Swan  琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第8回締約国会議

ラムサール条約

決議.11:十分に選出されていないタイプの湿地

[英語] [フランス語] [スペイン語]


「湿地:水、生命及び文化」
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第8回締約国会議
バレンシア,スペイン,2002年11月18-26日


決議.11

十分に選出されていないタイプの湿地を国際的に重要な湿地として特定し指定するための追加手引き

1.「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を採択した決議.11を想起し

2.ラムサール条約湿地リストに十分に代表されていない湿地タイプ、適切な場合は、特にサンゴ礁、マングローブ、海草藻場、泥炭地を含めたラムサール条約湿地の新規指定を締約国が優先すべきことを示した本条約の1997−2002年戦略計画の行動6.2.3、また、サンゴ礁、マングローブ、湿性草地及び泥炭地の特定と指定のための追加手引きを作成することを科学技術検討委員会(STRP)に求めた本条約の2000−2002年作業計画の行動6.3.1を重ねて想起し

3.第7回締約国会議に提出された「地球全体の湿地資源と湿地目録の対象となる優先事項に関する評価(GRoWI)」において、泥炭地、マングローブ及びサンゴ礁が湿地生態系のなかでも生息地の消失や劣化の影響を最も受けやすくその脅威にさらされているため、その保全と賢明な利用が確実に行われるように緊急の優先行動をとる必要があると認められたことを認識し

4.泥炭地、マングローブ及びサンゴ礁のためのガイドラインを作成したSTRPに対して謝意を表明し、また同委員会が過去3年間に湿性草地に関する手引きの草案を作成したものの、海草藻場に関する手引きの作成はできていないことに留意し

締約国会議は、

5.本決議に付属する、泥炭地、湿性草地、マングローブ及びサンゴ礁を国際的に重要な湿地として特定し指定するための追加手引きを、締約国による適用のために採択する

6.締約国に対して、「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11、ラムサールハンドブック第7巻)と本追加手引きを考慮しつつ、適切な場合には国際的に重要な湿地のリストに掲げるため、泥炭地、湿性草地、マングローブ及びサンゴ礁の事例を指定することを、優先順位の高い事項として努力を新たにすることを求める

7.締約国に対して、これらの湿地タイプを含め、ラムサール条約湿地リストに掲げるための指定の進捗について第9回締約国会議(COP9)に報告するよう要請する

8.ラムサール条約事務局に対して、必要に応じて、本決議の付属書を「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11)に組み込むことを指示する

9.STRPに対して、各種湿地タイプの地球上の分布状況に関して入手できる情報、及びこうした湿地タイプがラムサール条約湿地リストでどの程度代表されているかという状況に基づいて「十分に代表されていない湿地タイプ」という用語の解釈を行うこと、「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み」(決議.11)に基づいて、ラムサール条約湿地リストにおいて代表されるべき湿地タイプを定める手法を調査すること、その結果をCOP9に報告することを要請する


付属書

泥炭地、湿性草地、マングローブ、サンゴ礁を国際的に重要な湿地として特定し指定するための手引き

はじめに

1.本条約の「2000−2002年作業計画」の行動6.3.1では、STRPに対し、泥炭地、湿性草地、マングローブ、サンゴ礁という湿地タイプを国際的に重要な湿地(ラムサール条約湿地)として特定し指定するための、追加手引きを作成することを求めている。

2.泥炭地、マングローブ及びサンゴ礁は、第7回締約国会議(COP7)に提出された「地球全体の湿地資源と湿地目録の対象となる優先事項に関する評価(GRoWI))」において、湿地生態系のなかでも生息地の消失や劣化の影響を最も受けやすくその脅威にさらされているため、その保全と賢明な利用が確実に行われるように緊急の優先行動をとる必要があると認められた。

3.本追加手引きは、「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(決議.11)を泥炭地、湿性草地、マングローブ及びサンゴ礁に適用する際のさまざまな側面について明らかにするものである。特に、国際的に重要な湿地の指定に関するラムサール条約湿地選定基準1にしたがって、これらの生息環境タイプの代表的な湿地を特定し指定するための手引きを締約国に提供する。

4.こうした湿地タイプがラムサール条約湿地リストにおいて十分に選出されていないことにはさまざまな理由がある。たとえば次のような理由である。ある領域内にこうしたタイプの湿地が存在するという認識が欠けていること;マングローブやサンゴ礁などの海洋沿岸域湿地がラムサール条約における湿地の定義にあてはまり、したがってラムサール条約湿地に指定するのが適当であるという認識が欠けていること;ラムサール条約湿地に指定するためのラムサール条約湿地情報票を記入する際に、特にサンゴ礁の場合は適切な境界を定めることがむずかしく、手引きを適用するのが困難なこと;こうした生息地タイプのどの特徴が、ラムサール条約湿地選定基準1に基づく湿地の代表例として最適かがはっきりしないこと;泥炭地や湿性草地の場合、これらの生息地タイプが複数の異なるタイプの湿地と重なって存在することがあるため、ラムサール条約湿地分類法のどの湿地タイプに該当するかがはっきりしないこと;そして、泥炭地の場合、湿地を植生の特徴だけで評価すると、その湿地が泥炭に基づく系であるという認識が欠けてしまうこと。

5.国際的に重要な湿地の指定に関するラムサール条約湿地選定基準は、すべて、泥炭地、湿性草地、マングローブ、サンゴ礁という湿地タイプの特定と指定に適用することができる。

6.これらの各湿地タイプは、生息地の消失や劣化の影響を最も受けやすくその脅威にさらされていることが確認されているため、選定基準2に基づいて絶滅のおそれのある種と同様、絶滅のおそれのある生態学的群集を特定し指定することが、特に重要になる。

泥炭地の特定と指定

7.泥炭地とは泥炭が堆積した生態系であり、泥炭を形成する植生を現在も維持している場合もあればそうでない場合もあり、また植生がまったく見られない場合もある。泥炭とは、枯死して不完全な分解状態にある植物の遺体が、原位置で浸水した条件下で堆積したものである。本手引きでは、「泥炭地」という用語は発達中の泥炭地(「湿原」)も含むものと了解されている。発達中の泥炭地(「湿原」)とは、泥炭の形成作用と集積作用が現在行われている泥炭地をいう。発達中の泥炭地(「湿原」)はすべて泥炭地であるが、泥炭の集積が止まった泥炭地は発達中の泥炭地(「湿原」)とはみなされない。泥炭が存在すること、または泥炭を形成する植生が存在することが、泥炭地を特徴づける。

8.泥炭地とは基質として泥炭が存在する場所のことであるが、ラムサール条約湿地分類法は植生に基づいているため、この分類法によると泥炭地はいくつもの湿地タイプと重なって存在することになる:

a)タイプ I (潮間帯森林湿地)及びタイプ E (砂、礫、中礫海岸で、砂丘系を含む)の海洋沿岸域湿地として存在する場合、またタイプ K (沿岸域淡水潟)の周辺部にも存在する場合がある。

b)主にタイプ U (樹林のない泥炭地)及び Xp (森林性泥炭地)の内陸湿地として存在する場合がある。

c)泥炭土壌は、次のタイプを除くすべての内陸湿地に存在する場合がある。タイプ M (永久的河川、渓流、小河川)、タイプ Tp (永久的淡水沼沢地・水たまり−−無機質土壌)、タイプ Ts (季節的、断続的淡水沼沢地・水たまり−−無機質土壌)、タイプ W (潅木の優占する湿原−−無機質土壌)、タイプ Zg(地熱性湿地)、タイプ Zk(b) (地下カルスト系)。

9.泥炭地は、生物の多様性、世界の水問題、気候変動に関わる地球の炭素保持、人間社会にとって貴重な湿地の機能に寄与するものである。

10.泥炭地には、次のような重要な特徴がある:

a)泥炭形成現象の独自性とその生態学的機能及び自然資源としての機能;
b)水文学的及び水文化学的環境に対する泥炭地の依存;
c)泥炭地、その集水域、隣接する分水界の間の相互依存;
d)植生の独自性;
e)特定の動植物種に対する生息地の提供;
f)水の調節や緩衝機能;
g)局地的・地域的な気候を調節する能力;
h)大気中から炭素を吸収し、長期間それを蓄える能力;
i)地球化学・古地質・古生物学等の資料の保管庫として機能する力。

11.自然の価値に加えて、泥炭地には、次のような社会経済的に重要な価値がある(ただしこれに限定されるものではない)。飲料となる水の吸収と放出、地域社会や先住民に対する自然資源の提供、景観の安定化、洪水の影響緩和、汚染物質の除去、観光、レクリエーション。

12.泥炭地への脅威は、その泥炭地域の内部からも外部からも生じる可能性がある。それには次のようなものがある:

a)土地の排水と他用途への転換、掘削、火入れ、過放牧、耕作放棄、観光客による負荷、持続不可能な商業利用などの直接的な脅威;

b)汚染、過度の取水、緩衝地帯の規模の減少や質の低下、気候変動などの間接的な脅威。

13.改変されながらも生態学的価値を残している泥炭地はあるが、それらの中には上述のような脅威にさらされているものがある。こうした地域には再生の機会がある。

泥炭地に対するラムサール条約湿地選定基準の適用

14.選定基準1による指定を検討すべき泥炭地には、原生の発達中の泥炭地、壮年期の泥炭地、泥炭形成の止まったとみられる泥炭地、自然に劣化している泥炭地、人間により改変されてその影響を受けた泥炭地、再生または回復された泥炭地が含まれる。

15.少なくとも次の特性のうちのいくつかを備えている湿地の指定に特に留意する:

a)手つかずのままの水文学的環境;
b)泥炭を形成する植生の存在;
c)地域または世界の生物多様性の貯蔵庫として機能する力;
d)炭素貯蔵庫として機能する力;
e)炭素隔離機能の存在;
f)地球化学・古地質・古生物学等の資料の保管庫を維持する力;
g)水文化学的多様性;
h)マクロ・ミクロそれぞれのレベルの形態的特徴。

16.わずかな影響が大きな劣化につながるおそれがあるなど、特に影響を受けやすい泥炭地の指定や、劣化しているが再生の可能性がある泥炭地の指定に特に留意する。

17.広大な面積の泥炭地には、水文学上の価値や炭素貯蔵庫、古地質・古生物学的資料の保管庫としての価値があり、また広大な景観が含まれている。そのため面積の広い泥炭地は狭い泥炭地よりも一般に重要性が高く、優先的に指定されるべきである。また、地域の気候に対する泥炭地系の影響力も考慮すべきである。

18.泥炭地系の、水文学的に健全な状態を維持するために、適切で望ましい場合には、泥炭地をラムサール条約湿地に指定するときは集水域全体を含めるようにする。

19.単一タイプの泥炭地と、複数のタイプの泥炭地系を含んだ複合系の泥炭地の両方を指定することが適切である。

湿性草地の特定と指定

20.湿性草地は、草丈の短い多年草、スゲ、ヨシ、イグサ、などの草本を特徴とし、これが優占する植生を持つ自然及び半自然生態系である。また湿性草地は、周期的な冠水条件下や湛水条件下に見られ、刈り取り、火入れ、自然または人為的な放牧、あるいはこれらの組み合わせによって維持される。

21.湿性草地には、氾濫原の草地、周期的に冠水する土地、干拓地(ポルダー)、冠水草地、水位管理が(集中的に)行われている湿性草地、湖岸の草原、比較的大型で競争力のある多年生草本が優占する植生、地下水に依存する、砂丘のくぼみにできる湿地などが含まれる。これらの草地は、重粘土、ローム、砂、砂礫、泥炭などさまざまな土壌の上に発達し、また、淡水系、汽水系、塩水系内に発達する。

22.湿性草地の定義にあてはまる植生タイプは、同じもの同士で、または泥炭地、ヨシ原、水に依存する灌木、森林など他の湿地タイプとともにモザイク状に存在することがある。

23.湿性草地は、ラムサール条約湿地分類法の次の湿地タイプに亘って存在する:

a)タイプ Ts (無機質土壌上にある季節的、断続的淡水沼沢地で、季節的に冠水する草地、ヨシ沼沢地を含む)及びタイプ U (樹林のない泥炭地で、湿地林、低層湿原を含む)に分類される氾濫原の構成要素になっているもの。

b)タイプ 3 (灌漑地。灌漑用水路、水田を含む)及びタイプ 4 (季節的に冠水する農地。集約的に管理または放牧が行われている草地または牧場で、水を引いてあるものを含む)に分類される人工湿地タイプとして存在するもの。牧草地を通っている灌漑用水路で自然植生を有するものは、生態学的に重要な機能を果たしているため、湿性草地の一部分とみなされる。

c)湿性草地環境は、このほか次のような湿地タイプ内に存在する場合がある。タイプ E (砂、礫、中礫海岸。砂丘系を含む)及びタイプ H (潮間帯湿地。塩水草原、塩生高層湿原、潮汐域の汽水・淡水沼沢地を含む)。また、タイプ J (沿岸域の汽水・塩水礁湖)、タイプ N (季節的、断続的、不定期な河川、渓流、小河川)、タイプ P (季節的、断続的な氾濫原の湖沼)、タイプ R (季節的、断続的な塩水・汽水・アルカリ性湖沼と平底)及び Ss (季節的、断続的な塩水・汽水・アルカリ性湿原)など他の湿地タイプの境界周辺にあることもある。

24.湿性草地は特有の生物多様性を支えており、それは、国際的に重要な鳥類個体群、さまざまな哺乳類、無脊椎動物、爬虫類、両生類など、稀少で絶滅のおそれのある動植物の種や群集を含む。

25.近年、特に次のような水文的、化学的機能を果たすうえでの、湿性草地の価値に対する認識が高まっている:

a)洪水の緩和:湿性草地は洪水による水を保持することができる;

b)地下水の涵養:湿性草地は集水域内の水を保持して、地下水の涵養を可能にする;

c)水質の改善:河岸の湿性草地は栄養塩類や毒性物質、堆積物を保持して、これらが水域に流入するのを防ぐ。

26.こうした機能からは経済的な利益が生じている。湿性草地が破壊されるとこの機能は失われ、元に戻すには多くの場合、巨額の費用が必要になる。経済的利益には次のようなものがある:

a)水の供給:湿性草地は水量と水質の両方に影響を及ぼす;

b)淡水漁場の健全性:湿性草地域内の淀みや水路などの開放水域にある生物環境は河川漁業にとって重要である;

c)農業:氾濫原のなかには農地としてきわめて肥沃なものがある;

d)レクリエーション及び持続可能な観光活動の機会。

27.人間の歴史の初期の段階から、氾濫原には人間の手が加えられてきた。産業革命以降、多くの地域で河川や氾濫原への負荷が高まっている。こうした過程の一部として、湿性草地は工業地域で著しく減少したが、他の地域でも特有の脅威にさらされている。それは次のような要因による:

a)農法の変化:排水による土地利用の拡大と肥料使用量の増加、干し草作りからサイロ利用への変更、追い蒔き、除草剤の使用、耕地への転換、放牧密度の増加、放置または放棄、水生植物用除草剤の使用;

b)土地の排水:自然の流況の変化、河川流路からの氾濫原の孤立、冬季の洪水の水が急速にひくことや春季の地下水面の早期低下、排水路における低水位が続くこと;

c)飲料用や灌漑用の取水:これは河川の流量減少及び水路内の水位の低下、地下水面の低下、干ばつに関連する問題の悪化につながる;

d)富栄養化:草地の植物群落における変化や草地の活力増大につながる;

e)海面の上昇や洪水用の水防施設建設による沿岸湿性草地への脅威;

f)開発と鉱物の採掘:周期的に冠水する地域の減少と、残存するそうした土地での洪水発生頻度の増加につながる;

g)湿性草地の断片化:湿性草地の孤立を招くことから、湿性草地だけに生息していて絶滅しやすい種を脅かし、また水位の管理や農業管理に伴う問題を引き起こす。

湿性草地に対するラムサール条約湿地選定基準の適用

28.湿性草地が特に水文学的に特有の機能を果たしている場合には、選定基準1に基づく指定を検討する。

29.湿性草地は、河川や沿岸の氾濫原の一部として、周期的な洪水や人為的または自然の浸水条件によって維持され水文学的に健全な状態を示している。このような動的な生態系の指定に特に留意する。

30.湿性草地で農業その他の管理が行われている場合は、その生態学的特徴が固有の管理手法や伝統的な土地や湿地の資源利用形態(一般に、人為的な放牧、刈り取り、火入れまたはこれらの組み合わせ)によって維持されている系や、そうした管理を続けなければ、植生の緩やかな遷移によって湿性草地が背の高いヨシ原、泥炭湿原、森林性湿地へと変化するおそれのある系を指定するよう特に注意を払う。

31.管理された湿性草地の多くは、水鳥の重要な繁殖集団を支えると同時に、多くの非繁殖集団の水鳥にとっての生息地ともなっているため、この特徴に関する基準4、5、6に基づく指定に注意を払う。

マングローブの特定と指定

32.マングローブ林は、堆積物が豊富にあって波から守られている熱帯沿岸環境にある潮間帯森林生態系であり、その分布は北緯32度付近(バーミューダ諸島)からほぼ南緯39度(オーストラリアのビクトリア州)に達する。熱帯の海岸線の約3分の2から4分の3は、マングローブで縁取られている。

33.マングローブ林は、適度に傾斜の緩やかな地形、波を防ぐ遮蔽物、泥質の基質、潮差の大きい塩水のある場所で、広大で生産性の高い系を形成する。

34.マングローブ林の特徴は、沿岸の生息地でコロニーを形成できるよう形態的、生理的、生殖的に適応した耐塩性の木本であるという点である。マングローブという用語は、少なくとも次の2通りに用いられる:

a)上記の植物、それに関連する動植物、及びその物理化学的環境からなる生態系をいう場合;

b)塩分が多く貧酸素の(嫌気的)基質を利用できるような適応性を持つ点で共通する(さまざまな科や属の)植物種をいう場合。

35.マングローブはラムサール条約湿地分類法の海洋沿岸域湿地のタイプ I (潮間帯森林湿地)に分類される。

36.マングローブは、淡水、栄養塩類、堆積物の海域への流入の調節において、景観レベルの重要な機能を果たす。また、細流土砂を捕捉し固定することによって、海洋沿岸域の水質を調節する。鳥類、魚類、甲殻類など、成体は別の場所に生息するが、生活環のさまざまな段階をマングローブのなかで過ごす動物の個体群を維持するうえでも、また沿岸の食物網を維持するうえでも、マングローブはきわめて重要である。マングローブは、有機性の汚染物質や栄養塩類の吸収能によって、汚染防止にも重要な役割を果たす。

37.マングローブは、その存続が個々のマングローブ林の境界をはるかに超えた、陸と海の景観が果たす機能を維持するうえで不可欠な役割を果たす、重要な生態系である。マングローブ、サンゴ礁、海草藻場は、統合的な景観レベルの生態系の典型的な例に入る。これらが同じ場所にあると一つのまとまりとして機能し、物理的、生物学的な相互作用によって、個々のサブシステムが互いに関連しあい統合されて複合的なモザイクを形成する。そしてこれが、高潮からの防護や沿岸の安定化に重要な役割を果たす。

38.マングローブ生態系は、世界中で少なくとも50種のほ乳類、600種を超える鳥類、2,000種近くの魚介類(エビ、カニ、カキ類を含む)を支えている。またマングローブは、渡り性の鳥や絶滅危惧種にとっても重要である。他の分類群のさまざまな種が、マングローブを、近接する生態系と密接に結びついた食物網を持つ、多様性豊かな群集にしている。

39.マングローブは、海洋や河口における魚介類の漁場の活力や生産性にとって不可欠である。世界的に見ると、海洋環境でとれる全魚類のほぼ3分の2は、最終的にその漁業資源を維持できるかどうかを、マングローブ、海草藻場、塩生湿地、サンゴ礁などの熱帯沿岸生態系の健全さに依存している。マングローブが健全で完全な状態を保っていることは、沿岸域とその文化的遺産を維持し、海面の上昇など気候変動による影響をやわらげるうえで重要である。

40.マングローブは、何千年にもわたって熱帯諸国の経済に重要な役割を果たしており、多くの動植物の重要な貯蔵所であるととともにそれらの避難場所にもなっている。マングローブ生態系は、熱帯諸国で自給用、商業用、娯楽用のきわめて貴重な漁業を支える一方で、その他の多くの財やサービスを直接的、間接的に社会に提供している。

41.マングローブは、陸と海の両方から大量の物質やエネルギーを受け取り、蓄積・分解するよりも多くの有機体炭素を生産するという点で、他の森林系と異なる。マングローブは構造的、機能的にきわめて高い多様性を示し、もっとも複雑な生態系の部類に入る。マングローブが提供する財やサービスは多様であるため、単なる森林資源として管理すべきではない。

42.世界のマングローブ資源の大部分は、次のような原因で劣化している:

a)乱獲、樹皮(タンニン)の採取、薪炭材の生産、木材などの産物にするための利用といった持続不可能な利用慣行;

b)生息地の破壊。たとえば、農業、都市、観光、工業のための開発や、特に水産養殖池建設のための伐採によって、マングローブは世界各地で脅威にさらされている;

c)灌漑やダム建設のための流路変更による水文環境の変化から生じる、養分欠乏と過度の塩分濃度上昇;

d)汚染。工業廃水や家庭廃水、日常的または壊滅的な石油流出を含む。

43.マングローブは、石油汚染、海岸侵食増大、海面上昇、及びハリケーン、寒波、津波などの自然事象、人間の活動によって引き起こされた気候変動の影響に対し、きわめて脆弱である。

マングローブに対するラムサール条約湿地選定基準の適用

44.選定基準1を適用する際には、マングローブが大きく2種類の生物地理区に分布することを認識する。つまり、インド洋・太平洋(東半球)グループと西アフリカ・アメリカ(西半球)グループで、いずれも特徴的だが種の多様性が異なる。

45.自然に機能している手つかずの生態系に、マングローブとともにサンゴ礁、海草藻場、干潟、沿岸の礁湖、塩性干潟、河口の複合生態系などが含まれるときは、その生態系のマングローブ部分を維持するために、これら他の湿地タイプが不可欠である。したがってこうした生態系の一部をなすマングローブは、特に優先してラムサール条約湿地に指定すべきである。多くの場合、マングローブと結びついている他の沿岸生態系部分を含めずに、マングローブ(すなわちその樹木の部分)だけを指定することは、避けなければならない。

46.湿地のネットワークは、陸や海の景観全体を完全な状態に維持するため、個々の狭い面積のマングローブよりも価値が高い。陸や海の景観全体を含めて指定することは、重要な沿岸プロセスを守るための有用な手法であり、可能な場合には、沿岸域のための入れ子型の管理の枠組みの一環として、ラムサール条約湿地への指定を検討すべきである。

47.ラムサール条約湿地の指定にあたって、適切な境界を確定するためには、次の点を考慮する:

a)保全・管理行動の重点とするため、パッチ状の重要な生物環境、特定の群集または地形を含めること;
b)景観のうちで人が優占する部分における保全行動の用意。これは、人が優位を占める景観がより良いものであれば、マイナスのエッジ効果を緩和するのに役立つため;
c)人の立ち入りが比較的限られた広い地域の保全と賢明な利用のための手だて;
d)景観単位全体を含めること(礁湖と河口の複合体、塩性干潟、デルタ、泥質干潟・干潟系);
e)集水域(河川流域)の管理という面も含めた水路学的な健全さと水質の維持;
f)生息地や遺伝的プロセスの消失につながる海面上昇及び人間の活動によって引き起こされた気候変動の影響に対する用意;
g)海面上昇への反応として、マングローブの陸地側への移動が起きる可能性への配慮。

48.マングローブ林に選定基準1を適用する際には、手つかずの自然の地域、あるいは生物地理学的、科学的に重要で保護が必要な地域を指定するよう、特に留意する。

49.マングローブの保全では、保護、再生、自然遺産を理解し楽しむこと、持続可能な利用に重点を置いた保全など、それぞれ最適の用途に沿って各単位を分類する。指定対象とするマングローブ林の最小規模とは、生息域タイプの多様さが最大となるものであり、それには絶滅危惧種、絶滅のおそれのある種、稀少種、影響を受けやすい種、あるいは生物学的集団の生息域が含まれる。候補地を選択する際にはその「自然度」、すなわち、その地域が人為的変化からどの程度守られてきたか、それとも人為的変化を受けなかったかを考慮する。指定されたマングローブの構造的、機能的な完全性や自立能力を維持するのは生態学的、個体群統計学的、遺伝的プロセスであるため、これらのプロセスも考慮する。

50.湿地の境界を定める場合、保全の目的を効果的に果たすには、系が複雑になるほど湿地の規模を大きくする必要があることを考慮しなければならない。ただし、湿地の単位が小さくなるほど境界の確定は重要になる。迷った場合には、湿地の規模を小さくせずに、大きくすることである。

51.マングローブの系は、魚介類の繁殖場や養育場としてきわめて重要であるため、選定基準7及び8の適用に特に留意する。またこの系は生態学的、地形学的、物理的な構造が複雑なため、避難場所として機能することができ、多くの渡り性の種や非渡り性の種の個体群の存続にとって重要であるという事実を考慮して、選定基準4の適用も特に注意する。こうした地域を指定する場合は、沿岸のマングローブ、海草藻場、サンゴ礁の複合体が形成するさまざまな生息環境が、種の生活環の各段階にとって不可欠な場合もあることを考慮する。

サンゴ礁の特定と指定

52.サンゴ礁とは、イシサンゴ(本来のサンゴ)の生物学的活動によって作られた炭酸塩のかたまりと、それとともにサンゴ礁生態系を形成する海洋生物の複雑な集合体をいう。世界の海洋の北緯30度から南緯30度の間の泥質でない海岸線にみられる。その推定総面積は61万7,000km2で、浅い海棚の約15%を形成する。

53.サンゴ礁にはおおまかに分けて裾礁、堡礁、環礁の3種類がある。裾礁は海岸近くにみられ、堡礁は間に礁湖を挟んで陸地から離れたところにあり、環礁は礁湖を取り囲む環状のサンゴ礁で、島(もともと火山であることが多い)が徐々に海面下に沈んだ場所に形成されている。しかし、大陸の海岸線にできるサンゴ礁は往々にして複雑で、その特徴を分類するのはむずかしい。

54.サンゴ礁生態系は、礁でない基層の上にも見かけ上は同じように発達する場合がある。これらは、地質学的には「本当の」サンゴ礁ではないが、他のサンゴ礁と同様の生態学的属性を持ち、人間による利用のしかたは同じである。

55.サンゴ礁は、ラムサール条約湿地分類法の海洋沿岸域湿地のタイプ C (サンゴ礁)に該当する。

56.サンゴ礁は、隣接するラムサール条約湿地分類法の他の海洋生息地、特にタイプ A (永久的な浅海域)、タイプ B (海洋の潮下帯域:特に海草藻場)、タイプ E (砂、礫、中礫海岸)、タイプ H (潮間帯湿地)、タイプ J (沿岸域汽水・塩水礁湖)と機能面で複雑に結びつく生態系の一部となっていることが多い。

57.形や色の純粋な美しさや生命の多様性の点で、世界の自然地域でサンゴ礁に匹敵するものはおそらくない。サンゴ礁はあらゆる海洋生態系のなかで種の多様性がもっとも豊かで、世界の生物多様性に大きく寄与している。サンゴ礁に生息する魚類は 4,000種が知られており、そのうち約10%は、生息地が群島や海岸線から数百キロメートルに限られている。世界の海洋系から見ればわずかな部分しか占めていないにもかかわらず、海洋環境でとれる全魚種の3分の2近くがサンゴ礁とそれに付随する生態系(マングローブや海草藻場など)に依存している。

58.サンゴは、プロスタグランジン(prostaglandins)などの抗凝血剤や抗癌剤など、命を救う医薬品の重要な原料も提供する。

59.サンゴ礁は、温暖な海に接した沿岸域で暮らしている人々にとって貴重である。サンゴ礁は、食料、建築材料、医薬品、装飾用として利用され、熱帯の沿岸地域に暮らす数百万の人々に多くの生活必需品を提供し続けている。

60.熱帯地域では、沿岸生態系と海洋の生物多様性が、多くの国の経済に大きく寄与している。サンゴ礁は、観光やレクリエーションのほか、自給用、商業用、娯楽用の漁業を支えている。バルバドス、モルジブ、セイシェルなど、外貨収入の大半をサンゴ礁観光に依存している国もある。カリブ海地域だけで年間1億人以上の観光客を受け入れており、そのほとんどが必ず海岸やサンゴ礁を訪れている。

61.サンゴ礁は、自己修復する自立的な自然の防波堤として機能し、その後方にある往々にして海抜の低い土地を、嵐や海面上昇の影響から保護している。サンゴ礁が健全で完全な状態を保っていることは、熱帯の沿岸域とその文化的遺産を維持するうえできわめて重要である。

62.その生態学的、経済的な重要性にもかかわらず、サンゴ礁は世界各地で深刻なまでに減少している。サンゴ礁は、堆積物、下水、農業排水その他の汚染源、採鉱、沿岸域の浚渫、沿岸開発など、サンゴ礁を劣化させる数々の人間の活動による脅威にさらされている。劣化のリスクと沿岸域の人口密度との間には、強い相関関係があることが判明している。人口増加による人為的な負荷の深刻さと沿岸域での住民の活動に加えて、サンゴの病気やサンゴ礁に生息する種に感染する伝染病による大量死も発生している。乱獲、爆発漁猟、毒を用いた漁、国内外で取り引きされる土産物用サンゴの採取が、サンゴ礁破壊の大きな原因である。二酸化炭素の増加は、石灰化やサンゴ礁形成の速度を低下させる可能性がある。

63.サンゴ礁に対して一層高まっている影響の一つに、地球規模の気候変動に伴う海面温度の上昇がある。海面温度の上昇はサンゴの白化現象を引き起こす。共生する藻類が失われる結果、往々にしてサンゴそのものが死滅し、引いてはサンゴに依存する多様な群集が消失する。海面温度上昇のほかに、すでに汚染や土砂堆積といった人為的圧力を受けているサンゴ礁は、白化現象を起こしやすくなっているようである。今後の海面温度の予測から、白化現象が次第に広がって頻度も高くなることが示されている。最近の研究によると、UV−Bの照射増大によってもサンゴの白化が起こり、温度上昇による影響に追い討ちをかけている可能性が示唆されている。

64.いったんサンゴが死んでしまうと、岩礁は嵐で物理的に破壊されやすくなり、沿岸の陸地やそこで暮らす人々を海面上昇や嵐から守る機能が脅かされる。1997年から98年にかけて世界各地で起きた大規模なサンゴの白化は、人間が引き起こした地球規模の変化から、生態系規模のダメージが起き始めたことをサンゴ礁が知らせているのかもしれない。再生が成功するかどうかは、健全な管理によって人為的な圧力を減らせるかどうか、そしてサンゴ礁の再生を無に帰すような白化現象が、今後深刻さと頻度を増して起こるかどうかにかかっている。

65.このような問題が相互に影響し合いながら生じている結果、近年、サンゴ礁は激減している。世界のサンゴ礁のおよそ11%が失われ、27%が差し迫った脅威にさらされており、31%は今後10年から30年のうちに減少する可能性が高い。最も危険が大きいのは、広義のインド洋、東南アジア及び東アジア、中東(主にペルシャ湾)及び大西洋地域のカリブ海のサンゴ礁である。

66.サンゴ礁は多数の種の漁業を支えている。現在、漁業管理手段の一つとして、保護区が設けられることが多い。しかし経済的に重要な種のなかにはその生活環の一部を保護区に指定された地域の外で過ごすものもあり、管理の際にはこれを考慮に入れる必要がある。それと同時に漁業管理措置は、持続可能な漁業だけでなく、生物多様性その他の貴重な湿地の特徴を守るものでもある。サンゴ礁に生息する魚類種の多くはラムサール条約湿地の指定を補完するために、この条約の規制よりも厳しい枠組みを必要としている。こうした魚種の保護には、補完的な保全の枠組みや権限が必要である。

67.サンゴ礁を管理する際には、保全の必要性とともに、特定のサンゴ礁に生活を依存する現地の人々のニーズも検討しなければならない。地域によっては、さまざまな利害関係者のニーズに合うように、多用途・ゾーニングの両アプローチを用いて管理することが最善の方法となる。ごく少数の地域を厳しく保護するという手法ではなく、沿岸域レベルでの保護のための入れ子型の枠組みが必要とされる。沿岸のサンゴ礁地域は、統合的沿岸域管理の計画により管理するのが最適である。

サンゴ礁に対するラムサール条約湿地選定基準の適用

68.締約国は、適当な場合には、選定基準1に基づく複合的な湿地の指定を検討する。これには、サンゴ礁とそれに付随する系、特に、隣接する浅い礁原、海草藻場及びマングローブが含まれ、これらは通常、複雑に結びついた生態系として機能している。指定されるサンゴ礁域には、可能な限り多様な生息地タイプと遷移段階のほか、付随する系に関わる生息地タイプと遷移段階も含まれるようにする。

69.個別のサンゴ礁ではなく、湿地のネットワークを指定することに特に留意する。ネットワークは個別の湿地よりも価値があり、海の景観全体を完全な状態に保全するのに役立つ。

70.地理的な位置(「潮上側にあるサンゴ礁」)の関係で浮遊幼生の供給源となり、「潮下側」にある広大なサンゴ礁域への幼生の供給を確かなものにするサンゴ礁地域の指定にも、締約国は特に注意を払う。

71.海岸線を嵐の被害から守り、沿岸の住民やインフラストラクチャーを保護するサンゴ礁も、指定対象として検討する。

72.劣化のおそれがある場合や、ラムサール条約湿地への指定がそのサンゴ礁の生態学的特徴の維持を確保できるような包括的な管理につながりうる場合には、指定を検討する。

73.サンゴ礁の生態学的特徴は、水質が保たれ、沿岸域が適切に管理されてはじめて維持される。そのため、沿岸水域の水質を変えるような人為的変更から、その地域がどの程度まで影響を受けずにいられるか、あるいはどの程度まで保護されうるかが、指定の対象とするサンゴ礁を見きわめるときの重要なポイントである。

74.締約国は、指定するサンゴ礁の境界を確定する際に、ラムサール条約第2条1項を考慮する。段落53で定義した多くのサンゴ礁系の外側部分や、一部の礁湖系の中心は、水深6メートルより深いため、こうした部分をすべて含めてサンゴ礁の境界を確定する。さらに、段落53で定義したサンゴ礁生態系は、サンゴ礁の構造体の境界を超えて広がっており、隣接地域での活動がそれらに害を与える可能性があるため、近接する水域も適宜、指定する湿地に含めるべきである。

75.ラムサール条約湿地に指定されるサンゴ礁の規模は、サンゴ礁の地理学的な規模に適したものでなければならず、またその生態学的特徴を維持するのに必要な管理方法にも、適したものでなければならない。面積は、できる限り、完全で自立的な生態系のまとまりを保護するのに十分な広さにする。海中では、生息地が正確に限定されることはほとんどない。海洋種の多くが広い範囲を生息地としていることや、定住種の遺伝物質が海流によってはるか彼方へ運ばれる可能性のあることに留意すべきである。

76.さらに、次のような湿地を指定することも検討すべきである:

a)地質学的、生物学的に特異な構成物、群系等を支えているか、または美的、歴史的あるいは科学的に特に興味深い動植物種を支えている場合;

b)国内や国際的な機関による長期にわたる研究や管理の記録が残されている場合;

c)環境の変化を評価するための長期モニタリング計画を設定するのに利用できる場合。

77.選定基準7及び8を適用することによって、魚類種にとってのサンゴ礁の重要性を認識する。選定基準7を適用する際には、サンゴ礁における魚種の多様性には地域差があり、たとえばフィリピンの 2,000種以上からカリブ海の約200-300種と幅があることに留意する。ある地域の重要性を評価するには、種の数を単純に数える(種の目録)だけでは不十分であり、評価には各地域における魚類相の特性を考慮する必要がある。サンゴ礁に生息する魚類には固有性があまりみられないものの、一部の島嶼や砂州は事実上隔離されており、魚の個体群が遺伝的に独特なものになってきている。こうしたサンゴ礁系は優先的に指定する。

78.特に保全に配慮すべき種、独特の生物学的集合体及び代表種あるいは中枢種(ミドリイシのサンゴ礁、海綿動物とウミウチワの複合生態系など)を支えている湿地や、手つかずの自然の状態を保っている湿地は、特に優先的に指定する。


ラムサール条約第8回締約国会議の記録 [和訳:『ラムサール条約第8回締約国会議の記録』(環境省 2004)より了解を得て再録,2005年,琵琶湖ラムサール研究会.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]

[ PDF 52KB ]   [ Top ] [ Back ]    [ Prev ] [ Index ] [ Next ]


Valid HTML 4.01!    Valid CSS!