「山の中でひとり」 第94話
「着たい!」 おばさんの可愛い服を見て、素直に私はおじさんに言った。 厚かましいと思って後悔していたら、おじさんがかっこいい笑顔で紙袋をくれた。 「そう言うと思って、作っておいたよ。」 「いつのまに!?」 「好江さん…。社会人にはね。有給休暇って奴があるんですよ…」 「聞いてないわよ!」 「言ってませんからね。お義母に頼んでミシンを借りて作りました。」 「あななな…」 「あんまりヒラヒラしてないけど、君はシンプルな方が似合うと思ってね。それに着心地が良いように、気をつけたんだ。ほら、着替えておいで」 怒りで声も出ないおばさんを尻目に、おじさんが棚から何か探し始めたので、隣の部屋で着替えることにした。
着替えてくると、おじさんがおばさんをカメラで撮っていた。
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