「お風呂場で…」  第9話
「私は、傷つくべきなんだと思う」
 座り込んだ田中さんを見下ろして思った
「私は傷つくべきなんだと思う。でも、何も感じない…」
「身体の防衛機能としてのショックも、精神的に感じる重さも、感情の高ぶりも爆発も、今の貴女にはない」
「冷たい子になっちゃったんだね」
「違う。ただ、冷静になったのよ。ココロの動きがなくなったのよ。脳や身体の影響によるココロのぶれがなくなったの」
 傷つくべきだと考える。傷つけない私がいる。
 それを悲しいと考える私がいて、悲しいと感じられない私がいて、辛いとと思う私がいて、辛いと感じられない私がいる。
 そして思考はどこまでも繰り返す…。

「ところで、この服は…?」
「えーっと、なんだっけ。水着。ブラジルで流行ってるそうよ」
「私、一応日本人なんだけど…」
「これも、だめ?どんなのがいいのよ。もー」
「できれば、もっと…。フォーマルなのをお願いします」
「あーーー、もーーーー」
 我がまま言ったせいか死に神さんはぷんスカ怒ってた

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