カイロで健康

湿布の長期使用

湿布の長期使用で腰痛が改善しなかった症例を、考察してみました。

●はじめに

60才代、男性、事務仕事、腰痛で、時々来院
腰の骨5番にヘルニアの手術あり

症状と結果

2回目、4日目、いつもは、すぐ良くなるのですが、良くならないんです。
3回目、7日目、動くと痛みが走るんです。

この患者さんは、来院される時に、腰の骨5番を中心に湿布をされています。
その部位が、少し変色、少し強めに触診すると、靱帯が筋張っている感じ。
今までは、手術の跡だと触診してきたのだが、なんか気になる。
そこで、状態をお話ししていると、
な、なんと、10年間、毎日、朝起きると湿布をしている。
つまり、腰の骨の手術から、悪くならないように、使用してきた!!
もっと、早く気がつくべきだった。

湿布を中止して、
4回目、11日目、だいぶ動きやすくなってきた。靱帯が柔らかくなってきた。
5回目、18日目、動いても大丈夫になってきた。施療完。

あとがき

消炎鎮痛剤の長期使用は、軟部組織の弾力が無くなり、痩せてくるということを体験させてもらいました。
湿布の部位は、注意が必要だと、考えさせられた症例でした。

メルマガ 486号

湿布を貼っていた部位

湿布は、ほとんどの患者さんが貼られる定番の位置に使用されていました。

湿布の使用上の注意書きには、

など、使用法が書かれていますが、しっかり読まなかったり、自己判断で使用法が守られていないのが現状でしょう。

症例では、使用期間が長期になっていることや、症状がないときも予防的に使用していたのが、問題だと思われます。


触診した感覚

湿布の副作用としては、

かゆみ、刺激感、発疹・、腫脹、浮腫など書かれていますが、長期に使用して、筋肉の張りが減少し痩せてくるとは書かれていません。

長期に渡り使用した今回の症例では、皮膚面の硬化と筋肉のやせを触診しましたので感覚を、描いてみました。

触診した感覚は、表面は堅くざらついた感じがしました、それは、薬品による皮膚の硬化が考えられます。
その奥に普通は、適度な張りや反発ある筋肉が感じられるのですが、症例では、ブニュっとした感じがしていることから、筋肉がやせて機能低下していると考えられます。

さらに

もう少し奥を触診すると、ピンとした腱が浮いているように触診されました。
細い筋肉や腱が同じように触診されることもありますが、症例の場合は筋肉が機能低下したため腱や靱帯に多く負担が加わり、堅くなったと考えられます。
この部位周辺が、炎症し痛みを長引かせていたと考えられます。
施術者は、患者さんが湿布を長期使用している時は、触診・施療に気をつける必要がある症例でした。

湿布の長期使用には、気をつけましょう

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