で詳細な情報が提出されるまで、登録を遅らせてきた。
  • 今後もこれを慣例とする。
行動5.3.2.データベースの有用性と使い勝手を向上させるために、登録湿地の情報票や地図の抜け部分や不完全な部分を速やかに提出することを最優先事項とする。[締約国]
  • COP6以降、この点においては大きな進歩がみられた。しかし、11か国の締約国にある54の湿地については、適切な記載が、また、4か国にある8か所の湿地については適切な地図が提出されていない。さらに、2か国にある21の湿地に関しては条約の公式使用言語である3か国語のうちのいずれかの言語で湿地の記載を提出する必要がある。
  • 目標 - 1999年末までに、すべてのラムサール登録湿地の適切な記載と地図が提出されていること。
行動5.3.3.「登録湿地情報票」は、締約国会議が2回開催される間に少なくとも1回の頻度で定期的に更新されるようにする。このことは、条約の達成度合いの評価、将来の戦略計画作成、広報活動に役立つほか、登録湿地・地域・テーマごとの分析ができるようになる(決議.13)。[締約国、科学技術検討委員会、条約事務局、国際湿地保全連合]
  • COP6の後、1990年12月31日以前に湿地を登録しており、その後記載を更新していない締約国はすべて、「ラムサール情報票」の改訂版を使って内容を更新し、提出するよう求められた。対象となったのは、この日以前に登録された31か国の512か所の湿地のうち、172か所の湿地であった。1999年3月10日までで、未だ更新された記載事項が提出されていないのは11か国の締約国にある27か所の湿地である。
  • 目標 - 1999年末までに、1990年12月31日以前に登録された湿地で、更新した記載を提出することが求められていたすべての湿地が、それを提出し終わっていること。
行動5.3.4.COP7(1999年)までにラムサール条約登録湿地一覧を見直して改訂出版することとし、COP8(2002年)までにCOP7COP8の間に登録された湿地の要旨を作成する。[条約事務局、国際湿地保全連合]
  • 「ラムサール条約登録湿地一覧(A Directory of the Wetlands of International Importance)」がCOP7で配布するために準備された。これはCD−ROM版もある。

実施目標5.4:急速な発展を遂げる情報通信技術と足並みをそろえるために、ラムサールデータベースの内容及び構造、そしてハードウェアとソフトウェアを常に見直す。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動5.4.1.現在データベース中にあるデータを評価し、締約国によって提供されたデータとの間に違いがあればそれを特定する。[締約国、科学技術検討委員会、条約事務局、国際湿地保全連合]
  • 上記5.2.2、5.2.3、5.2.4を参照。
行動5.4.2.GIS(地理情報システム)を構築する可能性を含め、見込まれる要求に対応できるようデータベースを最新のものにして更新を行い、それらに応じて構造を改良する。[条約事務局、国際湿地保全連合]
  • これは「ラムサール条約普及啓発プログラム」(決議.9)にすでに示されている。
  • 目標 - COP8まで、あるいはそれ以前に、インターネット上にラムサールデータベースをオンラインにすること。それには、地図を作製するためのGISを含め、データベースの双方向検索機能が備わっているようにすること。
行動5.4.3.電子通信ネットワーク(インターネット)や、フロッピーディスクやCD−ROMのランタイム版を通じて、また特別報告書やその他の成果品で、データベースを多くの人が利用(読みとり専用)できるようにする。[条約事務局、国際湿地保全連合]
  • 5.3.4と5.4.2参照。それに加え、国際湿地保全連合が出版物の「世界のラムサール登録湿地の概況(Overview of the World's Ramsar Sites)」の改訂版を準備し、COP7で配布した。
行動5.4.4.ラムサールデータベースと互換性のある国内湿地データベースの各国での構築を支援し、情報交換と相互交流ができるよう共通の規格を開発する。[締約国、国際団体パートナー]
  • これは「ラムサール条約普及啓発プログラム」(決議.9)にすでに示されている。国際湿地保全連合によってCOP7の分科会「地球全体の湿地資源と目録の対象となる優先事項に関する評価」で準備されたこの報告書と、関連決議(決議.20)は、情報交換と相互交流ができるように、目録とデータベースの標準規格を条約が推進するよう提案している。
  • 目標 - COP8までに、世界全域からアクセス可能な国内湿地データベースを50か国以上の締約国が作成し終わっていること。

総合目標6.
条約の選定基準に合致する湿地、特にまだ十分登録されていないタイプの湿地、そして国境をまたぐ湿地を国際的に重要な湿地のリストに登録する。

実施目標6.1:ラムサール登録湿地の選定基準に合致する湿地を特定し、登録を十分に考慮する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動6.1.1.登録湿地候補地を特定した地域の湿地目録を作成、定期的に改訂(特にアフリカの場合)、そして広く配布する。[締約国、国際団体パートナー]
  • 67か国の締約国が国や地域の登録候補湿地を特定した一覧を持っていると報告している。「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11)に関して、下記6.2.1を参照。
  • 目標 - 6.2.1参照。
行動6.1.2.各締約国の領土内において、登録湿地の候補となる国際的に重要な湿地、そして都道府県や地方レベルで重要な湿地を特定した、国内科学的湿地目録を作成、改訂し、配布を行う。[締約国、国際団体パートナー]
  • 46か国の締約国が国内湿地目録が完成したと報告している。さらに41か国の締約国が近い将来目録を作成するための準備を進めていると報告している。「国別目録」という用語を誤解し、重要な登録湿地のみが記載されているにすぎないもの、あるいは国内全域を網羅しているのではなく一部地域の目録にすぎないものを作成している国々も、この質問に「はい」と答えたのではないかと疑われる。国際湿地保全連合によってCOP7のためにまとめられた報告書「地球全体の湿地資源と目録の対象となる優先事項に関する評価」の内容からもこの見方が正しいことがわかる。
  • 目標 - COP8までに、50か国以上の締約国が国内湿地目録を完成させること。また、世界全域からアクセス可能なデータベース(5.4.4参照)に蓄積させること。
行動6.1.3.湿地の保全または消失の世界的な傾向を考慮するベースラインとなる、地球規模の湿地資源の定量化に着手するために、地域や国内の科学的湿地目録や、その他の情報源を活用する。[条約事務局、国際団体パートナー]
  • 国際湿地保全連合(上記5.4.4と6.1.2を参照)が準備した世界全域の湿地資源の広がりに関する報告書には、湿地面積の推定値が記載されている。しかし地球的規模の湿地目録の内容が貧弱なこともあり、この数字は自信をもって示すことのできるものではない。63か国の締約国が国別報告書のなかで、自国の湿地面積を計測していると報告しており、17か国の締約国が湿地の喪失あるいは改変の率に関する情報をある程度持っていると報告している。
  • 目標 - COP8までに、国際湿地保全連合のまとめた報告書の内容のフォローアップを詳細に実施し、世界の湿地資源の広がりに関するできる限り優れた情報を条約が確実に提供できるようにすること。国内湿地目録が完成するので(6.1.2参照)、その内容を地球規模のデータセットに組み込むこと。
行動6.1.4.水鳥と他の分類群の個体群の大きさに関する情報を国際湿地保全連合とIUCNが更新する際にこれを支援し、これらの情報を登録湿地候補地を特定するために用いる。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • これは現在進行中のプロセスで、締約国が「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11、6.2.1参照)を実施するに当たって活用することが可能となる。
  • 目標 - COP8で提出できるように、出版物「国際水鳥個体数推定値の第4版の草案を準備すること。

実施目標6.2:地球規模または国内で、特にこれまであまり登録されていない湿地タイプに関して、国際的に重要な湿地のリストへの登録湿地の面積を増やす。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動6.2.1.ラムサール条約の下での各地域及び各締約国内において、代表的な湿地タイプがすべて湿地登録されているようにするため、新たに締約国となった国家による湿地登録、そして既に締約国となっている国家、特に途上国による追加登録を促進して、登録湿地の面積が増えるようはからう。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • COP6以降、43か国の締約国で総数151か所の湿地が条約のもとに登録された。これで、1999年3月10日付けで、登録湿地は114か国の締約国に総数970か所となった。COP5COP6の間に新規に登録された湿地は43締約国の中の202か所の湿地だった。COP6の際にも指摘されたように、548か所の登録湿地が13の締約国に集中していることに懸念が抱かれている。同時に、加盟時に登録湿地が5か所以下だった69か国と、1か所のみであった35か国は今もそのままになっている。
  • COP7で、締約国は、「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11)という決議を検討した。これはそのタイトルが示すように、今後の湿地登録により体系的な方法をとるためのビジョンと枠組みを提供するものであった。
  • 目標 - 戦略的枠組みの中で提案されているように、「国際的に重要な湿地のリスト」の短期的目標は、そこに提唱されている体系的な方法に基づいて、2005年に開催されるCOP9までに登録総数を2000か所にまで増やすこと。さらに、COP8までに、少なくとも20か国の締約国が、国内の登録湿地選択においてこの体系的方法を採用していること。
行動6.2.2.登録を考慮される湿地が登録湿地選定基準を満たすことを確認する作業において、締約国を支援し助言を与える(釧路会議決議5.3)。[条約事務局]
  • これは条約事務局が実施している仕事の一部であり、今後もそうあり続ける。
行動6.2.3.適切な場合には、特にサンゴ礁、マングローブ、藻場、泥炭地といった、これまであまり登録湿地として指定されていない湿地タイプが新規登録されるよう優先的に注意を払う。[締約国]
  • 上記6.2.1参照。上記6.2.1で指摘されているように、COP6以降に登録された湿地の数は151か所にのぼった。その中の55か所の湿地はCOP6においてこれまであまり「国際的に重要な湿地のリスト」に登録されていない湿地タイプと特定されたものであった。新規登録分を湿地タイプ別に分類すると以下の通りになる。12か所が藻場、8か所がマングローブ、2か所がサンゴ礁、36か所が樹木のない泥炭地で14か所が森林性泥炭地。これはきわめて残念な結果だと言わざるを得ない。
  • しかし国別報告書においては、25か国の締約国が泥炭地の登録を、10か国の締約国がサンゴ礁の登録を、17か国の締約国がマングローブと藻場の登録を検討している報告している。さらに、11か国の締約国はカルスト系の湿地を登録する方向に向かいつつある。46か国は、魚類を基準に考えた湿地登録を、また29か国は水鳥を基準にした湿地登録を準備するための行動を起こしたと報告している。
  • 目標 - 「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11)に長期的目標が定められている。それに基づいて、湿地タイプ別の短期的目標が定められる。
行動6.2.4.現状では国内法で特別な保護指定を受けていない湿地を保全し賢明に利用するための措置を講じる第一歩として、それらの湿地の新規登録に特に目を向ける。[締約国]
  • この質問はCOP7の国別報告書の中では検討されなかった。COP8の国別報告書には含まれることになる。
  • 目標 - すべての締約国がこの方法を検討し、人間による集中的な利用の対象となっている湿地の長期的な保全と賢明な利用を確実にすること。
行動6.2.5.国境をまたぐ湿地の登録を、優先事項として検討する。[締約国]
  • 国別報告書の中で、42か国の締約国が、ラムサール条約登録湿地リストに含まれている湿地で国境をまたぐものを有する、と報告している。これに加え、40か国が、同様の湿地を登録する計画があると示唆している。
  • 国境をまたぐ湿地、すなわち共有される湿地の問題は「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19)と「河川流域管理に湿地を組み込むためのガイドライン」(決議.18)において扱われている。
  • 目標 - COP8までに、条約の下で50か所以上の国境を越えた湿地を登録していること。

実施目標6.3:国際的に重要な湿地選定のためのラムサール基準を継続的に見直す(決議.3)。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動6.3.1.地球規模の湿地保全の優先事項及び価値を確実に反映するよう、一般的選定基準を継続的に見直す。[締約国、科学技術検討委員会、条約事務局]
  • 「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11)−6.2.1参照−に科学技術検討委員会が基準を見直したその成果が盛り込まれている。
  • 目標 - COP8での検討のために、科学技術検討委員会は泥炭地、藻場、マングローブ、サンゴ礁といった湿地タイプを登録湿地と特定し、登録するための追加的手引きの草案を用意すること。
行動6.3.3.既存の登録湿地選定基準を様々な地域で適用する際のさらなる手引きを提供する。[締約国、科学技術検討委員会]
  • これは、上記で触れている、「登録湿地のための戦略的枠組み」という文書のなかで提供されている。

総合目標7.
他の条約や政府またはNGO機関と協力して、湿地の保全及び賢明な利用のための国際協力と財源確保を促進する。

実施目標7.1:複数の国家によって共有される湿地と集水域を管理するために、国際的または地域的に必要となる事項を特定し、それらに共通するアプローチを開発し、実施する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動7.1.1.国境をまたぐ国際的に重要な湿地(複数の国家に共有される集水域や河川流域を含む)を特定し、「集水域アプローチ」(釧路会議勧告5.3)を用いて、これらの地域の共同計画を準備し実施するよう促す。[締約国、国際団体パートナー]
  • 上記6.2.5参照。
行動7.1.2.国境をまたぐ湿地、あるいは似かよった特性を持つ湿地の姉妹湿地提携を促進し、成功例を国際協力の利点を具体的に提示するために用いる。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 25か国の締約国が他の湿地と姉妹湿地としての提携関係を結んでいると報告している。何年にもわたって条約がこの概念を推進していることを鑑みれば、この数は多いとは言えない。
  • 「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19) と「ラムサール条約普及啓発プログラム」(決議.9)はともに、姉妹湿地の提携を、知識の交流を加速させ、研修機会を促進する機構だとして推進している。
  • 目標 - COP8までに、姉妹湿地の提携が100以上になること。条約事務局はどの湿地が姉妹湿地であるかの記録をつけ、それを条約のインターネットのサイト上で公表する。

実施目標7.2:湿地に生息する生物種や湿地問題に関係した、共通の目的や目標の達成を推し進めるために、ラムサール条約と他の国際的・地域的な環境条約あるいは機関とのつながりを強化し、正式なものとする。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動7.2.1.情報交換や協力を促進するために、関係する条約との協議に参加し、あるいは新たな協議を提唱し、共同行動をとれる分野を開発する。[常設委員会、条約事務局]
  • 他の様々な関連条約については、下記の助言を参照。それに加えて、1998年12月には「協力の覚書」を砂漠化防止条約と調印した。これによって今後3年間は幅広く共同作業が実施されることになる。COP7では、「覚書」がラムサール条約事務局と世界遺産センター(7.2.4参照)との間で交わされている。決議.4(付属書)参照。
  • 目標 - ラムサール条約と砂漠化防止条約との共同作業計画。これは国際、国内、地方の各レベルにおいて、両条約が協力して実施することを目指すものである。
行動7.2.2.他の条約及び国際団体パートナーと一緒にプロジェクト案を準備し、支援を得られるかもしれない援助機関に共同で提出する。[締約国、常設委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • これはCOP6以降何度も行われ、今後も条約事務局によって遂行されていく。この行動は本質的に幾分機会をとらえて行うものとならざるを得ない。また、条約事務局の承認された作業計画に関わるものでなければならない。
行動7.2.3.生物多様性条約との協力と協働を強化する。特に、国家生物多様性戦略に湿地への配慮を盛り込むこと、湿地に影響を与える作業計画の策定と実施に関して強化する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • ラムサール条約は生物多様性条約と「協力の覚書」を結んでおり、両条約間で共同作業計画を準備した。これは1998年に開催された生物多様性条約COP4で承認された。決議.4(付属書)参照。
  • 目標 - 共同作業計画が完全に実施され、それが国際、国内、及び地方の各レベルで、両条約が協力して実施したものとなること。
行動7.2.4.ラムサール登録湿地、世界遺産指定地、生物圏保護区のすべてに、あるいはそのいずれかに指定されている湿地について、「世界遺産条約」及びユネスコの「人と生物圏(MAB)プログラム」と協力する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • COP7において、ラムサール条約事務局と世界遺産センターの間で「覚書」が交わされた。人と生物圏プログラムとの連携に関してはまだできていない。今後3年の間の優先事項となる。
  • 目標 - 「人と生物圏(MAB)プログラム」との間に「協力の覚書」を交わすこと。それによって、ラムサール条約と「人と生物圏プログラム」、また世界遺産条約との間の共同作業計画につながる。この計画は国際、国内、地方の各レベルにおいて、これらの条約が協力して実施するものとなる。
行動7.2.5.主として移動性野生動物種の保全に関する条約(ボン条約)、フライウェイ(渡り鳥の渡りルート)に関する協定やネットワーク、そして移動性の種を取り扱うその他の機構等との協力体制を通じて、複数の国家で共有される湿地生物種のための国際協力に対し、ラムサール条約の貢献度を高める(勧告6.4)。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • ラムサール条約は移動性野生動物種の保全に関する条約(ボン条約)と「覚書」を結んでいる(決議.4)。
  • 「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」は、ラムサール条約とボン条約との共同の取組の段階的拡大を提案している(決議.19)。
  • 目標 - 両条約の共同作業計画。この計画は国際、地域、国内、地方の各レベルでこれらの条約が協力して実施するものである。
行動7.2.6.「ワシントン条約」との相互関係を強化することによって、湿地に影響を与える野生生物の取引に関する問題にラムサール条約はさらに貢献する。[条約事務局]
  • 「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」はラムサール条約とワシントン条約との共同の取組の段階的拡大を提案している(決議.19)。
  • 目標 - ワシントン条約との間に共同作業計画につながる「協力の覚書」。この計画は国際、国内、地方の各レベルでこれらの条約が協力して実施することを目指すものである。
行動7.2.7.気候変動が湿地に影響を与える恐れがあるという観点から、「気候変動に関する国際連合枠組み条約」との連携をはかる。[締約国、条約事務局]
  • これらの連携はまだ確立されていないが、今後の3年の間の優先事項となるであろう。
  • 目標 - 「気候変動に関する国際連合枠組み条約」との間に共同作業計画につながる「協力の覚書」。この計画は国際、国内、地方の各レベルでこれらの条約が協力して実施するものである。
行動7.2.8.地域レベルで湿地の保全と賢明な利用に関わる条約及び機関との協力を拡大する。特に、「ヨーロッパ共同体」とは、生息地指令の湿地への適用、ヨーロッパ連合外の国々の湿地に対して生息地指令のような方策を採択し適用する件に関して協力を促進する。また、ヨーロッパ評議会の「ヨーロッパの野生生物及び自然生息地に関する条約(ベルン条約)」とは、汎ヨーロッパ生物景観多様性戦略に関して、バルセロナ条約と地中海行動計画とは「地中海湿地フォーラム」の活動に関して協力を進める。西半球条約との協力、特に「地域海条約(Regional Seas Conventions)」に関して国連環境計画、そして「南太平洋地域環境プログラム(SPREP)」との協力も促進する。[締約国、条約事務局]
  • これらの連携はそれぞれ異なった発展段階にあり、今後3年間で資源的に可能な範囲で発展していく。
  • 目標 - ヨーロッパ共同体と「南太平洋地域環境プログラム(SPREP)」については「協力の覚書」を作成し、調印すること。そして、共同作業計画を作成し、実施すること。「地中海湿地フォーラム(Medwet)」に関しては、この重要なイニシアチブのために、長期的な資金源を確保し、今後も地域行動の新しいプログラムを開発し続けていくこと。名の挙がっている他の機関及び他にふさわしい機関があれば、そことも適切な協同関係を展開すること。
行動7.2.9.例えば「国際サンゴ礁イニシアチブ」と「世界水協議会」等、湿地に関連する事項を扱う他の専門機関との協力を発展させる(決議.23)。[条約事務局]
  • 「国際サンゴ礁イニシアチブ」と、より緊密な協同関係を結ぶための取組を続ける。条約事務局は世界水協議会と地球水パートナーシップの会議の活発な参加者である。これらの会議に今後3年の間に参加するかどうかは、条約事務局に人材があるかどうか、またこれらのイニシアチブが将来どのように発展していくかによって決定される。
  • 目標 - これらのイニシアチブ及びその他の関連イニシアチブと、適切であれば、より緊密な協働関係を結ぶこと。

実施目標7.3:開発援助コミュニティと多国籍企業が、途上国や市場経済移行国において、例えば「賢明な利用ガイドライン」などの、改善された湿地管理のやり方を確実に踏襲するようにする。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動7.3.1.開発援助機関に支援された、あるいは多国籍企業が始めた湿地プロジェクトの中で、代表的な模範例を特定する。[条約事務局、国際団体パートナー]
  • この行動の第一段階はCOP7会議文書20.4「ラムサール条約施行のために二国間及び多国籍援助機関から財政的支援を得る」で、部分的に検討されてきた。条約の活動への援助機関からの資金援助に関するこの検討作業の結論は、「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19)の中に記載されている。
  • 目標 - COP8までにこの行動を完了すること。
行動7.3.2.多国間及び二国間開発機関、さらに多国籍企業と共に、湿地の価値と機能を十分に認識するための活動において協力し(モントルー会議勧告4.13)、OECDの開発援助委員会により出版された「熱帯と亜熱帯の湿地保全と持続的な利用を改善するための援助機関用ガイドライン」を考慮に入れて、湿地保全と賢明な利用が促進されるように、それら機関と企業の活動を改善することを支援する(勧告6.16)。[条約事務局、国際団体パートナー]
  • 条約事務局のこの分野における仕事は期待していた通りには進まなかった。これはこの重要な分野の仕事だけを担当する開発援助担当官を雇うだけの財源がなかったからである。
  • COP7会議文書20.4に記されている条約の仕事に対する援助機関の支援を見直すに当たって、OECDのガイドラインも考慮された。この見直しの結論には、どのように援助機関から資金を調達するかに関する勧告も含まれている。「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19)にこの結論が記載されている。
  • 多国籍企業の問題もこのガイドラインの中で取り上げられている。そこには、条約が自主的行動規範の概念を推進するよう勧告されている。
  • 目標 - 条約事務局レベルでは、この分野でもっと体系的に働く能力を強化する方法と手段を考えること。それによって、湿地保全と賢明な利用のための活動に対する援助機関からの支援を増やすことができ、また、湿地保護のための自主的行動規範を採用する多国籍企業が増えることにつながる。
行動7.3.3.途上国がラムサール条約の下での責務を果たせるようにするため、二国間の開発プログラムを通じて、また多国間開発援助機関との相互協力によって支援を行い、実施された活動及びその結果を報告する(釧路会議勧告5.5)。[締約国]
  • 下記7.4.2から7.4.6までを参照。
行動7.3.4.特に途上国の湿地に影響を与える可能性のある援助を行う、各国の援助機関の責務について、締約国が国際協力の分野の責務をどのように果たせばよいかという点に関するガイドラインを、COP7(1999年)の分科会での検討に向けて作成する。[常設委員会、条約事務局]
  • 「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19)が準備され、COP7で採択された。
  • 国内の機関については7.3.1、7.3.2、7.3.3を参照。

実施目標7.4:特に途上国と市場経済移行国のために、条約の下での責務を履行するための資金を確保する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動7.4.1.各締約国は湿地の保全と賢明な利用のために予算を割り当てる。[締約国]
  • 84か国の締約国が湿地の保全と賢明な利用に関連した行動を支援するために、毎年政府予算を割り当てていると報告した。その中の65か国は、それがより大きな規模の環境予算の一部だと報告している。その一方で、19か国ではこの予算は特定の湿地プログラムに配分されたものだと言う。12か国は予算はより大きなプログラムにも、また特定の湿地プログラムにも組まれていると報告している。
  • 目標 - COP8までに、すべての締約国で湿地のために予算が組まれ、40か国以上で特定の湿地プログラムに予算が配分されること。
行動7.4.2.開発援助機関が資金提供する開発計画の中に、湿地の保全と賢明な利用のためのプロジェクトを含め、それら援助機関が各締約国のラムサール担当省庁との協議を確実に行うようにする。[締約国]
  • 73か国の締約国が、湿地関連プロジェクトに援助機関からの支援を受けたことがある、あるいは現在受けていると報告している。
  • 湿地関連プロジェクトに援助機関から受けている支援レベルをさらに高めるための様々な措置が「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19)で提案されている。
  • 目標 - この傾向が段階的に拡大していき、すべての適格な締約国がCOP8までに各種の主要湿地関連プロジェクトに援助機関から支援を受けるようになること。特に、この支援が、適切だと考えられれば、以下の優先分野に対して拠出されること。それらの分野とは、政策策定、法的及び制度的検証、目録と評価、ラムサール登録湿地の指定と管理、研修と通信である。
行動7.4.3.開発援助を行う多国間機関と、特にプロジェクト案件の選択、開発、評価に関して緊密な関係を保つ。[条約事務局]
  • 上記7.2.3参照。この3年の間に、人材に関する制約にもかかわらず、条約事務局はこれらすべての多国間機関と何らかの形の協働関係を確立した。これによって、事務局はこれらの機関に直接、間接の助言をますます提供しやすくなった。
  • 目標 - COP8までに、条約事務局のこの分野における能力を強化すること。そしてこれらの関係が頻度の高い、十分な対話と助言へと成長していくこと。
行動7.4.4.湿地の保全と賢明な利用、そして「戦略計画」を実施する上で、途上国と市場経済移行国を支援するため、多国間及び二国間開発援助機関から直接援助を得るよう取り組む。[締約国、条約事務局]
  • 14の締約国が、湿地の保全と賢明な利用のためのプロジェクトに特化した資金拠出を行っている二国間開発援助機関が国内にあると報告している。その中で、援助機関とラムサール条約担当政府機関との間に定期的な協議が行われるような体制があると報告した締約国は7か国にすぎなかった。
  • 決議.19とCOP7会議文書20.4はこれらの問題をより詳細に検討している。また、湿地関連プロジェクトのために「地球環境ファシリティ」にアクセスすることに関しては決議.4を参照。
  • 目標 - COP8までに、しかるべき締約国のすべての二国間援助機関が、湿地プロジェクトを特に対象とした資金を持つようになること。また、すべてのこれらの締約国が開発援助機関とラムサール条約担当政府機関が協議を行う機構を持つこと。
行動7.4.5.他の機関からの資金援助を受けて湿地プロジェクトを展開するために、途上国と市場経済移行国を支援する。[条約事務局、国際団体パートナー]
  • これはますます一般的に行われるようになってきている。その際、条約事務局と国際団体パートナーの双方が、このような助言と支援を行う役割を担っている。
  • 目標 - 7.4.4参照。
行動7.4.6.湿地プロジェクトの案件選択、開発と評価にあたり、二国間開発援助機関を支援する。[科学技術検討委員会、条約事務局]
  • これはますます一般的に行われるようになってきている。その際、条約事務局と国際団体パートナーの双方が、開発援助機関にこのような助言と支援を行う役割を担っている
  • 目標 - 7.4.4参照。

総合目標8.
条約にとって必要となる制度上の仕組みと資源を提供する。

実施目標8.1:ラムサールの使命及び目標を最大限に達成するために、条約の制度と管理構造の評価を行い、必要があれば変更を行う。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動8.1.1.COP7(1999年)から会議の再編成を行い、管理運営上の議題を扱う運営会議と、湿地保全と賢明な利用における優先事項を扱う分科会に分け、必要に応じ小規模な作業部会を加えた形にする。[常設委員会、条約事務局]
  • 常設委員会はこの3年の間にCOP7の分科会の再編成を実施することを決定した。
  • 目標 - 常設委員会は締約国会議の仕組みと準備運営について見直し、会議の実施と効果を促進するための変更を採用すること。
行動8.1.2.締約国数の増加に伴い、常設委員会における地域区分及び代表者数の継続的な見直しを行う。[締約国会議、常設委員会]
  • 決議.1「ラムサール条約における地域区分、常設委員会の構成、役割、責任及び委員の業務」参照。
行動8.1.3.COP7(1999年)までに、常設委員会の役割、責務、必要とされる財政措置を見直し、必要があれば変更を加える。[締約国会議、常設委員会]
  • 決議.1参照。上記参照。
行動8.1.4.毎回の締約国会議において、科学技術検討委員会の業務の優先順位を見直す。[締約国会議、常設委員会]
  • 優先事項は条約の作業計画及びCOP7で採択された決議と勧告によって決定される。
行動8.1.5.作業計画の決定に従って、必要となる条約事務局の職制と人数を見直し、条約事務局と他条約の事務局や国際団体パートナーとの関係を見直す。[締約国会議、常設委員会]
  • COP7で採択された本文書と3年間の予算を熟考した上で考慮する(決議.28)。
  • 決議.4は条約事務局と他の条約の事務局との間の連携を見直すものであり、決議.3は条約事務局と国際団体パートナーとの間の連携を見直すものである。
行動8.1.6.締約国会議で毎回「戦略計画」の実施状況についての評価を報告し、2回ごとの締約国会議で次期6年間(締約国会議2回分)の「戦略計画」の草案を準備する。[締約国会議、常設委員会、条約事務局]
  • この文書は「戦略計画」が実施される最初の3年間の評価を提供している。
  • COP7では、常設委員会は20032008年の「戦略計画」を作成するよう求められた(決議.27)。
行動8.1.7.常設委員会で検討し承認を得るため、締約国会議で採択された「戦略計画」と3年間の作業計画に基づき、条約事務局の年間作業計画を作成する。[常設委員会、条約事務局]
  • これはこの3年間実施されてきたことであり、次の3年間でも実行される。条約の3年間の作業計画は本文書をもとに決定される。この作業計画を下敷きに、条約事務局の年間計画が作成され、常設委員会の承認を求めることになる。
行動8.1.8.条約事務局との調整を行いながら各地域での条約の施行状況を向上させるため、締約国または国際団体パートナーにおける連絡調整機構を開発する。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • このようは機構の事例は数多くある。その中でも特に注目すべきはオーストラリアの環境庁であるオーストラリア環境省と、国際湿地保全連合オセアニア支部とのパートナーシップ関係である。この連携によって、国際湿地保全連合のオセアニア支部はオーストラリア環境省の建物の中にオフィスを持ち、太平洋諸島の湿地の保全と賢明な利用を推進し、東アジアオーストラリアの渡り鳥の渡りルート 訳注2 の発展を促進するための資金、人的資源を得た。
  • 目標 - 各締約国がこの種の体制をさらに支援していくこと。
行動8.1.9.政府機関、NGO、主要利害関係者、先住民、民間企業、利益団体、土地利用計画策定及び管理担当当局からの意見を取り入れたり、それぞれの代表が参加する機会を提供するため、国内ラムサール委員会の設立を促進する(釧路会議勧告5.13)。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 上記4.1.2参照。87か国の締約国が、湿地関連行動に関わっている組織との協力関係を強化するための何らかの形の機構が出来上がっている、あるいは導入されつつあると報告している。その中の8か国は国内ラムサール委員会が政府部門のみで構成されていると報告し、44か国が政府部門及びNGOの代表者により構成された国内ラムサール委員会を有していると報告している。1995年の常設委員会において国内ラムサール委員会があると答えた国は21か国にすぎなかったことを考えると、これは条約の中でも成果を上げている部分だと言える。
  • 目標 - COP8までに、すべての締約国に調整機構ができること。より具体的には、国内ラムサール委員会が政府とNGOの代表者によって構成されている締約国の数が100か国以上になること。さらに、COP8までに、COP7の時点で国内ラムサール委員会が存在すると答えたすべての締約国が、その効果を評価し終えていること。
行動8.1.10.湿地の保全と賢明な利用に関係するすべての政府機関が条約の活動により活発に参画するようにするため、各締約国のラムサール担当省庁の見直しを行う。[締約国]
  • 国内ラムサール委員会(4.1.1.及び4.1.2参照)を有す国が増えているということは、多くの締約国において湿地とラムサール条約が主要関心事となっていることを示す。湿地が土地と水の管理における重要な要素であると考えられることが増えてきているのも、それを裏付けている(2.2.1と2.2.2参照)。
  • 目標 - ここに明記されている行動に関しては、上記4.1.1、4.1.2、2.2.1、2.2.2を参照。
行動8.1.11.締約国会議用の国別報告書の見直し(決議.21)を含んだ、ラムサール条約のすべての制度、機構、事業の効果と効率を評価するための手続きを確立し、それが定期的に実施されるようにする。それによって発生する勧告を実行に移し、その結果を締約国会議及び常設委員会に報告する。[締約国会議、常設委員会、条約事務局] この3年の間に、常設委員会は条約事務局の支援を受けて、下記を見直した。
  • 常設委員会の地域別構成と運営(決議.1)
  • 科学技術検討委員会の構成と運営(決議.2)
  • 国際団体と条約のパートナーシップ(決議.3)
  • 小規模助成基金の運用法(決議.5)

実施目標8.2:ラムサール条約の活動を行うのに必要な資金を提供する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動8.2.1.条約の基本予算に対する拠出金が請求された際には、これを全額各年の始まりに速やかに支払うものとする。[締約国]
  • ほとんどの締約国が支払い額をきちんと支払っている。ただし、この3年の間は、いくつかの問題がこれに関して継続して起こっていた。COP7会議文書14がこの問題を検討し、改善するための措置を提案している(予算事項に関する決議.28参照)。
  • 目標 - この3年の間に、すべての締約国がすべての支払いを完全に期限内にすませること。常設委員会は未払いに対する罰則についての提案をCOP8で検討するために作成準備すること(決議.28)。
行動8.2.2.途上国と市場経済移行国からの常設委員会代表が、それぞれの地域全体において条約の活動と情報の伝達を調整する際に、効果的に機能できるようにするため、財政面及び人材協力の面で十分な支援を提供する。[締約国会議、常設委員会]
  • 常設委員会の委員の役割と責務の見直しについては、決議.1を参照。
行動8.2.3.資金提供の見込みのある者にプロジェクトを説明する際、触媒的な役割を果たすのに十分な職員が条約事務局に確実に配置される。[締約国会議]
  • 現在のところ、条約事務局にはこの業務のみを担当する職員はいない。事務局の幹部職員がこの役割も果たしている。
  • 目標 - 条約事務局は2000年の1月1日までに開発援助担当官という役職を設けることを検討すること(決議.28)。
行動8.2.4.研修計画、教育・普及啓発活動、ラムサールのデータベースの開発、条約の広報戦略への資金手当を優先して行う。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 締約国や民間企業からの数々の任意の寄付によって、この種の活動は支援されている。上述されているように、新熱帯区での「未来の湿地研修イニシアチブ」は米国からの支援、アフリカにおけるプロジェクトについてはスイス政府からの基金、地中海湿地フォーラムによる新規取組はヨーロッパ委員会と地中海湿地フォーラムの会員から、国際湿地保全連合オセアニア支部の活動はオーストラリア政府から、エビアンプロジェクトは多国籍企業のダノングループ、フランスの「地球環境ファシリティ」とフランスの各政府部局から、それぞれ支援されている。条約事務局の職員がオランダの陸水管理・廃水処理研究所(RIZA)が毎年主催している湿地管理のための国際コースを手伝っている。さらに、「ラムサール条約普及啓発プログラム」を実行するために必要な、条約事務局の能力強化のための資金調達も行われている(決議.9及び決議.28)。
  • 目標 - 以下の目的のために必要な資金を確保すること:他の地域で、地域研修イニシアチブ(「未来の湿地イニシアチブ」のような措置)を設立するため、条約事務局が「普及啓発プログラム」の実施を進めるため、そして、ラムサールサイトのデータベースを条約の推進と計画策定ツールとして活用するために完全にオンライン化する構想を支援するため。

実施目標8.3:国際団体パートナーと協力する利点を最大化する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動8.3.1.国際団体パートナーと共同で計画する仕組みを強化し、職員の出向を含め連絡と情報交換を向上させる。[締約国、条約事務局、国際団体パートナー]
  • 常設委員会の第21回会議で、条約事務局と国際団体パートナーはこの問題を検討し、将来これらの計画策定を二国間ベースで実施することで最善の結果が得られるという点において合意した。
行動8.3.2.資源の効果的利用を最大化し、取組の重複が起こらないようにするため、また特に賢明な利用ガイドラインについて新たな協力関係を結ぶため、国際団体パートナーとの正式な協約を見直し更新する。[条約事務局、国際団体パートナー]
  • 条約事務局、IUCN、国際湿地保全連合、バードライフ・インターナショナル間で合意に達している。
  • 決議.3は条約が新たな国際団体パートナーを受け入れるかどうかという問題を検討している。
  • 目標 - すべての国際団体パートナーとの現在の協力体制を1999年12月31日までに、COP7の決定に鑑みて見直すこと。

実施目標8.4:湿地保全と賢明な利用のためのラムサール小規模助成金基金のため、最低年間百万米ドルを確保し(決議5.8と.6)、そしてこれら資金を効果的に配分する。

行動進捗状況、優先項目、目標
行動8.4.1.COP6(1996年)後の最初の正式な常設委員会で承認し、すぐ実行に移すことができるよう、ラムサール小規模助成基金のため最低年間100万米ドルを確保するための戦略を策定する。[条約事務局、常設委員会、締約国、国際団体パートナー]
  • 決議.5参照。
  • 小規模助成基金に年間どの程度の寄付が集まるかは、今も予測不能である。
  • 目標 - ラムサール小規模助成基金のため最低年間100万米ドルを確保するための体制を設けること(決議.28)。
行動8.4.2.COP7(1999年)で、小規模助成基金の実績を批判的に評価する。[締約国会議、常設委員会、条約事務局]
  • 決議.5「ラムサール条約湿地保全及び賢明な利用のための小規模助成基金(SGF)に対する批判的評価及びその将来的運用」参照。
行動8.4.3.小規模助成基金を高い水準で適用することを奨励し支援する。[常設委員会、条約事務局、国際団体パートナー]
  • これは条約事務局が継続して取り組んでいる仕事の一つである。
  • 決議.5にある小規模助成基金の見直しを参照。そこに今後3年間でこの分野で実施すべき改善措置が提案されている。

訳注1 COPは締約国会議のこと。COP7は第7回締約国会議(COPに続く数字は、何回目の締約国会議かを表す)。

訳注2 渡り鳥ルート(ネットワーク)の開発。


「記録」表紙

[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Resolution VII.27 Annex "Ramsar Convention Work Plan 2000-2002", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/key_workplan_2000.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]


Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第7回締約国会議
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