「お風呂場で…」  第16話
「私、あの子達嫌い」
 死に神さんは気分悪そうに言った。
「貴方みたいなバカも嫌い」
「ごめんなさい」
「私に謝ったって仕方ないし、もう何もかも遅いわよ。謝意なんて無いくせに!」
 そのとおりだ。もう感情的にもなれない。
「うん。でも、ごめんなさい…」
 それでも、誤った。
「わたし。辛いとか苦しいとか、お薬飲んでたからもぅ解らなくなってたけど…」
 何も感じなくなって気づいた。ココロが苦しいって何も感じない事なんだなぁ。そう言いかけて止めた。

「ところで…、あの…、この前衛的なのは……?」
「トラディショナルって言ってたから、褌」
「えっと…」
「トラディショナル」
「髪も合わせて結ってみた」
「あの…」
「おそろい」
「その…」
「私、髪が短いから髪型はおそろいじゃないけどね」
 そう言って死に神さんは少し笑って私の顔をのぞき込んだ。彼女なりに一生懸命に考えてくれているのが何となく解った。
「……ごめんなさい」
「そう…」
 少し寂しそうに死に神さんは言った

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