Swan  琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第8回締約国会議

ラムサール条約

決議.23:奨励措置

[英語] [フランス語] [スペイン語]


「湿地:水、生命及び文化」
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第8回締約国会議
バレンシア,スペイン,2002年11月18-26日


決議.23

湿地の賢明な利用を達成するための手段としての奨励措置

1.以下を想起し

a)締約国が「登録簿に掲げられている湿地の保全を促進し及びその領域内の湿地をできる限り適正に利用することを促進するため、計画を作成し、実施する」と定めたラムサール条約第3条1項;

b)「賢明な利用の概念実施のための追加手引き」に関する決議5.6、すなわち、税制上の優遇措置や補助金など、湿地の破壊を促すような逆効果の奨励措置を廃止すること、及び湿地の賢明な利用と保全と両立しそれを促すようなプラスの奨励措置を導入することを奨励した同決議;

c)締約国会議が以下を行った決議.15、

)締約国に対して、国家湿地政策の策定と実施に関する決議.6及び湿地の保全と賢明な利用を促進するための法制度の見直しに関する決議.7を適用する際に、奨励措置が確実に考慮されるようにすることを求め;かつ

)科学技術検討委員会(STRP)に対して、奨励措置に関する既存のガイドラインや利用できる情報を検討して、インターネット上の情報として利用できるようにすること、及び奨励措置を実施する機会を見極めるツールとして、影響評価の利用を検討することを要請し、さらに、STRPに対し、奨励措置の計画、実施、モニタリング、及び逆効果をもたらす奨励措置の除去についての報告書を作成するよう指示した;

2.ラムサール条約との協力について言及した生物多様性条約の決定/15、奨励措置に関する生物多様性条約とラムサール条約の作業の連携を進めるうえで、国際自然保護連合(IUCN)の果たす役割を認識した「第2次生物多様性条約(CBD)・ラムサール条約共同作業計画」、及びCBDの「科学上及び技術上の助言に関する補助機関」(SBSTTA)の勧告/9という、さまざまな多国間環境協定の下での政策や計画が、互いに補強しあうような奨励措置をとるよう、そのような政策や計画を調査する必要性を強調した勧告を確認し

3.湿地の保全と賢明な利用の手段として奨励措置を評価し、修正し、立案すること、及びこのような保全と賢明な利用の実現を妨げて逆効果をもたらす奨励措置を廃止することが、根本的に重要であることを改めて表明し

4.資金供与の仕組み、取引、影響評価、及び経済評価は、湿地の保全と賢明な利用を達成するうえで、奨励措置の活用と成功に複雑に結びついていることを認識し

5.IUCNが奨励措置に関する情報、手引き、ケーススタディを掲載した環境経済ウェブサイトを作成したこと、STRPと米国のコロンビア大学の国際地球科学情報ネットワークセンター(CIESIN)が、奨励措置に関する詳しい情報を収めたデータページをインターネット上に設けたことを認識し

6.ラムサール条約と国際影響評価学会(IAIA)との間で協力の覚書が交わされたこと、及び、奨励措置の実施機会を確定する手段としての影響評価の役割に留意し

締約国会議は、

7.締約国に対して、税や助成金などで逆効果をもたらす奨励措置を特定するために、引きつづき現行の法律と慣行を見直し、湿地消失の根本原因に対処する、明確で目的志向型の奨励措置を確定するための参加型の協議プロセスを実施するよう強く要請する

8.締約国に対して、奨励措置の立案と実施の支えとなる法的及び政策的枠組みを策定するよう重ねて強く要請する

9.締約国に対して、湿地の保全と賢明な利用のための奨励措置の立案と実施について締約国を支援するための、情報と手引きの提供源として、IUCNとCIESINによるインターネット上の情報ページ (http://www.biodiversityeconomics.org/assessment/ramsar-503-01.htm)を利用すること、及びここに収められた情報の妥当性、品質、アクセスのしやすさについてラムサール条約事務局に助言し、奨励措置に関する情報のさらなるニーズについて知らせるよう奨励する

10.締約国その他に対して、インターネット上の情報ページに加えるため、湿地に関連のある奨励措置についての適切な資料、学んだ教訓を示したケーススタディ、ガイドライン、及び助言の提供源をラムサール事務局に提出するよう要請する

11.STRPに対して、IUCN、他の環境条約の補助機関、及びその他の関連組織と協力して、引きつづき奨励措置に関する現行ガイドラインの湿地に関連する要素を特定し、それによってそのようなガイドラインが、締約国のニーズを完全に満たしていない不足な点を認識し、こうした不足点を埋められる方法を調査し、第9回締約国会議(COP9)のために、これらの事項に関する報告書を作成するよう要請する

12.STRPに対して、IUCN、IAIAその他の関連組織及び専門家、ラムサール条約事務局と協力して、資金供与の仕組み、取引、影響評価及び価値評価などの関連事項と奨励措置との関係について調査し、その研究結果をCOP9で報告するよう重ねて要請する

13.締約国その他に対して、この分野におけるSTRPの作業に対し、財政的支援及び専門家による支援を行うよう強く要請する


ラムサール条約第8回締約国会議の記録 [和訳:『ラムサール条約第8回締約国会議の記録』(環境省 2004)より了解を得て再録,2005年,琵琶湖ラムサール研究会.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]

[ PDF 18KB ]   [ Top ] [ Back ]    [ Prev ] [ Index ] [ Next ]


Valid HTML 4.01!    Valid CSS!