「山の中でひとり!」  第2話
その2  不法投棄された小さなゴミの山をあさる。
 ドイターのデイパック。空のアルミ缶。新聞。アルミ蒸着シート。綿布の切れ端。
 不法投棄と言うよりデポされた登山客の荷物のようだった。

 私はアルミ缶を握りつぶして二つに折る。
 怪我をした右腕が痛む。アルミ缶は一つ。失敗は出来ない。
 息を整えて一気にアルミ缶をねじり込み、裂く。

 手に伝わる紙のような儚い抵抗。私は少しだけ自分の命が繋がった感触を得た。

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