「お風呂場で…」  第26話
  先生は少しずつ話し始めた。
 それは私に話しているのか、自分に言い聞かせているか、主語が感じられなかった。
 生徒を信じていたこと。信じていること
 いじめは無かったと信じていること。
 あの子を救えなかったこと。そのためにした努力。
 命について教えてきたこと
 生きること、暮らすこと。差別について
 男性と女性。平等。
 そしてまた、あの子を救えなかったこと…

 それはとても正論で、志が高くて、間違いが無くて。それでいて、主語がなかった。
 どこか浮き足立っていて、現実感が無くて…、
 それでいて聞く耳に心地よかった。
 ふと前に見た金八先生を思い出した

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